Bitcoinを中心とした今週のニューストピックを、①テクノロジー・②ビジネス・③規制まわり、で振り返る。
今週の注目トピックは、
FBI、DC3、警察庁、Bitcoin.DMM.comから$308mを窃取したとして、北朝鮮のサイバーアクターTraderTraitorを特定
2024年、暗号資産プラットフォームから盗まれた資金は前年比21.07%増の22億ドル
米テキサス州Rockdale市長による「Bitcoinマイニングが地元コミュニティを復活させた」とするレター
エチオピアにあるアフリカ最大のダム、収益の18%をBitcoinマイニングから
Marathon Digital Holdings、フィンランドでマイニングから発生する熱を80,000世帯に還元
AIMA、仮想通貨業界が直面する銀行業務の課題への対応を呼び掛け
米IRS、2027年に施行されるノンカストディアル取引サービスをIRSの報告義務の対象とする規則を最終決定
Open Dialogue Foundationによる、ノンカストディアルウォレットへのFATF/EU規制インパクトを分析したレポート
参議院|ビットコイン準備金導入の動きの把握状況等に関する質問に対する答弁書
Section1: Technology
1.1. Bitcoin L1
●Bitcoin Optech Newsletter #334: 2024年振り返り特別号
https://bitcoinops.org/ja/newsletters/2024/12/20/
●Great Script RestorationとWinternitz OTS+ - Develop with pleasure!
https://techmedia-think.hatenablog.com/entry/2024/12/28/133642
●Bitcoin Miniscriptのガイド記事
https://www.athena-alpha.com/miniscript/
●Galaxy Researchによる2025予想スレ
Bitcoin開発者が、2025年に次のソフトフォークアップグレードにOP_CTV、OP_CSFS、および/または OP_CATを含める旨、合意に達する(年内にアクティベートしないものの)との見方もされている。
https://x.com/glxyresearch/status/1872696283011662131
●Michael Saylor氏のBitcoinへの見方について、通貨(currency)ではなく資本(capital)であるとしている点に関する批判記事
Bitcoinの価値保存(SoV)と交換手段 (MoE)の役割は密接に関連しているため、通貨としてのBitcoinを否定することは、その価値提案の大部分を否定することになる。
https://bitcoinmagazine.com/takes/michael-saylor-doesnt-understand-bitcoin
●Bitcoinのガバナンスに関するリソースリスト
https://www.lopp.net/bitcoin-information/governance.html
●Bitcoinの法規制関連リソースリスト
https://www.lopp.net/bitcoin-information/legal.html
1.2. Lightning Network
●(特に無し)
1.3. 他チェーン・要素技術
●Bitcoin.DMM.comからの$308mの窃盗に関与したTraderTraitorとして追跡された北朝鮮のサイバー行為者をFBI、DC3、警察庁が特定したとして注意を呼びかけ
https://www.npa.go.jp/bureau/cyber/pdf/20241224_jp.pdf
●2024年、暗号資産プラットフォームから盗まれた資金は前年比21.07%増の22億ドルに達し、ハッキング事件数は2023年の282件から2024年には303件に増加
https://www.chainalysis.com/blog/crypto-hacking-stolen-funds-2025/
Section2: Business
2.1. アダプショントピック
2.1.1. マイニング
●米テキサス州Rockdale市長による「Bitcoinマイニングが地元コミュニティを復活させた」とするレター。
かつてAlcoaのアルミニウム生産拠点だったが2008年に工場が閉鎖。
大規模なエネルギーインフラ(変電所や送電線など)が残されたことがマイニングに適していた。
マイニング業者が地域社会に大いに投資した結果、数百の中技能職が生まれ、地元民が町を離れずに済んだ。
最大の納税者となっているだけでなく、地元のコミュニティにも寄付を行っている。
マイニングがほとんど雇用を生み出さないとする人もいるが、そうではない。
マイニングはテキサスで最も急成長している産業の一つであり、州全体で22,000人以上の雇用を生み出している。
https://x.com/DocumentingBTC/status/1872289659897905403
●サステナビリティ系のメディアでも、「Bitcoinマイニングが持続可能なエネルギー開発と気候変動対策をどのようにサポートしているか」が取り上げられるようになっている。
風力と太陽光発電の開発に役立つ
埋立地ガスのメタンが軽減
電力網の安定性を高める上で有効
https://x.com/DSBatten/status/1872475284319949035
●2021年から2024年にかけて、Bitcoinマイニングははるかに持続可能になった。
中国の石炭ベースの施設からパラグアイとエチオピアの水力発電、および部分的に再生可能なテキサスに移行したことによって、持続可能エネルギー使用が33.9%から56.8%に急増
https://x.com/DSBatten/status/1872879539019276695
●Bitcoinは、無駄になっていた太陽光と風力のエネルギーを利用できる。
太陽が照っていないときや風が吹いていないときは、マイナーはすぐに電源を切ることができるため、送電網の安定化に役立つ
https://x.com/DSBatten/status/1872879548460646777
●「マイニングはクリーンエネルギーへの移行と気候変動対策を加速する」という主張を裏付ける論文も発表されている
https://x.com/DSBatten/status/1872879552042811688
●エチオピアにあるアフリカ最大のダム、収益の18%をBitcoinマイニングから得ているとのこと
●Marathon Digital Holdings、フィンランドでマイニングから発生する熱を80,000世帯に還元
https://atlas21.com/marathon-heats-80000-finnish-homes-with-bitcoin-mining-heat/
Section3: Regulation
3.1. グローバル
●AIMA(Alternative Investment Management Association)、仮想通貨業界が直面する銀行業務の課題への対応を呼び掛け。
暗号通貨ヘッジファンドの 75%が銀行サービスへのアクセス/拡大に関する問題を報告し、67%が銀行サービスへのアクセス/拡大に関する問題を報告。
これに対し、調査対象の従来型オルタナ投資マネージャーでは銀行サービスへのアクセス/拡大に関する問題の報告なし。
銀行関係が解消される可能性があると通知された暗号通貨ヘッジファンド企業の98%には明確な理由が示されず。
参考:AIMA(Alternative Investment Management Association)による「The Debanking Dilemma」レポート
3.2. 米国
●米IRS、2027年に施行されるノンカストディアル取引サービスをIRSの報告義務の対象とする規則を最終決定
デジタル資産保有者ではなくブローカーに、1099 tax form を通じてデジタル資産の売却による総収益を報告することを義務付けている。
https://public-inspection.federalregister.gov/2024-30496.pdf
●米IRSが発表した、ノンカストディアルブローカーと第三者への納税申告義務に関する最終規則について、CoinCenterのコメント記事。
ノンカストディアル規制が復活しているとし、単なる開発者やインフラプロバイダーに「ツールのユーザーを監視して報告すること」を義務付ける可能性があるとの見方
●米Blockchain AssociationやTexas Blockchain Council、「米IRSと財務省によるブローカー規制の決定は、同機関の法定権限を超えており、行政手続法 に違反し、違憲である」として異議を唱える訴えを起こす
https://theblockchainassociation.org/industry-groups-sue-over-finalized-irs-broker-rulemaking/
●米IRSのブローカー規則の報告要件によれば、ノンカストディアル取引所またはスワッププロバイダーのほとんどがブローカーに該当。
通貨を交換できるようWebサイトやモバイルアプリあるいはブラウザー拡張機能を構築すること
トレードで手数料を徴収、トレード提供条件に影響を与える能力がある場合
https://x.com/L0laL33tz/status/1872707381647319433
3.3. 欧州
●Open Dialogue Foundation (ODF) による、ノンカストディアルウォレットへのFATF/EU規制インパクトを分析したレポート
3.2項では、CASPに課せられた義務がもたらす、EUの競争力低下や、AML/CFT枠組みの有効性毀損への影響が述べられている。
5章では、CASPに課せられた義務がもたらす、プライバシーの権利にもたらすリスクが指摘されている。
3.2項
CASP(暗号資産サービス・プロバイダー)に課せられた義務は、Lightning Network、Fedimint、e-cash などの急速な発展と矛盾する。
これらの技術は、パーミッションレスで検閲に強いという特徴があり、ユーザーに強力なプライバシー保証を提供し、関心のあるすべての関係者がアクセスできるもの。
これらを使ったトランザクションを制限・拒否すると、EU内で運営されるCASPはグローバル市場で疎外されるリスクがある。
結果として、EUを拠点とする事業体のビジネスチャンス、イノベーションの可能性、およびグローバル市場シェアが大幅に失われる可能性がある。
また、ユーザーをEU外の規制が緩い事業体に誘導することによって、規制対象のCASPの迂回を意図せず促進する可能性がある。
これにより、トランザクションがEU規制当局の監視外で行われることが増え、AML/CFT枠組みの有効性が損なわれる可能性がある。
このように、デジタル金融のリーダーとしての地位を確立することが妨げられるほか、規制対象組織に多大なコンプライアンス負担を課しながらイノベーションが抑制される可能性がある。
そのため、オープンソース技術の現実を考慮し、世界経済において欧州のCASPに公平な競争の場を確保する、微妙な差異を考慮した規制のアプローチが求められる。
5章
CASP(暗号資産サービス・プロバイダー)に対し、ノンカストディアルウォレットに送金された送金とそこから受け取った送金の両方を含む広範な顧客データを収集することを義務付けている。
これには、取引の発信者と受取人の氏名と住所、ウォレットアドレスなどが含まれる。
金融データへのこのようなアクセスを許可することは、顧客の金融プライバシーの権利に対する容認できない干渉となる可能性がある。
プライバシーの権利は、個人の私生活に対する公的機関による過度の干渉から個人を保護することを目的とした基本的人権である。
これには、私生活と家族生活、通信の機密性、非管理型ウォレット アドレス、所有する暗号資産、取引履歴に関する情報を含む金融データの保護が含まれる。
CASPに顧客データを収集し、政府当局に開示することを要求するAML/CFT規制は、プライバシーの権利に重大なリスクをもたらす。
●イタリア中銀、KYC無しのP2Pプラットフォームを"clime-as-a-service "とし、参加者がビットコインを商品やサービス・紙幣と交換することができる「Satoshi Spritz」イベントにも言及
https://atlas21.com/bank-of-italy-p2p-services-are-criminal/
●ロシア、10地域でBitcoinマイニングを禁止
マイニングプールおよび個人によるマイニングの双方が対象。
これらの制限は、最初の1年間は1月1日から3月15日まで実施され、その後は11月15日から3月15日まで延長される予定。
11月以降、ロシアでのマイニングは個人が取得した資産と暗号通貨のアドレスに関する情報を連邦税務局(FNS)に提出することが条件
https://www.nobsbitcoin.com/russia-enacts-6-year-blanket-ban-on-bitcoin-mining-in-10-regions/
3.4. 日本
●参議院|ビットコイン準備金導入の動きの把握状況等に関する質問に対する答弁書
「暗号資産を保有することについて検討することは考えていない」旨
「外国為替資金特別会計は、外国為替等の売買等を行うために設置されているところ、暗号資産は外国為替等には該当しない。
また、同特別会計の運営に当たっては、外国為替相場の安定を実現するために必要となる外国為替等の売買等を円滑に行うため、安全性及び流動性に最大限留意し、流動性及び償還確実性が高い国債等の債券や外国の中央銀行等への預金等で運用を行うこととしており、いずれにしても、暗号資産を保有することについて検討することは考えていない。」
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/216/toup/t216022.pdf
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