クリプト・web3をめぐる今週のニューストピックを、①テクノロジー(Bitcoinなど)・②ビジネス(ペイメントやDeFi・NFTなど)・③規制まわり、で振り返る。
今週の注目トピックは、
Bitcoin Lightningが注目される理由
Stripe、フリーランサーがUSDC経由で資金を受け取ることを可能に
米コロラド州、米国で初めてBitcoinを税金支払いで利用可能に
スペインの暗号通貨取引所Eurocoinpay、Mastercardと提携し暗号通貨ベースのデビットカード提供へ
Ethereumに関連する証券法の技術的・法的状況トピックスをまとめたサイト
EthereumからフォークしたPoWチェーン「ETHPoW」、Gnosisチェーン上のOmni Bridgeを通じてreplay exploit被害に
イタリア中銀、「What's next for crypto?」と題するOccasional Paperを発表
英当局FCA、FTXについて、許可を得ずに英国で金融サービスまたは商品を提供している可能性があるとして取引に注意するよう警告
米CFTC、はじめてDAOを提訴
欧州MiCA最終報告書のリーク版、Stablecoin規制が削除へ
米Nasdaq、機関投資家向けBitcoinおよび暗号通貨のカストディサービスを開始
ドイツ証取Deutsche Börse、デジタル証券ポストトレード・プラットフォーム「D7」上でデジタル証券を発行へ
野村ホールディングス、デジタルアセット子会社「Laser Digital Holdings AG」をスイスに設立
シンガポールDBS銀、認定投資家である富裕層顧客向けにDBS digibankアプリで自己勘定による暗号資産取引機能を開始
Section1: Technology
1.1. Bitcoin
1.1.1. L1
●x-only public keyの課題とワークアラウンドな回避策
> ちょっと前のBitcoin Optechのニュースレターでx-only public keyの課題とその回避策について取り上げられていたので、詳しく調べてみた。
> Bitcoinに導入されたTaprootでは、署名検証に使用する公開鍵に32バイトのx-only public keyという形式を採用した。
https://techmedia-think.hatenablog.com/entry/2022/09/20/204300
●フィリピンにビットコイン・アイランド/The Merge完了でPoW攻撃が本格化
1.1.2. L2:Lightning Network
●Bitcoin Lightningが注目される理由について
Lightningの中核は「即時無料決済」であるとし、Lightningウォレットの他に、「Lightningネイティブのキャッシュアプリ」「クリプトネイティブのチャット」「マイクロペイメントアプリ」および「より高度な金融サービス」を紹介している。
Strikeでは、Lightningネイティブのキャッシュアプリとして、受け取った給与の一部をBitcoinに変換したり、Twitterなどと統合してLightningのチップを可能にしたり、Shopifyと統合して、マーチャントがドルを受け取りながらBitcoinの支払いを受けとることができる。
Sphinxは、クリプトネイティブのチャットとして、スパムやボット行為が行われないように、各メッセージに少額の取引手数料が発生するほか、コンテンツに対してLightning上でBitcoin支払いを受けることができる。
DALLE-2 Lightning Botは、画像生成プロンプトを送信すると、約0.20ドルのLightning請求書が送られ、支払うことによって画像が手に入る。
Kolliderは、Lightningウォレットを使用して、取引口座への事前資金投入を必要なしに、最大20倍のマージンでデリバティブを取引できる。
●ライトニングの普及はモバイルゲームが鍵となる?
●THNDR Games、Bitcoin普及促進に向けて、カードゲーム「ソリティア」をプレイしながらBitcoinを獲得できるモバイル版「Club Bitcoin: Solitaire」をローンチ。
収益の一部をBitcoin毎日抽選でユーザーに分配。
ゲーム内でチケットを集め、それが毎日抽選され、全員が毎日当選する仕組み。
なお、THNDRにはウォレットが内蔵されておらず、ユーザーは自分でWallet of Satoshiなど、Lightning対応ウォレットを選んで接続する必要がある。
Bitcoinベースのソリティアなどが並ぶ、THNDR GamesのWebサイト。
●Bitcoinに特化したモバイルゲーム開発会社THNDR GAMESのLightningを活用したビジネス拡大にむけ、ノンカストディアルな方法でインフラ拡張を支援するVoltageのケーススタディ記事。
カストディアルソリューションの場合、Bitcoinのな利点を阻害する他、引出しのしきい値を設けることになり、ユーザーにとってネガティブな体験が顕在化するとして、ノンカストディアルな支払いオプションを提供することによって、ユーザーが好きなときに賞金にアクセスできるようにしている。
https://voltage.cloud/blog/case-studies/thndr-games-case-study/
1.2. Ethereum
1.2.1. L1
●イーサリアムの開発エネルギーの凄さと他分野での再現性
https://note.com/nrryuya/n/n6e1c21da5901
●Ethereumに関連する証券法の技術的・法的状況トピックスをまとめたサイト
https://isethereumasecurity.com/index.html
●EthereumからフォークしたPoWチェーン「ETHPoW」、Gnosisチェーン上のOmni Bridgeを通じてreplay exploit被害に。
PoWチェーン上のOmni Bridgeが古いchainIdを使用していたことが原因とのこと
https://blocksecteam.medium.com/reveal-the-message-replay-attacks-on-ethereumpow-64e4feee991c
Section2: Business
2.1. アダプショントピック
2.1.1. ペイメント
●Stripe、フリーランサーがUSDC経由で資金を受け取ることを可能に。
USDCの追加により、Stripeのクロスボーダー決済は110カ国以上、44億人以上となり、世界人口の過半数を占めるようになる。
https://stripe.com/newsroom/stories/braintrust-crypto-payouts
●スペインの暗号通貨取引所Eurocoinpay、Mastercardと提携し暗号通貨ベースのデビットカード提供へ
2.1.2. 投資
●Bitcoinの初期から暗号シーンに影響を示してきた、KrakenのJesse Powell CEOが退任を発表
2.1.3. 社会生活
●米コロラド州、米国で初めてBitcoinを税金支払いで利用可能に。なお「暗号通貨を使用して支払うことができるのはPayPalパーソナルアカウントのみ」としている
https://bitcoinmagazine.com/legal/colorado-now-accepts-bitcoin-payments-for-taxes
●暗号通貨による州税支払いオプションは、個人所得と企業所得を含むすべての州税請求書に提供される予定。
コロラド州知事がDenver Startup Weekのキックオフイベントで発表
2.2. 金融機関のデジタルアセットサービス
2.2.1. 米国
●米Nasdaq、機関投資家向けBitcoinおよび暗号通貨のカストディサービスを開始
https://bitcoinmagazine.com/markets/nasdaq-to-launch-crypto-custody-services
2.2.2. アジア太平洋ほか
●シンガポールDBS銀、認定投資家である富裕層顧客向けにDBS digibankアプリで自己勘定による暗号資産取引機能を開始。
DBS digibankを通じて、DBS Digital Exchange(DDEx)の暗号通貨を自分の都合に合わせて取引可能に。
従来、DDExでの暗号資産取引は、企業や機関投資家・ファミリーオフィス・DBSプライベートバンクとDBS Treasures Private Clientの顧客のみに限定されていた。
これを、DBS Treasuresセグメントの認定投資家も利用できるようにするもので、シンガポールの推定10万人の投資家がこの基準を満たし、DBSのデジタル資産エコシステムが提供するサービスを利用できるとのこと。
2.2.3. 日本
●野村ホールディングス、デジタルアセット子会社「Laser Digital Holdings AG」をスイスに設立。
セカンダリー・トレーディング、ベンチャー・キャピタル、投資商品の三つの分野にフォーカスした上で、今後数カ月のあいだに新しいサービスや商品群を段階的にローンチ予定
https://www.nomuraholdings.com/jp/news/nr/holdings/20220921/20220921_b.pdf
2.3. 中銀デジタル通貨
2.3.1. 中国
●中国人民銀行、e-CNYの試験運用を広東省・河北省・江蘇省・四川省に拡大へ
●香港HKMA、「e-HKD」のトライアルを第4四半期に開始へ
2.4. デジタル証券
2.4.1. 欧州
●ドイツ証取Deutsche Börse、デジタル証券ポストトレード・プラットフォーム「D7」上でデジタル証券を発行へ
https://www.ledgerinsights.com/deutsche-borse-digital-securities-dlt-d7/
●デンマーク当局、グリーンボンド向けのDLT試験プロセスを開始。
サンドボックスでトークン化されたグリーンボンドの発行に取り組む予定
https://www.ledgerinsights.com/denmark-eu-dlt-pilot-green-bonds/
Section3: Regulation
3.1. 米国
●米CFTC、はじめてDAOを提訴。
bZeroX, LLCとその創設者に25万ドルの罰金を課した上で、Ooki DAOを違法な取引所外デジタル資産取引の提供、登録違反、銀行機密法の不遵守で提訴している。
デジタル資産のレバレッジおよびマージン付き小売商品取引を違法に提供し、登録先物取引業者(FCM)だけが実行できる活動に従事し、FCMに求められる銀行秘密法遵守プログラムの一環として顧客識別プログラムの導入を怠っていたとするもの。
https://www.cftc.gov/PressRoom/PressReleases/8590-22
●ファクトシート:ホワイトハウス、デジタル資産の責任ある開発に向けた初の包括的なフレームワークを発表(参考程度の日本語訳)
https://mirror.xyz/caicaikiki.eth/ouuYOTMuiVshDMsM5PIQO1F6rlRp93PQUsiMYbrOQa8
●米国下院、アルゴリズム型Stablecoinを2年間禁止する法案
3.2. 欧州
●イタリア中銀、「What's next for crypto?」と題するOccasional Paperを発表。
クリプト産業は重要な分岐点にある。
特定の大型プロジェクトの失敗とマクロ環境の悪化が重なり、システミックな危機を招いた。
資産価格の暴落、専門ファンドの破綻、企業の倒産が相次ぎ、詐欺、盗難、不適切なリスク管理、不良ガバナンスなど、この業界を長く苦しめてきた悪弊がより一層明らかになった。
クリプト産業の終わりなのかとも言われるが、本稿では、そうである必要はないと考えている。
そのための重要な条件として、規制当局とクリプト産業が、建設的かつ創造的に協力する方法を学ばなければならない。
https://www.bancaditalia.it/pubblicazioni/qef/2022-0711/index.html
●英当局FCA、FTXについて、許可を得ずに英国で金融サービスまたは商品を提供している可能性があるとして取引に注意するよう警告している
https://www.fca.org.uk/news/warnings/ftx
●欧州MiCA最終報告書のリーク版、Stablecoin規制が削除へ
EU内での米ドルペッグトークンの使用に関する制限が取り除かれているとのこと
https://www.theblock.co/post/171740/stablecoin-restriction-dropped-from-e-u-digital-asset-framework
●英国議会に「経済犯罪・企業透明化法案」が提出。
マネーロンダリングに対抗した「犯罪収益法」を強化することを通じて、法執行機関による「暗号資産の押収、凍結、回収」を「より容易かつ迅速に」行うことが可能に
https://decrypt.co/110374/united-kingdom-introduces-bill-to-make-crypto-seizures-easier-and-quicker
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