Bitcoin・クリプト・web3をめぐる今週のニューストピックを、①テクノロジー・②ビジネス・③規制まわり、で振り返る。
今週の注目トピックは、
LN Markets、機関投資家向けのデリバティブ取引の新しい方法としてDLC Marketsを導入
ジンバブエの低帯域幅環境下におけるLightningウォレットの動作比較
Google、暗号通貨トラストが商品を宣伝することを広告ガイドラインで許可
米CFTC委員長、BitcoinETF承認を受けて規制の現状について重大な懸念を示し、デジタルアセットの包括的規制を求める
米エネルギー情報局(EIA)、米国のマイニング業者の電力使用量の調査開始へ
Section1: Technology
1.1. Bitcoin
1.1.1. L1
●Repairable Threshold Scheme - Develop with pleasure!
https://techmedia-think.hatenablog.com/entry/2024/02/02/192300
●Bitcoin Optech Newsletter #287 |RBFルールを使ってv3トランザクションの置換を許可することで、cluster mempool への移行を容易にする提案について
https://bitcoinops.org/en/newsletters/2024/01/31/
●mempoolが満杯になり、ノードが自分のmempoolからトランザクションの退避を開始する必要があるときに、ノードが最後にマイニングしたトランザクションから退避を開始することを保証する「クラスタmempool」
https://bitcoinops.org/en/topics/cluster-mempool/
●Taproot Swapsは、TaprootのSchnorr署名を活用することによって、より少ないチェーンフットプリントでより多くのプライベートスワップを可能にし、払い戻しにかかる煩わしい待ち時間をなくすもの
●DLCを使って構築した、Superposition(イベントを作成しそれを証明することができる、DLCのオラクルアプリ)とNote-Duel(オラクルを使ってNostrのノートをSuperpositionの結果に賭けることができるコントラクト)という2つの実験についての紹介
https://blog.mutinywallet.com/note-duel-superposition/
●Anserは、Albyブラウザ拡張機能とシームレスに統合されたLiquidネットワーク用のセルフカストディアルウェブウォレット
クライアントサイドのウォレットとして機能し、トランザクションの署名タスクはAlbyブラウザ拡張機能で行うことで秘密鍵への直接アクセスを必要としないため秘密鍵がデバイスに安全に保存でき、プライバシーを保護できるのが特徴。
https://community.liquid.net/c/developers/introducing-anser-a-liquid-companion-for-alby
●BitVMのロールアップにとっての重要性について。
オンチェーン不正証明メカニズムを使って計算をオフチェーンで行うことにアイデアの革新がある
資産であるBTCにより多くの有用性を提供する可能性のある新しいアプリケーションを、Bitcoin上で開発できるようになる
https://www.bitcoinrollups.io/bitvm
●Mastering Bitcoin (3rd edition)、Github上で参照可能に
https://twitter.com/hrdng/status/1751844795692245249
●Bitcoin検索を巡る2013-2023の各国ランキングの変遷。米国に次ぐものとしては、ドイツ・英国・インド・ブラジル・トルコが混戦
https://twitter.com/DocumentingBTC/status/1752673073625457116
●Bitcoinトランザクションの図解
https://twitter.com/DocumentingBTC/status/1752689020654481689
●テクノカル・ノンテクニカルのBitcoinオンラインクラスに関するリソースリンク集
https://www.lopp.net/bitcoin-information/online-offline-classes.html
1.1.2. L2:Lightning Network
●LN Markets、機関投資家向けのデリバティブ取引の新しい方法としてDLC Marketsを導入
Bitcoinの先物やオプション、ハッシュレートやブロックスペースに関する商品を、カウンターパーティ・リスクをほとんど負うことなく取引できるもの。
DLC Marketsのウェブサイトによれば、「リスクを最小限に抑えながらOTCデリバティブ取引を管理するためのアプリケーションスイートを提供する」「担保を保管する最も安定した金融インフラに依存しながら、独自の証拠金ルールを用いて、どのような原資産でも、どのような商品でも簡単に設計することができる」としている。
DLC Marketsのホワイトペーパーによれば、「BitcoinにOTCデリバティブ取引プロセスのセキュリティと効率を強化する画期的なアプローチとして、BitcoinのDiscreet Log Contracts (DLCs) を活用することによって、カウンターパーティに対するトラストの必要性を排除し、透明性のあるマージン計算と担保管理を保証する」としている。
これにより、参加者はマージン資金をDLCに安全にロックできるため、カウンターパーティのリスクが軽減され、中央集権的な仲介業者への依存を軽減できる。
このトラストレスマージンモデルは、マージンコールや、担保の送金、決済を自動化することによって店頭デリバティブ取引プロセスを合理化し、効率の向上と運用の複雑さの軽減につながるという。
これにより、参加者は自分の資産を完全に管理できるようになり、より透明性と回復力のある OTC デリバティブ市場を促進できるとしている。
将来的には、Taproot マルチシグを DLC に統合し、BLS 証明書を用いて清算メカニズムを強化し、ステートレスなオラクル管理を容易にすることを想定しているとのこと。
https://www.nobsbitcoin.com/lnmarkets-dlc-markets/
●Liquidのチャネルをリバランスするために、Lightning satsとLiquid satsのサブマリンスワップであるPeerSwapを使う方法について
https://medium.com/@goryachev/liquid-rebalancing-of-lightning-channels-2dadf4b2397a
●OpenSat、René PickhardtのLightningプロジェクトにgrant
https://opensats.org/blog/rene-pickhardt-receives-lts-grant?ref=blog.lnmarkets.com
●L402関連のプロトコル、ツール、プロジェクトなどのリストをまとめたリポジトリ
https://twitter.com/fewsats/status/1752084264257212650
●River Financial が2023年10月に発表したライトニングネットワークのレポートから、企業やプロジェクトを一つずつ調べたので共有します〜1.3 ウォレットインターフェース
●最高のライトニングウォレットは何か?/Albyと互換性のあるLiquidウォレットが登場- by ごっつ|Diamond Hands Magazine Vol.134
1.2. Ethereum
1.2.1. L1
●EthereumのDencunアップグレード、Sepoliaテストネット上でゴーライブ
https://www.theblock.co/post/275285/ethereums-dencun-upgrade-goes-live-on-sepolia-testnet
Section2: Business
2.1. アダプショントピック
2.1.1. ペイメント
●ジンバブエの低帯域幅環境下におけるLightningウォレットの動作比較
PhoenixとWallet of Satoshiは高い信頼性とスピードを示し、Phoenixはカストディアル型のWallet of Satoshiよりも優れたパフォーマンスを示した。
Green、Mutiny、Phoenixはユーザーフレンドリーな12ワードのシードフレーズを提供する一方、BlixtとZeusは24ワードのシードを提供。
Greenの「強制バックアップ」は特筆すべきセキュリティ機能。
クラウドバックアップは、いくつかのウォレットがこのオプションを提供しているように、ユーザーデータのセキュリティに関する懸念を提起した。
アプリのロック設定と、オンチェーンビットコインウォレットの可用性も考慮された。
総合的なパフォーマンスと信頼性ではPhoenixがトップで、使いやすさではMutinyが続いた。
https://anitaposch.com/lightning-wallet-test-2024?ref=blog.lnmarkets.com
●Diamond Hands Magazine 💎ビットコイン&ライトニングニュース🙌|そうだ ベトナム🇻🇳、行こう。ビットコインを使ってベトナムドンを格安に入手する方法を教えます。
●「日本でビットコインが普及しない理由」BTC関連書籍の翻訳者・練木照子氏が語る
https://coinpost.jp/?p=508029
2.1.2. 投資
●Google、暗号通貨トラストが商品を宣伝することを広告ガイドラインで許可
昨年12月、GoogleはCryptocurrencies and related products policyを更新し、Cryptocurrency Coin Trustの広告の範囲と要件を明確にすることを発表した。
2024年1月29日以降、米国をターゲットとする暗号通貨トラストを提供する広告主は、以下の要件を満たし、Google が認定した場合に、それらの製品およびサービスを広告することができる。
暗号通貨トラストの例として、「投資家が大規模なデジタル通貨プールを保有する信託の株式を取引できる金融商品」を挙げている。
https://support.google.com/adspolicy/answer/14293829?hl=en
2.1.3. マイニング
●Bitcoin Mining Companies - 2024 h/t
https://twitter.com/bitkite/status/1752105948364030016
●Diamond Hands Magazine 💎ビットコイン&ライトニングニュース🙌|2024年・第4回半減期後の予測/54.5%を持続可能エネルギーで賄う/生き残る小規模マイナー 〜 ビットコインマイニングニュース Vol.6
2.2. 金融機関のデジタルアセットサービス
●三菱UFJ信託、デジタル通貨で貿易決済 新興と連携
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB3062X0Q4A130C2000000/?n_cid=SNSTWF&n_tw=1706598322
●三菱UFJ信託銀行・Progmat・STANDAGE・Ginco の協業による、「国産ステーブルコイン」の貿易決済活用に向けた共同検討開始について
https://www.tr.mufg.jp/ippan/release/pdf_mutb/240131_1.pdf
2.3. デジタル証券
●三井物産系、不動産への融資を証券化して販売 - 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO78052580Z20C24A1EE9000/
●草津の温泉旅館の銀行融資を証券化、三井物産系が販売
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB224060S4A120C2000000/
●大手銀行の担保付融資に相乗り?新商品「そだつ貯蓄」の提供を開始。初号案件は、草津温泉旅館への不動産融資を商品化!|三井物産デジタル・アセットマネジメント(株)/ALTERNA(オルタナ)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000058.000056997.html
●学生レジデンスを投資対象とした不動産セキュリティ・トークンの公募及び発行完了について|ダイヤモンド・リアルティ・マネジメント株式会社/三菱UFJ信託銀行株式会社/大和証券株式会社/Progmat,Inc.
https://www.tr.mufg.jp/ippan/release/pdf_mutb/240131_2.pdf
Section3: Regulation
3.1. 米国
●米CFTC委員長、アメリカ法曹協会のイベントで、「Bitcoin ETPの当局承認が、黄色信号にもかかわらず、市場参加者が現物商品のデジタルアセットに対する実際の規制監督を伴う製品の技術的承認を取り違えるリスクを引き起こすのではないかとの懸念に言及。
「2023年度には、CFTCは、デジタルアセット商品に関連する行為に関する47件の訴訟を提起しており、これは同期間に提起されたCFTCの全訴訟の49%以上に相当する」とのこと。
米SECによるBitcoinのスポット上場商品(ETP)の上場承認にも触れ、「ETPは法的な確実性を獲得し、大衆に販売する手段を提供する一方、取引決済、利益相反、データ報告、サイバーセキュリティ、顧客保護、透明性、一般的な市場の整合性などの問題に関して、デジタルアセットの現物市場における不透明で一貫性のない慣行に対処するための確たるものは何もないままである」と指摘。
「Bitcoin ETPの当局承認が、黄色信号にもかかわらず、個人・機関投資家を問わず、市場参加者が商品の技術的承認と、現金商品であるデジタルアセットに対する実際の規制当局による監視とを取り違えるリスクをもたらすのではないかと懸念している。 デジタルアセットのコモディティ・スポット市場に関して、6年以上にわたって公に表明してきた懸念は、ますます大きくなっている。 現物市場のデジタルアセットをめぐる連邦法の必要性は、かつてないほど重大であり、引き続き行動を求めていく」と結んでいる。
https://www.cftc.gov/PressRoom/SpeechesTestimony/opabehnam41
●米エネルギー情報局(EIA)、米国のマイニング業者の電力使用量の調査開始へ
米エネルギー省内の統計・分析機関であるEIAが、米国で活動する暗号通貨マイニング企業の電力消費情報の暫定調査を開始することを発表した。
特定された商業用暗号通貨マイニング企業を調査し、エネルギー使用に関する詳細を回答するよう求めている。行政管理予算局(OMB)が、緊急データ収集要請としてこの調査(暗号通貨マイニング施設調査)を許可したとのこと。
EIAはまた、暗号通貨マイニング企業のエネルギー使用データの収集に関するパブリックコメントを募集する予定。
マイニングのエネルギー需要がどのように進化しているかに特に焦点を当て、高い成長を遂げている地理的地域を特定し、マイニングの需要を満たすために使用される電力源を定量化するとしている。
https://www.eia.gov/pressroom/releases/press550.php
●米EIAが発表した「米国の暗号通貨マイニング事業の電力消費量を追跡調査」
米国における暗号通貨マイニング事業に関連する電力需要は、ここ数年で非常に急速に増加しており、暗号通貨マイニングによる年間電力使用量は、米国の電力消費量の0.6%〜2.3%に相当するとのこと。
この電力使用は、コスト・信頼性・排出量への影響を懸念する政策立案者や送電網計画者の注目を集めている一方、何百万という米国の最終使用顧客の中から暗号通貨マイニング活動を特定することの難しさや、マイニング資産が電力価格の安い地域に急速に移動する可能性がある暗号市場の動的な性質などに起因して、暗号通貨マイニングのエネルギー使用を追跡することが課題になっている、としている。
そこで、トップダウンアプローチとボトムアップアプローチを採用することによって、米国の暗号通貨マイニング事業による電力使用量の一般的な推定値を作成した。トップダウン・アプローチとして、Cambridge Centre for Alternative Financeからデータを入手するとともに、個々の暗号通貨マイニング事業の所在地と、各施設が使用する可能性があるとする電力量に関するデータを収集する、独自のボトムアップ・アプローチも開発したという。
トップダウン・アプローチによれば、Cambridge Centre for Alternative Financeが発表したCambridge Bitcoin Electricity Consumption Index(CBECI)の推定値を使用することで、米国におけるBitcoin関連の電力需要を概算できる。
CBECIの推計では、2023年のBitcoinマイニングを支える電力は、世界の電力需要の約0.2%から0.9%。この推計に基づくと、暗号通貨マイニングにおける世界の電力使用量は、ギリシャやオーストラリアの総電力消費量とほぼ同水準にあたるという。
また、CBECIは、米国で発生するマイニングの世界シェアは、2020年1月の3.4%から、2022年1月には37.8%に上昇したと推定。米国における世界的な活動の割合が約38%にとどまると仮定すると、米国を拠点とするビットコインマイニングによる電力使用量は25TWh〜91 TWhの範囲になると推定される。この試算は、2023年の米国全体の電力需要(3,900 TWh)の0.6%〜2.3%に相当する。 暗号通貨マイニングを支える米国の電力需要は、300万戸以上から600万戸以上の年間需要に相当するとのこと。
一方、ボトムアップ・アプローチによれば、可能な限り多くの米国の暗号通貨マイニング施設を特定するよう努め、現在までに合計137の施設を特定した。
場所と容量のデータがある52の施設を図示すると、21の州に分布し、テキサス州・ジョージア州・ニューヨーク州が多いことがわかる。特定された137の施設のうち、101の施設における最大電力使用量を確認したところ、10,275MWと推定された。この量は、米国の年間平均電力需要約45万MWと比較すると、2.3%のシェアに相当する。
暗号通貨マイニングが行われているモンタナ州・ニューヨーク州・ペンシルベニア州にある5つの小規模発電所の電力使用量を追跡したところ、これら5つの発電施設の合計発電量は、暗号通貨マイニングが操業を開始した2021年から急激に増加していることがわかるという。
これら調査を踏まえたネクストステップとして、暗号通貨マイニング活動に関連する電力消費を体系的に評価することに焦点を当てた義務的な調査を実施する予定としている。
https://www.eia.gov/todayinenergy/detail.php?id=61364
3.2. アジア太平洋ほか
●香港の個人情報保護当局、広範なプライバシー調査の一環でWorldcoinプロジェクトのオフィスを訪問調査
WorldcoinのFAQページによると、「デフォルトでは、Orbは虹彩コード作成後、速やかに虹彩画像を削除する」としている。
一方、ユーザーが「Data Custody」を選択すると、「バイオメトリックデータは、まずOrb上でローカルに処理された後、暗号化された通信チャネルを介して、当社の分散型セキュアデータストアに送信され、そこで暗号化された状態で保存される。送信されたバイオメトリックデータは、Orbから永久に削除される」とされている。
香港の個人情報保護委員会の委員は、一般市民はバイオメトリック・データにもっと注意を払うべきであり、第三者に気軽に提供することも避けるべきだと述べているとのこと。
https://news.bitcoin.com/hong-kong-worldcoin-offices-visited-amid-privacy-investigation/
●タイSEC、個人投資家が不動産やインフラを裏付けとするデジタルトークンに制限なく投資可能に
3.3. 日本
●「暗号資産交換業者に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)」の公表について|金融庁(1月26日)
https://www.fsa.go.jp/news/r5/sonota/20240126/20240126.html
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