Bitcoin・クリプト・web3をめぐる今週のニューストピックを、①テクノロジー・②ビジネス・③規制まわり、で振り返る。
今週の注目トピックは、
米NY州知事、炭素系電源で稼働するBitcoinマイニング事業を禁止する法律に署名
暗号通貨が制裁リスクへの代替ヘッジ資産として機能する可能性に関するリサーチペーパー
米テキサス州の作業部会、暗号通貨産業を拡大するためのレポートとマスタープラン案を発表
エルサルバドル、「デジタルアセットの発行に関する法律」草案を議会に提出
日本銀行、第4回中央銀行デジタル通貨に関する連絡協議会を開催
Section1: Technology
1.1. Bitcoin
1.1.1. L1
●Bitcoinが生まれるまでの、40年にわたるデジタルマネーを作るための研究と開発の前史
●Bitcoinトランザクションを2009年1月まで遡ることができる可視化ツール
●Bitcoinトレーディング関連リソースリスト
チャート・メトリクスやBots、ターミナルやシミュレータなど
https://www.lopp.net/bitcoin-information/trading.html
●Liquid Network上で2ステップアトミックスワップを行うLiquiDEXプロトコルのv1アップデート
https://blog.blockstream.com/liquidex-v1-solving-the-rangeproof-issue/
●ビットコインとクリプト/web3はもう完全に別物です - by Koji Higashi
1.1.2. L2:Lightning Network
●エルサルバドルで開催されたAdopting Bitcoinカンファレンスの振り返り
●Adopting Bitcoin、Bitfinex Stage・Galoy Stage以外に、Auditorium および Solutions Stageの模様も、動画公開されている
●ライトニングやルーティングに関する情報をまとめたDH Wikiをついに公開!
●Diamond Hands Wiki
https://dhwiki.notion.site/dhwiki/Diamond-Hands-Wiki-09b471dc2f8c4fbba097fee110d20676
●マスタリング・ライトニングネットワーク 日本語版が出版
●Core LightningとLiquid Networkを構築するBitcoinビルダー向けコミュニティイニシアチブ「Build On L2(BOL2)」
https://blog.blockstream.com/build-on-l2/
●Lightning Networkの基本 — Non-strict Forwarding
●トラストレスなDiamond Swapで、ルーティングがもっと簡単に、大幅に進化します
https://spotlight.soy/detail?article_id=e6yfecqnz
1.2. Ethereum
●手数料を100倍下げることができることから、rollup-centricなロードマップのためのゲームチェンジャーとして期待されているEIP-4844(protodanksharding)
https://dev.optimism.io/eip-4844-an-optimistic-bet-on-rollup-scalability/
1.3. 他チェーン・要素技術
●SSI を実現する技術
Section2: Business
2.1. アダプショントピック
2.1.1. ペイメント
●Lightningの成熟について。
より多くの様々な分野の専門家がLightningを発見した上で、自身のソリューションに組み込むことによって、より多くのユーザーが、Lightningについて知ることすら無しに、Lightningを利用できるようになると
●グアテマラ「Bitcoin Lake」におけるBitcoin受け入れの様子
2.1.2. 投資
●米公聴会で示されたとされるFTX破綻の経緯
●FTX、Chapter 11手続きの一環として、ステークホルダーむけ回収可能価値の最大化に取り組むべく、グローバル資産に関する戦略的見直しを開始する旨を発表。
事業売却または再編のための準備を開始するほか、規制当局と協議の上、限定的な業務再開のための裁判所からの救済を求めるとしている。
FTX Japan KKは、Chapter 11の適用を受ける債務者であるとのこと。
●CoinbaseのShareholder Letter(2022 3Q)
https://s27.q4cdn.com/397450999/files/doc_financials/2022/q3/Q32022-Shareholder-Letter.pdf
●Binance、Proof of Reserves (PoR) システムをリリースと発表
https://www.binance.com/en/proof-of-reserves
2.1.3. RegTech
●Bitcoinのフローとソースを検出する技術の改善、および制裁と市場規制の強化を原因として、ランサムウェアの交渉や支払い手段としてのBitcoinの重要性が下がる、との見方
https://decrypt.co/115421/bitcoin-will-become-less-important-cybercrime-payments-kaspersky
●暗号通貨が制裁リスクへの代替ヘッジ資産として機能する可能性に関するリサーチペーパー。
米国による制裁リスクが米国債の魅力を低下させ、中央銀行の準備資産の多様化を促進することによって、暗号通貨および金の長期的な基礎的価値を高める可能性があるとしている
https://sites.google.com/view/matthewferranti/research?pli=1
2.2. 中銀デジタル通貨
2.2.1. 米国
●米NY連邦準備銀行と大手銀行9行、ホールセールCBDCの相互運用ネットワークを試験運用開始へ
2.2.2. アジア太平洋ほか
●BIS、アフリカにおける中銀デジタル通貨に関するレポートを発表
他の新興国や発展途上地域と比較して、アフリカにおける中銀デジタル通貨の発展・動機・懸念について分析したもの
https://www.bis.org/publ/bppdf/bispap128.htm
2.2.3. 日本
●今、決済の未来を考える意味について「中央銀行デジタル通貨に関する連絡協議会(第4回)」における日本銀行内田理事の開会挨拶
https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2022/ko221124a.htm/
●日本銀行|第4回中央銀行デジタル通貨に関する連絡協議会(事務局説明資料)
「中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み」
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2022/rel221124a.pdf
●日銀「デジタル円」、3メガ銀と実証実験へ 23年春から:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB21BRU0R21C22A1000000/
Section3: Regulation
3.1. グローバル
●G20バリ島首脳宣言より
31) 暗号資産レポーーティングフレームワーク及び共通報告基準の改正を歓迎する旨。
35) Stablecoinを含む暗号資産のエコシステムが、金融安定性に対するリスクを軽減するために規制・監督・監視の対象となるための継続的な作業を歓迎する旨。
●IMF、アフリカで拡大する暗号通貨市場はより良い規制が必要としている旨のブログ記事を発表
3.2. 米国
●米テキサス州の作業部会、暗号通貨産業を拡大するためのレポートとマスタープラン案を発表
21の立法提言と4つの追加提言として、以下の項目を挙げている。
商事契約の節では、「デジタルアセットを個人財産の一種として完全に法的に認めるよう、統一商事法典(UCC)の2022年改正案を制定すべき」であることを挙げている。
デジタルアイデンティティの節では、「SSI(self-sovereign identity)の枠組みを検討することの重要性を確認する決議を採択するよう、立法府に奨励(第4項)」するとともに、「テキサス市民が自分のアカウントで暗号通貨を所有する権利を禁止されないことを確認する(第5項)」としている。
DAOの節では、「DAOがあらゆる事業体形成オプションを享受し、単一のオプションに制限されないように、法を明確にすべき(第6項)」としている。
エネルギーの節では、「自家消費されている天然ガスに対する分離税の減免を創設すべき(第12項)」とするともに、「電力購入の税負担を軽減することによってBitcoinマイニングのような制御可能負荷をインセンティブとすべき(第13項)」であることを挙げている。
ファイナンスの節では、「Bitcoinのように時価総額の大きい確立した暗号通貨を、テキサス州の公認投資対象として成文化することを検討すべき(第15項)」であることとあわせ、「Lightning Networkノードを運営しても、事業体や個人をマネーサービス事業者にできない旨を明確化すべき(第16項)」であること、および「暗号通貨レンディングモデルに関する適切な消費者保護を検討すべき(第17項)」であることを挙げている。
また、Policy Recommendationsとして、「テキサス州は、暗号通貨企業が成功するためのサポートとインフラを確立し、これらの企業や起業家が何ができて何ができないかを知るための規制を実施することで、市場第一位の地位を確立することが不可欠」であり、「テキサス州が差別化できるのは、暗号通貨関連の法整備でリーダーであり続けることによって、規制の不確実性に阻まれた企業を誘致し、若い新興企業に強固な基盤を提供することである」ことを強調している。
●ニューヨーク州検事総長、TerraUSDの暴落やFTXの破綻を挙げた上で、退職貯金を保護すべきとして、デジタルアセットを個人退職口座(IRA)や確定拠出年金の資金を使って購入できない資産として指定する法案を可決するよう議会(上院財政委員会、下院歳入・歳出委員会)に要請
https://ag.ny.gov/sites/default/files/letter_to_congress_2022-11-22_1424.pdf
●米NY州知事、炭素系電源で稼働するBitcoinマイニング事業を禁止する法律に署名。
今後2年間にわたって、PoWマイニング企業が100%再生可能エネルギーを使用しない限り、拡大・更新が認められない他、新規参入も認められなくなるとのこと
https://www.cnbc.com/2022/11/23/new-york-governor-signs-law-cracking-down-on-bitcoin-mining.html
3.3. アジア太平洋ほか
●エルサルバドル、「デジタルアセットの発行に関する法律」草案を議会に提出
エルサルバドルで行われる公募の発行で使用されるデジタルアセットのあらゆる所有権移転オペレーションについて、法的確実性を提供する法的枠組みを確立するもの。
デジタル資産市場の効率的な発展を促進し、取得者の利益を保護するために、発行者、デジタル資産サービスプロバイダー、公募のプロセスでオペレーションを行う他の参加者について、要件と義務を規定するもの。
前文において、以下のポイントが述べられている。
エルサルバドルは世界中の重要技術企業から海外直接投資の誘致に対抗できるような革新策を採用しなければならない。
公共および民間セクター団体がデジタル資産の公募を行うことを可能にするメカニズムを構築することが重要。
一般市民からの資源で資金を調達する上では、投資家の利益を保護するために明確な法的ルールを確立する必要がある。
そのため、デジタル資産の公募の発行およびデジタル資産サービスの提供を規制する規則を発行することが不可欠。
第3条では、デジタルアセットの適用範囲として、分散型登録技術システムまたは類似技術を用いて電子的に保存および転送することができるデジタル表象物としている。また、デジタルアセットは有価証券とはみなされないため、商法、証券市場法など有価証券に関する規定は、適用されないとのこと。
第4条では、除外項目として、中銀デジタル通貨などには適用されない旨が示されている。
第13条・第14条では、エルサルバドルおよび自治機関が行うデジタル資産の公募による資金、その公募からの収益に関する管理・保護・投資に責任を負う機関として、「Bitcoin Funds Management Agency」について言及している模様。
https://www.asamblea.gob.sv/sites/default/files/documents/correspondencia/4CCA02DF-7C4F-4B25-9725-821EB3618A5D.pdf
3.4. 日本
●金融庁、「分散型金融システムにおけるオンチェーン/オフチェーンデータを活用した実態把握に関する研究」の企画競争に関する公告
https://www.fsa.go.jp/choutatu/choutatu_j/R4/20221124.pdf
●日本で事業を行う暗号資産交換業者が米国チャプター・イレブン手続に入った場合における顧客の権利保護について(FTXトレーディングの破綻を契機として)|長島・大野・常松法律事務所
https://www.noandt.com/publications/publication20221122-2/
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