Bitcoin・クリプト・web3をめぐる今週のニューストピックを、①テクノロジー・②ビジネス・③規制まわり、で振り返る。
今週の注目トピックは、
Lightningを通じてAIエージェント間のマイクロペイメントを強化する「L402」
仏Credit Agricole もBitcoinカストディ提供へ
Mastercard、「Mastercard Crypto Credential」という商標を出願
ステーブルコインを日本で発行へ、MUFGが複数の国内外企業と準備
シンガポールMAS、デジタルマネーの使用条件を指定する共通プロトコル「Purpose Bound Money (PBM) 」のホワイトペーパーを発表
IMF、決済・金融契約のプログラミング・および情報管理の3層からなる「XCプラットフォーム」を発表
BIS、「将来の通貨システムの青写真」セクションを公開
Section1: Technology
1.1. Bitcoin
1.1.1. L1
●Bitcoin Optech Newsletter #256|BOLT11インボイスを拡張して受け手が支払いを2回に分けて要求できるようにする提案
https://bitcoinops.org/en/newsletters/2023/06/21/
●BTCPragueのキーノート動画- YouTube
https://www.youtube.com/@BTCPrague/videos
https://www.youtube.com/playlist?list=PLzzgcGPTEzHvwuUT2DBco4-CIYBmed_KQ
●BTC Pragueカンファレンスのレビュー記事
https://bitcoinnews.com/btc-prague-2023/
●Taiwan BitDevs「Socratic Seminar 11」のトピックス
Bitcoin Core v25.0リリース
Damus、NostrクライアントがApp storeから削除
Binance・Coinbase・Crypto(.)comへのSEC監視
Binance、Lightningサポートを追加
BlackRock、スポットBitcoin ETFを登録
Ledger Liveのアップデート騒動
BTCPrague
BlockstreamのGreenlight発表
utreexoベースのElectrumサーバー「Floresta」
Bitcoinのセカンドレイヤー提案「Ark」
Payjoin over nostr
https://bitdevs.tw/2023-06-23-socratic-seminar-11
●Bitcoin Miamiで出会う7人
真のアナーキスト、マイナー、哲学者、大切な人、インフルエンサー、ハニートラップ、OG
https://www.jtwoodhouse.com/seven-people-you-meet-in-bitcoin-miami/
●Bitcoin関連のJob Postings・Internships・Venture Capitalリスト
https://www.lopp.net/bitcoin-information/careers.html
1.1.2. L2:Lightning Network
●L402: Lightning HTTP 402プロトコル
LSATとして知られていたもの
分散型ネットワークにおけるサービスへの課金やユーザー認証のユースケースをサポートする標準
Macaroonsの長所である認証と、Lightningの長所である決済を組み合わせたもの
https://docs.lightning.engineering/the-lightning-network/l402
●L402は、Lightningを通じてAIエージェント間のマイクロペイメントを強化することによって、分散型インテリジェンスの新時代の到来を告げるとしている
https://twitter.com/iBobbyShell/status/1671485924218228737?s=20
●L402によって、BitcoinをAIエージェントと有料APIに提供することを通じて、幅広い新たなビジネスモデルが可能になると
https://twitter.com/AlyseKilleen/status/1671342634307297282?s=20
●LDKとBDKを用いて構築された、Lightningノードライブラリ「LDK Node」
わかりやすいインターフェースと統合されたオンチェーンウォレットを提供することで、迅速・簡単にセルフカストディアルなLightningノードがセットアップ可能に
https://twitter.com/lightningdevkit/status/1671911520475795456?s=20
●Lightning NetworkのUXの課題と解決策
https://twitter.com/BTCillustrated/status/1671098522895101952
●統合ビットコインプラットフォーム「nodeless」
オンラインストアやチャリティ、募金活動でBitcoinとLightningの支払いを受け付け。
コールドストレージやLightningアドレスで直接支払いを受けることができる。
https://nodeless.io/
1.2. 他チェーン・要素技術
1.2.1. 他チェーン
●Polygon Labs、Polygon PoSをzkEVM validiumにアップグレードする提案を発表
https://twitter.com/0xPolygonLabs/status/1671208777784209441?s=20
1.2.2. 要素技術
●Ledger Recoverホワイトペーパーが公開されている
https://twitter.com/P3b7_/status/1671489334858375168?s=20
Section2: Business
2.1. アダプショントピック
2.1.1. ペイメント
●lightning クレーンゲームなど組み立てお遊び会〜DIY lightning〜
https://428lab.connpass.com/event/287697/
●BTCを受け入れてくれるチャリティの一覧
https://www.lopp.net/bitcoin-information/charity.html
●Binance、入出金へのLightning統合に取り組んでいるとのこと。
BinanceのLightningノード発見が話題になったことについても、それは自分達だと表明している
https://twitter.com/binance/status/1671042638592589826?s=20
●SAP、Stablecoinによるクロスボーダー決済「SAP Digital Currency Hub」のプレビューを開始
米ドルやユーロのトークン化されたバージョンであるUSDCやEUROCでクロスボーダー取引を決済するもの
2.1.2. 投資
●Gemini、米国での規制強化に伴いアジア太平洋地域での拡大計画を発表
https://www.gemini.com/blog/gemini-announces-expansion-plans-in-apac
●カストディアンPrime Trustから、「ネバダ州当局の命令により、すべてのフィアットおよびデジタル資産の入出金停止を停止する」旨の通知を受け取ったとするStablyのブログ
https://support.stably.io/en/articles/8039846-prime-trust-halting-deposit-withdrawal
●米ネバダ州規制当局は、Prime Trustが債務超過に陥っており、顧客の引き出し要求に応じることができなかったとして、同社を営業停止処分にした旨を発表
https://fid.nv.gov/uploadedFiles/fidnvgov/content/Opiniime%20Trust%20-%20C%20and%20D%206.21.23.pdf
●BitGoはPrime Trust社の買収を中止する旨を発表
https://twitter.com/BitGo/status/1671869979321577472?s=20
●The State of Crypto Summit(6/22, NewYork)
Financial TimesとCoinbaseによるTradFi &DeFiのワンデーイベント
https://stateofcryptosummit.live.ft.com/
2.1.3. 社会生活
●アフリカにおける暗号通貨に対する消費者の見方に関する、ケニアの調査会社Kasi Insightsの調査レポート
アフリカ住民の66%が暗号通貨に触れたことがある一方、82%は暗号通貨を所有したことがないと回答
残る18%のうち暗号通貨保有を認めたのは8%のみ
https://www.kasiinsight.com/_files/ugd/9829f0_fe85609153174f618e930b24f35e24f7.pdf
●フィリピン、ボラカイ島でビットコインが急速に普及|Diamond Hands Magazine Vol.90
2.2. 金融機関のデジタルアセットサービス
2.2.1. 米国
●上場投資信託(ETF)プロバイダーであるWisdomTreeによる、Cboe BZX取引所に上場するWisdomTree Bitcoin Trustの承認を求める申請
https://www.sec.gov/ix?doc=/Archives/edgar/data/1850391/000121465923008647/p620230s1a2.htm
●「Invesco Galaxy Bitcoin ETF」を上場し取引するための規則変更案が米SECに提出されている
https://cdn.cboe.com/resources/regulation/rule_filings/pending/2023/SR-CboeBZX-2023-038.pdf
●Charles Schwab・Citadel Securities・Fidelity Digital Assetsなどが名を連ねるデジタル資産プラットフォームEDX Marketsが取引開始を発表。
今年後半には新たなクリアリングハウス事業を開始へ
●Valkyrie Investmentsが新たにBitcoin ETFを申請
●Mastercard、「Mastercard Crypto Credential」という商標を出願
https://twitter.com/KondoudisLaw/status/1670759516172951553?s=20
●BlackRock、Financial Timesと共催によるCoinbaseのCrypto Summitにおいて、「規制上のハードルが克服された場合のDeFiの意味合いについて顧客と議論している」とした上で、トークン化・ステーブルコインおよびDeFiを関心分野と見つつも、「大手機関投資家がDeFiに参加できるようになるのはまだ何年も先のこと」との見方を発表したとの、Bloomberg報道
●BlackRock、トークン化については、「機関投資家による導入には予想以上に時間がかかるものの、長期的にはエコシステムを形成する上で記念碑的なものになる」との見方。
一方、DeFiについては、「マネーロンダリング防止やKYCの問題が常にある。誰が流動性プールに参加しているのかを明確に理解する必要がある」といった点が、機関投資家の参加にとって大きな障害であると指摘している。
2.2.2. 欧州
●スペインSantander銀行、ウェブサイトの「Things that inspire us」コーナーでLightningを解説
欠点として「支払いをペイメントチャネルに接続しているユーザにしか行えないこと」「現在も開発が続けられているプロトコルゆえ大金を伴う取引には推奨されないこと」および「チャネルの流動性を制限しているため高額取引にむかないこと」を挙げている
https://www.santander.com/en/stories/lightning-network-blockchain
●Deutsche Bank、デジタルアセットカストディサービスを運営するためのライセンスを申請
●仏Credit Agricole もBitcoinカストディ提供へ
Credit Agricole とSantander、仏当局AMFにデジタルアセットカストディプロバイダーの登録
https://twitter.com/BTC_Archive/status/1671882040277610503?s=20
●HSBCも「HSBC Innovation Banking」という商標を出願
https://twitter.com/KondoudisLaw/status/1670782096200069121?s=20
2.2.3. 日本
●ステーブルコインを日本で発行へ、MUFGが複数の国内外企業と準備
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-06-23/RWA1CXT0G1KW01
2.3. 中銀デジタル通貨
2.3.1. グローバル
●BIS Innovation Hubと英国中銀BoE、「Project Rosalind」の結果を発表。
APIを用いて、決済プロバイダーと中央銀行台帳とを統合
18のデジタルポンドのユースケースを試行(条件付き決済やプログラマビリティをサポート)
DIDやVCの実験も
●IMF、決済・金融契約のプログラミングおよび情報管理の三層からなる「XCプラットフォーム」を発表
公共政策の目標に沿って国境を越えた決済を強化するためのプラットフォームの設計とガバナンスについて述べた「決済・契約プラットフォームの台頭」ノート
●国際決済銀行(BIS)、「年次経済報告2023」のうち「将来の通貨システムの青写真」セクションを公開
暗号とDeFiはトークン化の有望性を垣間見せてくれたものの未来を担うことはできないとした上で、一方で銀行による許可制のトークン化プロジェクトは新たなサイロ化をもたらすとし、相互運用が必要なだけでなく、決済にはホールセールCBDCを利用するのが理想的だと述べている
これらに対処する「Unified Ledger」を提示している
https://www.ledgerinsights.com/bis-unified-ledger-tokenization/
https://www.bis.org/publ/arpdf/ar2023e3.pdf
2.3.2. 欧州
●フランス銀行総裁の「欧州における将来を見据えた銀行・決済セクターの構築」スピーチ
中銀は個人口座を開設するつもりはなく、デジタルユーロ口座には保有限度額が適用され、価値の貯蔵としてではなく、決済手段として機能することが保証される。
ホールセールCBDCについて金融機関と積極的に協力しており、トークン化された金融とトークン化された証券の育成、およびクロスボーダーの相互運用性の促進に取り組んでいる。
2.3.3. アジア太平洋ほか
●シンガポールMAS、CBDCやトークン化銀行預金およびStablecoinなどのデジタルマネーの使用条件を指定する共通プロトコルを提案する「Purpose Bound Money (PBM) 」のホワイトペーパーを発表。
Store of Valueの発行者ではない第三者が開発できるプログラム・ロジックを有することが特徴。
サービス義務や利用条件を満たした場合にのみ送金が行われるようにプログラムされたビジネスモデルに対応。
https://www.mas.gov.sg/news/media-releases/2023/mas-proposes-standards-for-digital-money
Section3: Regulation
3.1. グローバル
●IMF、国際的に通用するCBDCの基盤整備へ=専務理事 | Reuters
https://jp.reuters.com/article/imf-cdbc-idJPKBN2Y600K
●IMF、「ラテンアメリカとカリブ海諸国では中銀デジタル通貨への関心が高まる一方、暗号通貨の利用は様々」とする記事を発表。
「リスクを考慮して暗号資産を完全に禁止している国もあるものの、このアプローチは長期的には有効ではないかもしれない」とした上で、「その代わりに、この地域は、市民が満たされていないデジタル決済ニーズなど、暗号資産需要の原動力への対応と、暗号資産取引を国家統計に記録することによる透明性の向上に重点を置くべきである」と結んでいる。
3.2. 米国
●米SECの暗号資産業界に対する取り締まりの次のターゲットは、StablecoinとDeFiになる可能性が高いとの見方
●米FRB議長、決済用Stablecoinは貨幣であり、中銀は米国内における発行を承認する役割を果たすべきとの見方を示す
https://www.theblock.co/post/235858/fed-should-play-role-in-regulating-stablecoins-chair-powell-says
●米国土安全保障省、「ダークネット市場およびデジタル通貨犯罪タスクフォース」を発足
3.3. 欧州
●仏当局AMF、DeFiの定義・概要・分散型取引プロトコルやガバナンスに関連するメカニズムなどに関するレビューレポートを発表
●英国上院、金融サービス・市場法案を貴族院で承認。Stablecoinに加えて、全ての暗号通貨が規制対象として追加された
https://decrypt.co/145300/crypto-laws-enter-final-stages-of-uk-parliamentary-process
●ベルギー当局FSMA、Binanceに対してベルギー国内の仮想通貨サービスの提供を直ちに停止するよう命令
Disclaimers
This newsletter is not financial advice. So do your own research and due diligence.