Bitcoinを中心とした今週のニューストピックを、①テクノロジー・②ビジネス・③規制まわり、で振り返る。
今週の注目トピックは、
Peter Todd氏、「OP_Return」によるデータキャリア出力の恣意的な制限を解除するPR32359を作成し、83バイト制限緩和をめぐり論争に
Cambridge Centre for Alternative Finance、Bitcoinマイニングの52%が持続可能なエネルギーで稼働しているとするレポートを発表
Coinbase Asset Management、Bitcoin保有量に応じて定期的な利回りを提供することを目的としたファンドを立ち上げ
Relai、富裕層顧客向けにBitcoin担保ローンを提供すべく、Sygnum Bankとの提携を発表
米アリゾナ州議会、全米で初めて「Bitcoin準備金法案」を可決するも、州知事が拒否権を発動
米商務長官、米国におけるBitcoinマイニングが急速に発展するとの見方
Section1: Technology
1.1. Bitcoin L1
●Peter Todd氏、「OP_Return」によるデータキャリア出力の恣意的な制限を解除するPR32359を作成。
ノードオペレーターが、OP_Return出力を通じてより多くのバイト数のデータを公開できるようになるもの
https://protos.com/bitcoin-devs-continue-fight-over-arbitrary-data-storage/
●Bitcoin Optech Newsletter #352|Bitcoin CoreのOP_RETURNサイズ制限の引き上げまたは撤廃に関するサマリー
[賛成意見]
トランザクションの標準ポリシーが、 資金力がありマイナーに直接トランザクションを送信する組織によって作成された データキャリアトランザクションの承認を妨げる可能性は低い。
データキャリアトランザクションが含まれているかどうかに関わらず、 ブロックは通常いっぱいであるため、ノードが保存する必要があるデータの総量はどちらの場合もほぼ同じである。
反対意見
制限を引き上げることで、フルノードを実行するコンピュータに任意のデータを保存しやすくなり、 そのデータの一部は好ましくない(多くの地方で違法となる)可能性がある
ノードがディスク上のデータを暗号化したとしても、 データの保存とBitcoin Core RPCを用いたデータの取得は、多くのユーザーにとって問題となる可能性がある
https://bitcoinops.org/ja/newsletters/2025/05/02/
●OP_Returnの83バイト制限緩和をめぐる論争。非金融データをスパムと見なす見方と、この制限の実際の有効性を疑問視する見方との間の溝が浮き彫りに
https://x.com/BikesandBitcoin/status/1916887010457063772
●Bitcoinにおける恣意的なデータ保存を防ごうとする試みについて、「根強い需要、ブロックテンプレートビルダーのインセンティブ、そして非金融取引データを効果的にフィルタリングすることの技術的な難しさゆえに、無駄である」との見方
https://x.com/OrangeSurfBTC/status/1917521675966366127
●「Bitcoin Core開発者は技術的な解決策に注力する前に、まず無制限のサイズのランダムデータがBitcoinの価値を高めるという議論に勝つことに注力すべき」との見方
https://x.com/TheGuySwann/status/1917645089414996023
●OP_Returnをめぐる議論について、「ノードオペレーターは、Bitcoinネットワークを支える経済力の源泉として、悪意を持って行動する開発者を罰したり、資金提供を停止することもできる。これがUASFの基盤である」との見方
https://x.com/Excellion/status/1917728719948451853
●Peter Todd氏が発表した「OP_Returnのデータキャリア出力によるデータ制限の撤廃案(OP_Returnの83バイトデータ制限の引き上げ)」を受けて、開発者間の意見の相違が鮮明に。
制限の有効性と無益性を主張する見方と、OP_Returnを介して任意のデータを保存することが、Satoshi Nakamotoの意図と金融ネットワークとしてのBitcoinの目的に反するとの見方
https://protos.com/fixthefilters-bitcoin-arguments-go-viral-over-relaxing-core-data-storage/
●「Bitcoin Core の開発者が、個人の主権と自由なお金というネットワークの基盤を弱体化させ、Bitcoin のサイファーパンク文化を積極的に妨害している」とする見方
●「データ制限を緩和するBitcoin Coreのアップデート案は"攻撃"である」とする見方
●Blockstream、2025年の成長戦略と拡大方針を発表
1.2. Lightning Network
●Coinbase、Bitcoin取引量の15%がLightning Network経由で処理されていることを明らかに
https://atlas21.com/15-of-coinbases-bitcoin-transactions-run-on-the-lightning-network/
●事前の信頼や継続的な接続なしに、安全で非同期なBitcoin UTXO転送を可能にするオフチェーンプロトコル「Thunderbolt」
https://eprint.iacr.org/2025/709.pdf
1.3. 学習コンテンツ・解説記事・カンファレンス
●Satoshi NakamotoがBitcoinのローンチ前にどのように改良を加え、将来の採用者にとってネットワークの応答性と透明性を高めたかのまとめスレ
https://x.com/raw_avocado/status/1916909232030450163
●ShinobiによるCovenants解説シリーズ#1|CHECKTEMPLATEVERIFY (BIP 119)
https://bitcoinmagazine.com/technical/bitcoin-covenants-checktemplateverify-bip-119
●ShinobiによるCovenants解説シリーズ#2|CHECKSIGFROMSTACK (BIP 348)
https://bitcoinmagazine.com/technical/bitcoin-covenants-checksigfromstack-bip-348
●ShinobiによるCovenants解説シリーズ#3|TXHASH/CHECKTXHASHVERIFY(BIP 346)
https://bitcoinmagazine.com/glossary/bitcoin-covenants-txhash-and-checktxhashverifybip-346
●ShinobiによるCovenants解説シリーズ#4|OP_VAULT
https://bitcoinmagazine.com/glossary/bitcoin-covenants-op_vault-bip-345
●ShinobiによるCovenants解説シリーズ#5|OP_CAT (BIP 347)
https://bitcoinmagazine.com/glossary/bitcoin-covenants-op_cat-bip-347
1.4. セキュリティ
●「カストディアル取引所がプライバシーツールを利用するユーザーとのやり取りを過度に拒否していること」や、「Bitcoinユーザーの間でもプライバシーツールが利用されている割合が非常に低いこと」などの懸念から、プライバシー技術とその利用の標準化に対する十分なユーザー需要がなければ、Bitcoinはとんでもない監視ツールになってしまうと警告する見方
https://bitcoinmagazine.com/builders/bitcoin-without-privacy-is-a-surveillance-system
●「アンホスト型ウォレットへのAML/CFT枠組みの導入が、カルテルによるマネーロンダリングを実際に阻止できるかどうかは疑問である」として、「立法者は、Ellipticのレポートのようなマーケティング資料に依拠して、一般ユーザーに不利益をもたらす決定を下すことには慎重であるべき」との見方
https://www.therage.co/new-elliptic-report-are-unhosted-wallets-really-the-problem/
Section2: Business
2.1. ペイメント
●南アフリカにおけるBitcoinの普及について。Pick n Payの店舗におけるLightning Network決済など
2.2. マイニング
2.2.1. マイニング全般
●Cambridge Centre for Alternative Finance、Bitcoinマイニングの52%が持続可能なエネルギーで稼働しているとするレポートを発表
2.2.2. マイニング関連企業
●Solo Satoshiによる、「BitaxeのオープンソースASICマイナーが、効率的でカスタマイズ可能なハードウェアを通じて、家庭のマイナーにビットコインの分散化をどのように向上させるのか」についての解説記事
https://www.solosatoshi.com/what-is-bitaxe/
2.2.3. マイニング規制
●米商務長官、電力コストを抑制できるようになるため、米国におけるBitcoinマイニングが急速に発展するとの見方。
Bitcoinマイニングを加速させるため、天然ガス田の近くにマイナーが発電所やデータセンターを建設することを許可する旨
https://www.cryptopolitan.com/lutnick-plans-to-accelerate-bitcoin-mining/
2.3. 社会生活
●エルサルバドル教育省とBitcoin Office、Little HODLerプロジェクトと協働で小学生を対象として、ビットコインなどの基礎的な金融リテラシーと概念を紹介するプログラムを開始
2.4. 投資
2.4.1. 投資関連サービス
●Coinbase Asset Management、Bitcoin保有量に応じて定期的な利回りを提供することを目的としたファンドを立ち上げ。米国以外の機関投資家のみを対象
https://archive.md/jh9h7#selection-1665.0-1713.377
●Relai、富裕層顧客向けにBitcoin担保ローンを提供すべく、Sygnum Bankとの提携を発表。
Bitcoin投資プラットフォームとデジタルバンキングインフラを融合し、Bitcoinを売却することなく現金にアクセス可能に
https://relai.app/blog/relai-private-sygnum-bitcoin-loans/
2.4.2. 企業トレジャリー
●21 CapitalのTether・SoftBankおよびCantor Fitzgeraldとの提携によって、企業国家帝国への移行が促進され、Bitcoinが武器化されるとの見方
https://x.com/adambliv/status/1916264882221023394
●企業のBitcoin保有量、1年強で3倍以上に増加し279,639BTCに
https://atlas21.com/companies-acquire-nearly-100000-bitcoin-in-a-single-month/
2.4.3. Bitcoin準備金
●米アリゾナ州議会、全米で初めて「Bitcoin準備金法案」を可決
https://cryptoslate.com/arizona-legislature-passes-bitcoin-reserve-bill-governor-approval-pending/
●アリゾナ州知事は「未検証の投資」だとして拒否権を発動
https://x.com/BitcoinMagazine/status/1918620810605936717
●スイスは15,000MWの発電容量(60%が水力発電)を有し、持続可能な#Bitcoinマイニングのモデルとなる可能性があると主張するスレ。
準備金にBitcoinを保有することによって、金融主権、グリーンエネルギーソリューション、そして経済の安定を強化することができるとも
https://x.com/JAN3com/status/1918444806486859857
●JAN3、日本の業界リーダー数名を招き、日本における戦略的Bitcoin準備金の設立など、Bitcoinの普及促進について議論する昼食会を開催
https://x.com/Excellion/status/1918133660751896781
Section3: Regulation
3.1. 欧州
●イタリア中銀、金融安定レポートにおいて、非金融企業によるBitcoinの取得は「著しい価格変動」にさらされるものと主張。暗号資産の急成長は金融安定にも潜在的にリスクをもたらすとも
https://atlas21.com/cryptocurrencies-dangerous-for-investors-and-financial-stability/
3.2. 日本
●マネロンの過剰対応見直し、合法取引は本人確認簡素に FATF要請
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB202LT0Q5A420C2000000/
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