Bitcoin・クリプト・web3をめぐる今週のニューストピックを、①テクノロジー・②ビジネス・③規制まわり、で振り返る。
今週の注目トピックは、
東京電力パワーグリッド等が、再エネと半導体による「分散コンピューティング」を実装へ
OECD、「クリプトウインターからの教訓(DeFi vs CeFi)」と題するレポートを発表
JPMorgan Chase、「米国家庭における暗号資産利用の動態と人口統計学的特徴」レポートを発表
デジタル資産取引の共通基盤整備へ合弁会社を設立
タイ当局、投資家保護に向けデジタルアセットへの規制強化へ
米上院Elizabeth Warren議員、ウォレットのセルフカストディに対処する法案「デジタル資産アンチマネーロンダリング法」を提出
Section1: Technology
1.1. Bitcoin
1.1.1. L1
●Bitcoin Core 24.0.1リリースノート(日本語)
https://bitcoincore.org/ja/releases/24.0.1/
●Bitcoinのガバナンスに関するリソースリンク集。
Bitcoinのガバナンスモデルは公式に記述されたものがあるわけでもなく、従来のガバナンスに反するものであるものの、観察を通じて明らかにできるとしている
https://www.lopp.net/bitcoin-information/governance.html
●「Austin Bitcoin Developers Socratic Seminar 35(12/15)」のトランスクリプト書き起こし。(アジェンダはこちら)
https://diyhpl.us/wiki/transcripts/austin-bitcoin-developers/2022-12-15-socratic-seminar-35/
●ベトナムのダナンで開催されるLightningcon Vietnam(3/23-3/24)
●Nigeria Bitcoin Conference(2023/3/24-3/25)
https://nigeriabitcoinconference.com/
1.1.2. L2:Lightning Network
●Lightning Networkサポートや関連サービスを提供する交換所のキュレーションリスト
https://github.com/cointastical/Exchanges-With-LN
●Lightning取引に Discreet Log Contract (DLC) で表現されたContract for Difference (CFD) tradingを提供することを目指す「10101」。LightningへのDLCサポート追加を提案している
https://makers.bolt.fun/story/how-10101-is-bringing-cfds-to-lightning--352
●第二回Diamond Handsミートアップ参加レポート
「15分でわかる Lightning Network」
https://spotlight.soy/detail?article_id=dznoicu0x
「ライトニングとゲーム応用」
https://spotlight.soy/detail?article_id=106l4x2n4
「RGB プロトコルのググりかた」
https://spotlight.soy/detail?article_id=y6ijato8e
「セルフホスティングに関するライトニングのセキュリティについて」
https://spotlight.soy/detail?article_id=6tezoc1ym
1.2. Ethereum
●(特になし)
1.3. 他チェーン・要素技術
●IdM実験室: SBT/DID/VCを紐解いてみる
https://idmlab.eidentity.jp/2022/12/sbtdidvc.html
Section2: Business
2.1. アダプショントピック
2.1.1. 投資
●Bankman-Fried氏、米国の検察当局から刑事告発を受けた逮捕とバハマ政府が声明
https://www.nytimes.com/2022/12/12/business/ftx-sam-bankman-fried-bahamas.html
●米CFTCを原告とし、SAMUEL BANKMAN-FRIED氏とFTX TRADING LTDを被告とする訴状。そして逮捕へ
●SBFが行う予定だった議会証言の草稿とみられる文書がForbes記事にて公開
●FTX、Embed Technologies・LedgerX LLC・FTX JapanおよびFTX Europeの売却を希望しているとのこと
https://decrypt.co/117412/ftx-files-sell-four-independently-operated-subsidiaries
●Binanceのリザーブを審査した監査法人Mazars、Binance・Crypto[.]com向け業務を停止との報道
●「やさしいDeFi」動画:FTX事件を語り合う&セルフカストディのすすめ
「やさしいDeFi」動画の書き起こし・要約議事
FTX事件を語り合う&セルフカストディのすすめ - 投資・トレード メディア - Burry Market Research
https://burry.co.jp/articles/discussing-the-ftx-case-self-custody-recommendations/
「FTXとリーマンブラザーズは似ている」「2018年前後に開発されたプロジェクトが21年のDeFiサマーで花開いた」など
https://burry.co.jp/articles/ftx-lehman-brothers/
●ConsenSys、MetaMaskで暗号通貨を購入する新しい方法としてPayPalと提携
PayPalがMetaMaskウォレットにシームレスに統合され、PayPalでEtherを購入する方法を提供へ
まず一部の米国ユーザーに対して提供され、今後数週間のうちに対象となるすべての米国ユーザーに展開される予定とのこと
2.1.3. マイニング
●アジャイルエナジーX、TRIPLE-1、東京電力パワーグリッドが、再生可能エネルギーと先端半導体をハイブリッドさせた「分散コンピューティング」を実装へ
東京電力パワーグリッド社が、東京電力パワーグリッドの100%子会社であるアジャイルエナジーX社 および 先端半導体の設計・開発を手がけるTRIPLE-1の3社が、「MW2MHプロジェクトの事業化検討にかかる基本合意書」に基づく方針および精神を踏まえ、戦略的パートナーシップを構築する覚書を締結したことを発表した。
本覚書に基づき、アジャイルエナジーX社 は、再生可能エネルギーの余剰電力と TRIPLE-1社 の先端半導体をハイブリッドさせた「分散型データセンター」を日本各地に展開させていくことによって、カーボンニュートラル社会の実現と電力系統混雑の緩和に貢献していくとしている。
日本最大の電力会社が余剰電力でBitcoinのマイニング事業展開、と伝える報道も
https://www.tepco.co.jp/pg/company/press-information/information/2022/pdf/221214a.pdf
2.1.4. 社会生活
●スイスLuganoにおけるBitcoinアドプション状況のレポート記事(抜粋)
トップダウン・アプローチの推進はBitcoinのアンチテーゼであり、ボトムアップの必要性を主張。
エルサルバドルにおいて普及率が伸びていない背景として、「Chivoの使いにくさ」「教育水準がまだ低いこと」「ほとんどの人が政府を信頼していないこと」を挙げている。
Bitcoinを法定通貨にした後、政府はBitcoinの必要性に関する説明・教育に対して、大きな努力をふりむけていない。
これに対して、Luganoのアプローチは、使いやすいソリューションを提供した上で、マーチャント向けにイベントやワークショップを開催して技術の仕組みを説明し、一般の人々への啓蒙活動も行っており、その結果、マーチャントがLightning Netoworkを利用している。
制度的な導入は、おそらくサトシ・ナカモトがBitcoinを作ったときに考えていたことではないだろうと。
資金を使いたがらない「ビットコイナー」がまだ大勢いるが、Bitcoinを成功させるためには、Bitcoinを使う必要があり、これは自動的に起こることではない。
積み立てている資金を使う必要はなく、200ドルのビットコインを買った上で、スマホのウォレットに入れておいて、それを使えばいい。
https://medium.com/@Il_Mars_/the-state-of-bitcoin-adoption-in-lugano-december-2022-ce30aec530a6
2.2. 金融機関のデジタルアセットサービス
●JPMorgan Chase、「米国家庭における暗号資産利用の動態と人口統計学的特徴」レポートを発表。
男性・アジア人・高所得の若年層ほど、暗号資産の利用が進んでいる他、低所得者は高所得者より高い価格で購入した可能性が高いと指摘
2.3. 中銀デジタル通貨
2.3.1. 欧州
●英国中銀BoE、CBDCのサンプルウォレットを提供するサプライヤー募集を開始
https://www.digitalmarketplace.service.gov.uk/digital-outcomes-and-specialists/opportunities/18948
2.3.2. アジア太平洋ほか
●豪州中銀のCBDCパートナー、先進国ではホールセールCBDCがリテールCBDCに先行するというレポートを発表
2.3.3. 日本
●日本銀行、12月20日に「決済の未来フォーラム デジタル通貨分科会:中央銀行デジタル通貨を支える技術(第5回会合)」を開催へ
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2022/rel221128c.htm/
2.4. デジタル証券
2.4.1. 欧州
●Credit Suisseなど3行、パブリックブロックチェーンに記録されたトークン化投資商品を発行し、BXスイス証券取引所で取引する実証を実施
https://cmta.ch/news-articles/trading-and-settlement-in-digital-securities
2.4.2. 日本
●デジタル資産取引の共通基盤整備へ合弁会社を設立。新会社には、NTTデータやJPX総研、みずほ信託銀行、三井住友信託銀行、三井住友フィナンシャルグループ、SBI PTSホールディングスが資本参加するとのこと。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB135E80T11C22A2000000/
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20221216-OYT1T50175/
Section3: Regulation
3.1. グローバル
●FSBが2023年初頭に暗号通貨を管理する新しい国際ルールを発表する意向を示したとするFT報道。暗号通貨プロバイダーを「銀行と同じ基準」で拘束するもの
●米司法省において、Binanceの告発を巡って意見が分かれているため、2018年以来の長期にわたる犯罪捜査の結論が遅れているとする、Reuters報道
●OECD、「クリプトウインターからの教訓(DeFi vs CeFi)」と題するレポートを発表
トピックとして、1) 暗号資産エコシステム内の高い相互接続性、2) レバレッジの多用やコンポーネントの組合せによる複雑な構造、3) マーケットの集中化、を挙げている
https://www.oecd-ilibrary.org/finance-and-investment/lessons-from-the-crypto-winter_199edf4f-en
●Ellipticによる規制アウトルックレポート。
欧州MiCAが暗号通貨規制の青写真に。クロスチェーンのマネロンリスク対処で規制強化。DAOも規制に直面。制裁圧力はマイニング・ミキサー・DeFiを焦点に引き続き強化
https://www.elliptic.co/hubfs/Reg_Outlook_Report_2023_WEB.pdf
3.2. 米国
●米上院Elizabeth Warren議員、ウォレットのセルフカストディに対処する法案「デジタル資産アンチマネーロンダリング法」を提出。
「FinCENは、カストディアンおよび非ホスト型ウォレットプロバイダ、暗号通貨マイナー、バリデータ、または第三者取引の検証またはセキュリティ確保のために行動する可能性のあるその他のノード、MEV サーチャーを含む独立ネットワーク参加者およびネットワークプロトコルに対する制御を行うその他のバリデータをマネーサービス事業者として分類する規則を公布する」こととしている。
ウォレットサービスプロバイダー等を「貨幣サービス会社」として扱うようFinCENに指示するものであり、AML/KYCを求めるもの。
併せて、金融機関がデジタルアセットミキサーサービスやその他のプライバシー強化技術を使用することを禁止。
https://www.warren.senate.gov/imo/media/doc/DAAML%20Act%20of%202022.pdf
https://en.cryptonomist.ch/2022/12/15/latest-news-crypto-regulation/
●CoinCenterは、暗号通貨のセルフカストディ・開発者・ノード運営者に対する違憲の攻撃であり、次のFTXを防ぐものは何もなく、ユーザーをより危険にさらすことになると指摘
ソフトウェア開発やネットワーク上のトランザクション検証など、パブリックブロックチェーンの維持に貢献する人に、金融機関としての登録を強制するもの
個人情報を特定・記録
AMLプログラム開発
ユーザーに関するレポート提出
ノンカストディアルなインフラ提供者やソフトウェア開発者を、金融サービスの監視と規制の対象として、許可制を課すことを意図している。
これらのネットワークのすべての検証者と開発者に、そのインフラのゲートと監視を強制することによって、パーミッションレスチェーンを米国人が利用できないようにされている。
この法案が成立すると、米国人が暗号通貨を利用できるのは、完全に許可され監視された環境に限られることになる。
一方で、この法案は、金融監視にのみ焦点が当てられており、FTXの破綻を招いた企業管理の問題には一切触れていないことを指摘。
カストディ型暗号通貨取引所に対する規制の枠組みは必要。
しかし逆に、この法案は、デジタルアセットのセルフカストディというを事実上違法化するものであり、消費者が自らの資産を管理することを禁じ、保護するどころか危険にさらすことになると指摘している。
3.3. 欧州
●欧州当局ESMA、DLT市場インフラの運営許可申請ガイドラインを含む最終報告書を発表
●ドイツ当局Bafin、FTXの崩壊を受けて、暗号産業のグローバルな規制を求める意向
https://news.bitcoin.com/time-for-serious-global-crypto-regulation-germany-says/
3.4. アジア太平洋ほか
●香港、Bitcoin先物・Ether先物に連動したETFを上場へ
https://www.regulationasia.com/hong-kong-to-list-first-crypto-futures-etfs-on-16-dec/
●タイ当局、投資家保護に向けデジタルアセットへの規制強化へ
https://crypto.news/thailand-sec-to-implement-tighter-regulations-for-crypto/
●豪中銀、Stablecoinをめぐる市場の発展、リスク、規制についてレポート記事を発表
3.5. 日本
●「事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)」の一部改正(案)の公表について:金融庁
暗号資産交換業者への監督上の対応等について、所要の改正を行うもの
https://www.fsa.go.jp/news/r4/sonota/20221216-2/20221216-2.html
●経産省|第10回 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会
経産省| Web3.0事業環境整備の考え方 ー今後のトークン経済の成熟から、Society5.0への貢献可能性までー
松尾真一郎教授提出資料「ブロックチェーンのイノベーションに対する価値とグローバルな視点で推進のための注力すべきこと」
●与党税制改正大綱
https://storage.jimin.jp/pdf/news/information/204848_1.pdf
●「Web3ビジネス、24年までは海外流出が続く」 増島雅和弁護士:日経ビジネス電子版
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00518/120500012/
Disclaimers
This newsletter is not financial advice. So do your own research and due diligence.