Bitcoin・クリプト・web3をめぐる今週のニューストピックを、①テクノロジー・②ビジネス・③規制まわり、で振り返る。
今週の注目トピックは、
Silvergate Capital Corporation、Silvergate銀行を自主的に清算する意向を発表
Silicon Valley銀行、米連邦預金保険公社FDICを管財人に任命して閉鎖
Kraken、独自の銀行を立ち上げる計画を進めていることが明らかに
Block、マイニング開発キットの構築検討を発表
Rollkit、Bitcoin上の「Sovereign Rollup」を提唱
Optimism上のPrivacy Pools、ユーザーが自分の資金が犯罪行為と関連していないことを証明可能
米財務省、マイニング電力使用に対する課税を提案
米NY検事総長、VitalikやEFがPoS移行に中心的役割を果たしたことなどを挙げ、ETHは証券に該当すると主張
Section1: Technology
1.1. Bitcoin
1.1.1. L1
●Bitcoin Miniscriptの入門記事(2)〜Miniscriptの仕組みとBitcoin Scriptとの対応について
https://shiftcrypto.ch/blog/understanding-bitcoin-miniscript-part-2/
●Bitcoin Optech Newsletter #241|OP_VAULTの代替設計の提案
https://bitcoinops.org/ja/newsletters/2023/03/08/
●Bitcoinの入門リソース集
https://www.lopp.net/bitcoin-information/getting-started.html
●Bitcoinウォレット関連のリソースリスト
https://www.lopp.net/bitcoin-information/recommended-wallets.html
●Rollkitの提唱する「Sovereign Rollup」
Bitcoinのブロックチェーン上のデータを取得・保存することによって、ユーザーがロールアップを作成できるようにするもの。
NFTのinscriptionsやTaproot活用のためのOrdinalsの利用が一段落した中、欠けているピースは、データ利用可能なレイヤーとしてBitcoinを簡単に統合するためのロールアップフレームワークであると。
コンセンサスとデータ可用性をBitcoinにオフロードする一方で、自身の実行と決済を管理するもの。
Bitcoinのデータを読み書きするために、Taprootのトランザクションを利用。
1.1.2. L2:Lightning Network
●LSP(Lighting Service Provider)とLaaS(Lightning as a Service)について
●ライトニングを支えるLSPサービスの競争が激化か|Diamond Hands Magazine Vol.63
●Nayuta Wallet を使い始める
●Lightning Crushをプレイして Bitcoin を獲得!Nayuta Wallet で受け取る方法を解説します - Nayuta_ja - Medium
1.2. Ethereum
●特になし
1.3. 他チェーン・要素技術
●分散型プロトコルNostrとそのクライアントDamus
https://gaiax-blockchain.com/nostr-damus
Section2: Business
2.1. アダプショントピック
2.1.1. 投資
●Silvergate銀行の持株会社Silvergate Capital Corporation、Silvergate銀行を自主的に清算する意向を発表
Silvergateは、銀行業務の秩序ある縮小と銀行の自主的な清算が最善の道であるとのこと。
銀行の事業整理および清算計画には、すべての預金の全額返済が含まれているとした上で、請求権を解決し、独自技術や税金資産を含む資産の残存価値を維持するための最善の方法を検討している旨。
●Silicon Valley Bank(SVB)、米連邦預金保険公社FDICを管財人に任命して閉鎖
Silicon Valley Bankの被保険預金者を保護するためDeposit Insurance National Bank of Santa Clara (DINB)を設立し、被保険預金はDINBへ移管。
保険付き預金者は、3月13日の午前中には、その保険付き預金に完全にアクセス可能に。
https://www.fdic.gov/news/press-releases/2023/pr23016.html
●昨年11月に破産法適用を申請したBlockFi、SVBに$227m相当の連邦預金保険公社による保険が適用されない資金
●Alameda ResearchがGrayscaleを提訴。併せてGrayscaleのCEOに対する請求も
●Kraken、独自の銀行を立ち上げる計画を進めていることが明らかに
Krakenは、米ワイオミングを拠点とする暗号銀行「Kraken Bank」を開設するとしている。
ワイオミング州銀行局の監督を受け、Special Purpose Depository Institution(SPDI)として、規制の枠組みの中で、顧客の利益に焦点を当てた銀行と位置付け。
米ドルや暗号資産(例:Bitcoin)の預金口座、複数の資金調達・支払オプション、機関投資家向けカストディ商品(アドバイザーや証券会社向けの適格カストディ)、IRAなどの商品を検討しているとのこと。
なお、米連邦預金保険公社FDICの預金保険に加入せず、預金保険の対象とならない。
Kraken Bankのサービスは、まず米国Krakenの既存顧客に対して提供された上で、将来的には国際的に拡大する可能性があるとのこと。
Krakenは、厳しい規制環境や、証券取引法に違反したという米国SECの告発を受けて、米国顧客向けのオンチェーンStakingサービスを最近停止している。
●「メルカリ」でビットコイン取引サービス提供開始
株式会社メルカリの子会社で、暗号資産やブロックチェーンに関するサービスの企画・開発を行う株式会社メルコインは、3月9日より暗号資産交換業を開始し、メルカリアプリ内でビットコインの売買ができる新サービスを提供。
https://jp-news.mercari.com/articles/2023/03/09/mercoin/
2.1.2. マイニング
●Block、マイニング開発キット(MDK)の構築検討を発表
マイニング開発キットは、「ビットコインマイニング用ハッシュボード」「カスタムコントローラボード」「オープンソースのファームウェア、ソフトウェアAPI、ウェブフロントエンド」「参考資料とサポート文書」で構成。
マイニング用ハッシュボードは、カスタムメイドのコントロールボードや、Raspberry Piなどの簡単に入手できるサードパーティのコントローラと互換性があるように設計される予定。
オープンソースのファームウェア、ソフトウェアAPI、Webフロントエンドにより、開発者はハッシュボードの主な性能パラメータを変更できる。
MDKについて、マイニングハードウェアのアクセシビリティとオープン性を高めることによって、この分野でのイノベーションを加速させる大きなチャンスだと考えているとのこと。
https://www.mining.build/the-mining-development-kit-unlocking-innovation-in-bitcoin-mining/
https://bitcoinmagazine.com/business/block-announces-mining-development-kit
●Blockの「Mining Dev Kit」「Lightning Dev Kit」「Bitcoin Dev Kit」
2.1.3. 社会生活
●Live From Bitcoin Beach
https://www.youtube.com/channel/UCERiw54OCSlILOCAKG4MH8A
2.1.4. RegTech
●Optimism上のPrivacy Pools、ユーザーが自分の資金が犯罪行為と関連していないことを証明可能。
ゼロ知識証明を利用して、ユーザーのデポジットが特定サブセットのデポジットに含まれないことを証明。
プライバシーを犠牲にせず、盗難・洗浄資金を含む匿名性セットから自分自身を取り除く仕組み。
プライバシーセットから信頼できない人物を除外することによって、ハッカーや悪質業者、マネーロンダリング業者などを取引から排除できるとしている
2.2. NFT
●Bitcoin OrdinalsのInscription、テキスト形式のmintが徐々に主流に
https://dune.com/dgtl_assets/bitcoin-ordinals-analysis
●Yuga LabsのBitcoin NFTオークション、288件の落札を獲得し終了
https://www.theblock.co/post/217460/yuga-labs-bitcoin-nft-ordinals-auction
●OpenSeaにクロスサイト検索の脆弱性。ユーザーの匿名化を解除し、ユーザーの身元を明らかにすることができる可能性あり、修正パッチ適用済とのこと
https://www.imperva.com/blog/deanonymizing-opensea-nft-owners-via-xs-leaks-vulnerability/
●KDDI株式会社、メタバース・Web3サービス「αU」始動
αU walletは、αU marketで購入したNFTの管理の他、「Polygonブロックチェーン」対応のマーケットプレイスで購入したNFTの管理などが可能
https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2023/03/07/6588.html
2.3. DeFi
●SVBは、CircleがUSDC準備金のうち現金で保有する約25%を管理する上で使っている6銀行の1つとのこと
●Circle、準備高$40bのうち$3.3bがSVBに残っているとの発表
●Binance、現在の市況踏まえUSDCからBUSDへの自動変換を一時停止中と発表
2.5. 金融機関のデジタルアセットサービス
●仏当局AMF、AXA Investment Managementにデジタルアセットカストディ、デジタルアセット売買 および デジタルアセットトレードのライセンス
2.6. 中銀デジタル通貨
2.6.1. グローバル
●国際決済銀行(BIS)とイスラエル・ノルウェー・スウェーデン中銀による、国際決済においてリテールCBDCを使うことの利点と課題を研究したProject Icebreaker
https://www.bis.org/about/bisih/topics/cbdc/icebreaker.htm
●Swift、18の中銀・商業銀行とのCBDCサンドボックステストで、クロスボーダー決済にむけたCBDCネットワークと既存システムの相互運用性ソリューションを検証
12週間の共同テスト期間中、QuorumとCordaブロックチェーン・ネットワーク間、およびCordaと法定通貨間で合計4,736件の取引を処理したとのこと。
第2フェーズのサンドボックステストでは、証券決済(クロスアセット交換など)、貿易金融、条件付き決済など、新たなユースケースに焦点を当てる予定。
https://www.swift.com/news-events/news/successful-testing-paves-way-cbdc-use-cross-border
2.6.2. 欧州
●シンクタンクDigital Euro Association (DEA)から「マシンマネーの未来~欧州におけるStablecoinの可能性」と題するレポート
●ノルウェー中銀、中央銀行デジタル通貨プロジェクトが第4フェーズに。CBDCの導入に関連して必要な法改正の概要が提供される予定。
https://www.norges-bank.no/en/news-events/news-publications/Papers/Staff-Memo/2023/sm-4-2023-cbdc/
●デジタル・ポンドの開発進捗状況概観レポート|英国Commons Library
https://researchbriefings.files.parliament.uk/documents/CBP-9191/CBP-9191.pdf
2.6.3. 中国
●デジタル人民元パイロット、WeChat Payで利用可能に
https://www.ledgerinsights.com/digital-yuan-wechat-hong-kong-e-cny-cbdc/
2.6.4. アジア太平洋ほか
●ブラジル中央銀行、デジタル通貨のパイロットプロジェクトを開始すると発表
Section3: Regulation
3.1. 米国
●デジタルアセットマイニングに言及する米財務省の提案
米政権による2024年度歳入案の一般的な説明において、エネルギー税の改正の一環として、デジタルアセットのマイニングへの課税を提案。
マイニングのもたらす問題点として、以下3点を挙げている。
マイニングに関わる計算量は相当なものであり、それに応じて大量のエネルギーを必要とすることがある。
マイニングの成長に伴うエネルギー消費の増加は、環境に悪影響を及ぼす他、マイナーと電力網を共有するものにとってエネルギー価格を上昇させる可能性がある。
またマイニングの活動は移動も多いため、地域の公益事業者や地域社会に不確実性とリスクをもたらす。
マイナーの電力使用に対する税によって、マイニング活動を減らすことができるため、マイニングに使用する電気代の30%に相当する物品税を課すことを提案する。
2023年12月31日以降に開始する課税年度から適用され、税率は、初年度は10%、2年目は20%、それ以降は30%と3年間かけて段階的に導入される予定。
https://home.treasury.gov/system/files/131/General-Explanations-FY2024.pdf
●米NY検事総長、Kucoin法廷論争で、VitalikやEFがPoS移行に中心的役割を果たしたことなどを挙げ、ETHは証券に該当すると主張
VitalikやEthereum Foundationは、PoWからPoSへの転換を促進する上で重要な役割を果たすなど、Ethereumに対して大きな影響力を保持しているほか、開発者は、ETHをEthereumネットワークの成長に依存する投資として宣伝したとしている。
Ethereum Foundationはそのウェブサイトで、Ethereumユーザーは「新しいETHの作成が時間の経過とともに遅くなるため、ETHをデジタル価値貯蔵とみなす」と主張しているとも指摘。
https://www.docdroid.net/Myyp0yz/kucoin-pdf#page=12
●米CFTC委員長は、ETHはSECが主張するような証券ではなく、商品であると主張している
●CoinCenterはETHに証券該当性無しとの見方を変えず
●米FRB議長、銀行はデジタルアセットに関与することについて「かなり慎重になるべき」との見方
●米政権、ハッキングされた企業の責任をソフトウェアメーカーや機器メーカーに転嫁しようとする動き
●米公開会社会計監督委員会(PCAOB)、一部のサービスプロバイダーが取引所・Stablecoin発行者等に対して発行している準備金証明レポート「PoRレポート」について、「PoR契約は監査ではないため、関連する報告書は投資家や一般市民に対して意味のある保証を提供しないことに留意すべき」とする懸念を表明https://pcaobus.org/resources/information-for-investors/investor-advisories/investor-advisory-exercise-caution-with-third-party-verification-proof-of-reserve-reports
3.2. 欧州
●英国当局FCA、登録されている暗号資産事業者のうち、ATMサービスを提供する権限を持つものはないとの見方
●独当局BaFin、規制上の意味で証券に分類されるNFTを認識していないとの見方
ただし、将来的にNFTが有価証券に分類される可能性は否定せず
https://www.bafin.de/SharedDocs/Veroeffentlichungen/DE/Fachartikel/2023/fa_bj_2303_NFT.html
3.3. アジア太平洋ほか
●タイ政府、投資用デジタルトークン発行企業に対して、法人所得税と付加価値税の免除を合意。企業が投資用トークンによる資金調達方法を利用可能に
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