クリプト・web3をめぐる今週のニューストピックを、①テクノロジー(Bitcoinなど)・②ビジネス(ペイメントやDeFi・NFTなど)・③規制まわり、で振り返る。
今週の注目トピックは、
米政権、暗号通貨マイニングのエネルギー消費量と排出量を削減するための政策提言へ
NY州、炭素系電源で稼働するBitcoinマイニングを禁止する法案を可決
米議会議員へ技術専門家たちが公開書簡を提出
米司法省、OpenSeaの元プロダクトマネージャーをインサイダー取引で起訴
英国大蔵省、Stablecoin発行者破綻時の枠組みを示すコンサルテーションペーパーを発表
Terra上のDeFiアプリケーションMirror Protocolにおいて、更なるエクスプロイトが指摘
Solana、4時間にわたってネットワーク停止
CoinbaseやGemini、「クリプトの冬」に備え人員削減を発表
金融庁、「海外のステーブルコインのユースケース及び関連規制分析に関する調査」報告書を公表
Section1: Technology
1.1. Bitcoin
1.1.1. L1
●(特に無し)
1.1.2. L2:Lightning Network
●Lightningにおける、流動性の受け取りに関する問題と、対処するためのアイデアについて
https://bitcoinmagazine.com/technical/sourcing-bitcoin-lightning-liquidity
●Lightning Networkのレイヤー構造図
●ライトニング支払いで日本のビンテージNFTも買えるように | kojisan | Spotlight
https://spotlight.soy/detail?article_id=jn6d68cwq
1.2. Ethereum
1.2.1. L1
●Ropsten、The Mergeが行われる最初のパブリックテストネットに。
5月30日にネットワークにコンセンサスを提供する新しいRopsten Beacon Chainがローンチ。6月8日頃にMerge見込み
1.2.2. L2
●(特に無し)
1.3. 他チェーン・要素技術
1.3.1. 他チェーン
●Solana、6月1日に4時間にわたってネットワーク停止。
直近の停止は、昨年9月・今年1月、4月30日と5月1日に続くもの。
https://status.solana.com/uptime?page=1
1.3.2. 要素技術
●a16z cryptoのニュースレター「web3 weekly」(第1号)が発行
●経済学テキスト『Modern Principles of Economics』で紹介されている「Cryptoeconomics」セクション
https://a16zcrypto.com/cryptoeconomics-in-modern-principles-of-economics/
Section2: Business
2.1. アダプショントピック
2.1.1. 投資
●Goldman Sachs Insurance Asset Managementによる保険業界レポート。
328人の最高投資責任者と最高財務責任者を対象にした調査において、回答者の6%が暗号資産に投資している または 検討中と回答
●Sheryl Sandberg氏がa16zへ
●Coinbase、雇用一時停止期間を延長。期限は明らかにされていない
●Geminiも「クリプトの冬」に備えるべく10%の人員削減を発表
https://www.gemini.com/blog/a-message-from-cameron-and-tyler
2.1.2. マイニング
●ケニア再エネ会社KenGen、欧米のBitcoin マイニング業者向けに地熱発電を提供
https://www.btctimes.com/news/kenya-energy-company-offers-geothermal-power-to-bitcoin-miners
●余剰天然ガスによるBitcoinマイニング会社Crusoe、オマーンにフレアガスを回収する発電機とマイニング装置の配置を開始
2.1.3. 社会生活
●Crypto Tax Free Countriesリストとして、ドイツ・ベラルーシ・エルサルバドル・ポルトガル・シンガポール・マレーシア・マルタ・ケイマン諸島・プエルトリコ・スイスの10ヵ国が挙がっている
https://koinly.io/blog/crypto-tax-free-countries/
●内閣府の国家戦略特区で福岡市が、「認定LPSが、暗号資産(ガバナンストークン)を発行する認定スタートアップに出資できるようにするとともに、 GP及び認定スタートアップそれぞれにつき資格(暗号資産交換業)の登録を不要とする」ことを提案
https://www.chisou.go.jp/tiiki/kokusentoc/220531goudoukuikikaigi/shiryou3.pdf
2.1.4. RegTech
●Elliptic、ブロックチェーン分析プロバイダーとして初めて、LitecoinのMimblewimbleへのサポート提供を発表。
Litecoinの取引やウォレットに、この機能を利用した資金が含まれているかどうかを特定することができるもの。
2.3. DeFi
2.3.1. Stablecoin
●Terra上のDeFiアプリケーションMirror Protocolにおいて、更なるエクスプロイトが指摘されていた。
https://forum.mirror.finance/t/another-exploit/3511
2.4. DAO
●a16zの提案するDAOの法的フレームワーク
https://a16z.com/2022/05/23/dao-legal-frameworks-entity-features-selection/
2.5. 金融機関のデジタルアセットサービス
2.5.1. アジア太平洋ほか
●タイの大手銀行、DeFiで利回り獲得へ── 機関投資家向けDeFiサービスを利用
機関投資家向けサービス「Compound Treasury」を使って利回り獲得を目指す
https://www.coindeskjapan.com/150193/
2.6. 中銀デジタル通貨
2.6.1. 米国
●米国連邦準備制度理事会(FRB)、リテールCBDCの発行が金融政策に与える影響に関するペーパーを発表。
デジタルドルが「決済」および「価値の保存」の両方に広く採用された場合、FRBは国債をさらに購入する必要が生じ、バランスシートが恒久的に大きくなる可能性があると指摘
2.6.2. 論考
●CBDCは誰にとっても効果的に公共財として機能することはないとする記事。
CBDCは暗号通貨ではない。暗号通貨の魅力である分散性・不変性・透明性・希少性・匿名性は、政府がCBDCを立ち上げている問題そのもの。
CBDCがターゲットとして設計されている問題とされるものの多くを、すでにStablecoinが解決している。
現金はプライベートであり、暗号通貨は匿名だが、CBDCはそのどちらでもない。
そのため、CBDCのコストはメリットをはるかに上回る。
2.7. デジタル証券
2.7.1. 日本
●日本取引所グループ、国内初のデジタル環境債であるグリーン・デジタル・トラック・ボンドの発行条件を決定
https://www.nomuraholdings.com/jp/news/nr/nsc/20220601/20220601.pdf
●米国Digital Asset社への出資とJV設立に関するお知らせ(SBIホールディングス)|ニュースリリース|SBIホールディングス
https://www.sbigroup.co.jp/news/2022/0527_13069.html
Section3: Regulation
3.1. グローバル
3.2. 米国
●米バイデン政権、暗号通貨マイニングのエネルギー消費量と排出量を削減するための政策提言へ。8月に報告書を発表予定。
●米CFTC、Bitcoin先物のゴーサインを得る上で当局職員を誤解させたとしてGeminiを提訴。デリバティブの基準となるBitcoin価格操作を防ぐ方法について「虚偽かつ誤解を招く発言をした」というもの
●NY州、炭素系電源で稼働するBitcoinマイニングを禁止する法案を可決。2年間にわたり、100%再生可能エネルギーを使用しない限り拡張・更新は不可に
https://www.cnbc.com/2022/06/03/heres-whats-in-new-yorks-new-bitcoin-mining-ban-.html
●米Blockchain Associationは「マイニング事業や雇用を州外や近隣に移転させるだけでどのように環境を保護するのか」と疑問を呈した上で、州知事が拒否権を発動することを期待
●技術専門家たちが米議会議員へ公開書簡を発表。
「暗号資産が無条件に良い革新的技術である」という業界の主張に対して、批判的かつ懐疑的アプローチをとるように求めている。
「金融革新であり一般市民の直面する金融問題の解決に適している」という説明への反対を表明。
https://concerned.tech/
●上記の書簡に対して「真実ではなく、署名者に暗号通貨業界で実際に働いている専門家がいない」として、1行ずつ論破を試みる記事がこちら。
https://prestonbyrne.com/2022/06/01/debunking-the-crypto-critics-letter/
●米司法省、NFTマーケットプレイスOpenSeaの元プロダクトマネージャーを史上初のデジタルアセットインサイダー取引で起訴
3.3. 欧州
●英国大蔵省、Stablecoin発行者が破綻した場合の枠組みを示すコンサルテーションペーパーを発表
Stablecoinを含むシステミックなデジタル決済資産企業の破綻を管理する上で、修正された金融市場インフラ特別管理制度(FMI SAR)の当該企業への適用という方法で、政府が提案するアプローチを示すもの。
3.4. アジア太平洋ほか
●シンガポールMAS、JPMorganやDBSなどと協働でアセットトークン化の付加価値ユースケースを探索する計画(Project Guardian)を発表
3.5. 日本
●金融庁 | このほど成立した改正資金決済法改正の法案と、概要・説明資料
https://www.fsa.go.jp/common/diet/208/index.html
●金融庁|「海外のステーブルコインのユースケース及び関連規制分析に関する調査」報告書の公表について
https://www.fsa.go.jp/common/about/research/20220603/20220603.html
●ステーブルコイン、投資家保護に軸足 海外勢参入難しく:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB081GK0Y2A500C2000000/
Disclaimers
This newsletter is not financial advice. So do your own research and due diligence.