Bitcoin・クリプト・web3をめぐる今週のニューストピックを、①テクノロジー・②ビジネス・③規制まわり、で振り返る。
今週の注目トピックは、
米CFTC、Ooki DAOの商品取引所法違反裁判を受け声明
Paradigm、米SECによる「取引所」の再定義提案についてコメント
BlackRock、Bitcoin ETF申請をSECに提出
Block、セルフカストディーウォレット「Bitkey」オープンベータ発表
Lightningを統合した分散型ソーシャルネットワークDamus、App Storeから削除へ
Ordinalsの再帰的inscriptionsによる、1ブロックあたり4MBのサイズ制限の克服
プログラムによって受信者のグループ間で価値を分割できるペイメントハブ「Lightning Prisms」
Strike、Lightningを用いた決済サービス「Send Globally」のメキシコへの拡大を発表
欧州中銀ECB、デジタルユーロプロトタイプ演習結果レポートを発表
Uniswap v4のビジョンが発表
Section1: Technology
1.1. Bitcoin
1.1.1. L1
●Bitcoin Optech Newsletter #255|taproot annexフィールドにデータを含むトランザクションのリレーを許可することについての議論
https://bitcoinops.org/en/newsletters/2023/06/14/
●Taproot Assets Protocolにおいてカスタムロッキングスクリプトを活用したアセットの作成と転送を簡素化する仮想PSBT(Partially Signed Bitcoin Transactions)の概要
https://lightning.engineering/posts/2023-06-14-virtual-psbt/
●FROSTの署名作成時の最適化 - Develop with pleasure!
FROSTは、Schnorrベースの閾値署名方式
https://techmedia-think.hatenablog.com/entry/2023/06/09/183630
●P2PKH、P2SH、P2WPKHといったBitcoinアドレスの種類比較
https://unchained.com/blog/bitcoin-address-types-compared/
●Bitcoin Vaultsの図解スレ
https://twitter.com/BTCillustrated/status/1667534927989030912
1.1.2. L2:Lightning Network
●スケーリングソリューション「Ark」の紹介記事
https://bitcoinmagazine.com/technical/how-ark-plans-to-scale-private-bitcoin-payments
●Arkに関する図解スレ
https://twitter.com/_AlexLewin/status/1667185028768452611
●「Sphinx send」または「Receiver-initiated payments」として知られる、受信者からの請求書を必要とすることなく支払いを送信できるストリーミングマイクロペイメント「Keysend」
https://twitter.com/LN_Capital/status/1665369464764866561
●プログラムによって受信者のグループ間で価値を分割できるペイメントハブ「Lightning Prisms」
Lightning addressまたはBOLT12オファーによって識別される
1人以上の受信者を持つことができ、別のPrismを受信者の一人にできる
分割はプログラムによって定義される
プログラム的に支払いを分割できる例
売上を会社と営業担当者のコミッションとして自動的に支払いを分割
映像クリエイターが、ホスティングプロバイダー・編集者・プロデューサーに収益を分配
Lightning Prismは「Lightning Address バリュー・スプリット・ワークフロー」を可能にする構造体である、とのこと
https://twitter.com/ohskogstrom/status/1664659794626748416
https://dergigi.com/2023/03/12/lightning-prisms/#fn:fn-time-up
●VoltageによるLightning Networkに関するFAQサイト
「ペナルティ・トランザクション」「Point Time-Locked Contract(PTLC)」などについて
https://voltage.cloud/blog/category/lightning-network-faq/
●LightsparkによるLightning紹介記事
https://www.lightspark.com/developers/primer
●ライトニング決済 VS オンチェーン決済 それぞれのメリットとデメリットは?|DH Podcast Ep.1
●【書き起こし】ライトニング決済 VS オンチェーン決済 それぞれのメリットとデメリットは?|DH Podcast Ep.1 書き起こし
●DHルーティングランキングを使って効率よくルーティング収益を上げる方法|Diamond Hands Magazine
1.2. Ethereum
●ZKRUソリューション(Starknet、Scroll、zkSync、Polygon)の比較記事
Section2: Business
2.1. アダプショントピック
2.1.1. ペイメント
●クロスボーダー決済業界などにおけるBitcoinアドプションについて、River Financialのレポート
https://blog.river.com/bitcoin-vs-the-156-trillion-global-payments-industry/
●BTC Pragueで発表された、Lightning搭載のコミュニティアプリ「Federations」を通じてBitcoinの普及促進をはかるFedi
https://twitter.com/fedibtc/status/1666775406312054784?s=20
●Bitcoinの非営利団体「Brink」、Jack DorseyのSmart Small funding initiativeから$5mを調達
●Lightningを統合した分散型ソーシャルネットワークDamus、14日以内にApp Storeから削除へ。
デジタルコンテンツを販売するためにzapが使われる可能性がある点について、App Storeプラットフォームでは許可できないとのこと
https://twitter.com/damusapp/status/1668529709867495424?s=20
●Lightning対応のノンカストディアルウォレット「Zeus」も、Appleからreject
https://twitter.com/evankaloudis/status/1668892805924544512
●Strike、Lightningを用いた決済サービス「Send Globally」のメキシコへの拡大を発表。
メキシコは、米国発のクロスボーダー決済の最大市場。
Strikeは2022年12月に「Send Globally」機能を開始して以来、フィリピン、ベトナム、ナイジェリア、そしてメキシコへと拡大
https://www.businesswire.com/news/home/20230614129435/en/
●Block、マルチシグのセルフカストディービットコインウォレット「Bitkey」のオープンベータプログラムを発表
Coinbaseとのグローバルパートナーシップにより、Coinbase PayによるBitcoin送金機能およびCoinbaseによるBitcoin売買機能をBitkeyに統合し、容易に所有・管理可能に
https://bitkey.build/beta/?ref=nobsbitcoin.com
https://www.coinbase.com/blog/announcing-a-global-partnership-with-blocks-bitkey-wallet
●決済プロセッサー・ギフトカード・デビットカードなどアドプションリスト
https://www.lopp.net/bitcoin-information/merchant-adoption.html
2.1.2. 投資
●Binance、オランダでのVASP登録できず、オランダ市場から撤退
オランダに居住する新規ユーザーの受け入れを停止
既存のオランダ在住ユーザーは、Binanceプラットフォームから資産を引き出すことのみ可能
●Binance、KYC手続きの義務を果たしていなかった疑いでフランスにおいて捜査対象に
●BlackRock、Bitcoin ETFの申請書をSECに提出
「iShares® Bitcoin Trust」はデラウェア州の法定信託であり、Bitcoin価格パフォーマンス反映を図る
Coinbase Custody Trust Company, LLCがBitcoinカストディアン
Bank of New York Mellonが現金保有物のカストディアン
●a16z、米国外初のオフィスをLondonに開設すると発表。2024年春にLondonでCrypto Startup Schoolを開催予定
https://a16zcrypto.com/posts/announcement/expanding-uk-andreessen-horowitz/
2.1.3. マイニング
●Blockstream、マイニングリグを2024 3Q中に発表へ。
2021年にイスラエルのマイニングハードウェアメーカーSpondooliesを買収している
2.1.4. NFTエコシステム
●Ordinalsの再帰的inscriptionsによる、1ブロックあたり4MBのサイズ制限の克服。
これにより、ブロックのコンテンツに設定されている4MBの制限を超えるサイズのinscriptionが可能に
https://www.theblock.co/post/234195/ordinals-recursive-inscriptions-bitcoin-video-games
2.1.5. DEX
●Uniswap v4のビジョンが発表されている。
手数料を動的に調整したり、新しい注文タイプを作成したりといった、まったく新しい機能をプールに追加する「フック」の導入によって、流動性プールをカスタマイズする強力な新しい方法が可能に。
時間加重平均マーケットメーカー(TWAMM)や、カスタマイズされたオンチェーンオラクル、オンチェーン・リミットオーダーなどの表現・機能が可能になるという。
https://twitter.com/Uniswap/status/1668603580184502276?s=20
2.1.6. Stablecoin
●Tether、中国のコマーシャルペーパーに大きく依存している旨の報道
発行体の大部分が、中国の様々な銀行や金融機関だったとされる。
コマーシャルペーパーに資金を投入したことを認めていたものの、この種の資産にどの程度依存していたかは知られていなかった。
2.2. 中銀デジタル通貨
2.2.1. 米国
●米テキサス州オースティンで開催されたTransform Payments USAカンファレンスにおける金融機関担当次官補の「金融サービスのデジタル化」に関する講演で、リテールCBDCの設計にあたって、不正な金融取引のリスクを最小限に抑えながら、ユーザーのプライバシーを保護することが課題、と述べている。
プライバシーと匿名性をどの程度まで保護できるかを検討し、可能な限り個人情報を保護するためにプライバシー向上技術(PETs)等を検討することが重要であると。
https://home.treasury.gov/news/press-releases/jy1530
2.2.2. 欧州
●欧州中央銀行ECBが発表した、デジタルユーロプロトタイプ演習結果レポート
取引承認に使う秘密鍵をデバイスにローカルに保存するセルフカストディウォレットもテストされ、"エンドユーザーレベルでの鍵の管理は、顧客のユーザーエクスペリエンスに影響を与えない"という結論に達したとのこと
また、スマートコントラクトを使わずに、同等の機能性と保証を持つAPIを用いて「条件付き支払い」も可能に
https://twitter.com/Jonas__Gross/status/1668879473113014279?s=20
●イタリア銀行協会のホールセール型CBDCトライアル「Project Leonidas」に18銀行が参加
https://www.ledgerinsights.com/wholesale-cbdc-18-italian-banks/
2.2.3. 日本
●「デジタルマネーの私法上の性質を巡る法律問題研究会」——報告書デジタルマネーの権利と移転——| 日本銀行金融研究所
(i)デジタルマネーは、種類によって利用者の権利そのものや権利移転の法律構成が異なりうる。具体的には、本報告書の対象とするデジタルマネーについては、権利の種類としては債権または信託受益権、移転については、債権譲渡、債権者の交替による更改、債権の消滅・発生と構成しうる。
(ii)消滅・発生構成は、発行者と利用者との間の合意によって、発行者の管理する口座(アカウント)において、残高を記帳することによって権利を移転するという法律構成であり、口座の記録のみで第三者との関係を規律することを想定するものである。
(iii)仲介者が存在する場合でも、仲介者が発行者を代理することにより消滅・発生構成を採りうる。
(iv)デジタルマネーについては、マネーの流通性や安定性確保の観点から、転得者保護や発行者または仲介者倒産時の利用者保護が必要である。こうした点については、現行法に基づく解釈のほか、電子記録に対するコントロールに基づく権利の移転や転得者保護のルールを定める海外の動向が参考になると考えられる。
https://www.imes.boj.or.jp/jp/conference/houritsu/ken2306.html
2.3. デジタル証券
●UBSとBOCI、中国の金融機関として初めて香港でトークン化証券を発行
https://www.ubs.com/global/en/media/display-page-ndp/en-20230609-tokenized-notes.html
Section3: Regulation
3.1. 米国
●米司法省、2011年のMt.Goxハッキングおよび不正な暗号通貨取引所BTC-e運営に関連してロシア国籍の2人への告発状を公開
●米CFTC、「Ooki DAOは商品取引所法上の”人”であり、したがって同法違反の責任を負うことができる」という裁判を受け、「DAOの構造を採用することで法律を回避できると信じている人、法執行から逃れるつもりでいる人、最終的に公衆を危険にさらす人への警鐘となるはず」と声明
https://www.cftc.gov/PressRoom/PressReleases/8715-23
●Paradigm、米SECによる「取引所」の再定義提案についてコメント。
自動化されたマーケットメーカーのメカニズムを使用するDEXは、取引仲介人を伴う代わりに暗号資産のプールのバランスをとるアルゴリズムを使用しており、法律が想定する「取引所」ではないとしている
https://policy.paradigm.xyz/writing/3b-16commentletter
3.2. 欧州
●欧州のMarkets in Crypto-Assets (MiCA)規制に関する最終発表
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=OJ:L:2023:150:TOC
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:32023R1114
3.3. アジア太平洋ほか
●HSBCとStandard Chartered、香港当局HKMAから暗号資産取引所を顧客として受け入れていない理由について質問を受けているとするFT報道。
銀行側は訴追リスクを考慮し引き受けに消極的とのこと
https://www.ft.com/content/da31d2d6-e547-43b0-821d-a235097ef9c9
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