クリプト・web3をめぐる今週のニューストピックを、①テクノロジー(Bitcoinなど)・②ビジネス(ペイメントやDeFi・NFTなど)・③規制まわり、で振り返る。
今週の注目トピックは、
Lightning NetworkにおけるPinning攻撃とその対策
確率論的モデルを用いてLightning Networkで大口のBitcoin決済を行うことを可能にする「Pickhardt Payments」
a16zによる「ガバナンスの歴史から学ぶ、web3の光速デモクラシー」
Web 5の構成要素として、分散型Webプラットフォームにおける3つの主要な柱
MakerDAO、ペンシルバニア州のコミュニティバンクHuntingdon Valley Bank(HVB) に$100mのDAI Vaultを提供するガバナンス案を承認
Aave、分散型担保付きアルゴリズムステーブルコインGHOを提案
CircleのJeremy Allaire CEO、USDC Stablecoinに関する否定的な噂を打ち消すべく、声明を発表
米FRBにおける、デジタルアセットとCBDCが米国に利益をもたらすかどうかについての議論
野村やSBI、トークンで資金調達支援 年内にも参入
米国政府倫理局(OGE)、暗号通貨・Stablecoin所有者がクリプト関連の規制・政策に携わることを禁止する通知を発表
Section1: Technology
1.1. Bitcoin
1.1.1. L1
●親愛なる家族と友へ 〜 まだビットコインを持っていないあなたへの手紙
https://lostinbitcoin.jp/bitcoin/dear_family_dear_friends/
●Gloria Zhao氏、女性初のBitcoin Coreメンテナーに
https://bitcoinmagazine.com/technical/first-female-bitcoin-core-maintainer
●一方で長年にわたってBitcoin Coreメンテナーを務めてきたPieter Wuille氏は退任を発表。
ただし、contributeをやめる予定はないとしている
●OP_CTV(OP_CHECKTEMPLATEVERIFY)についての解説動画
OP_CTVの概要
OP_CTVの仕様
OP_CVTの挙動
OP_CVTのユースケース例①
OP_CVTのユースケース例②
https://goblockchain.network/2022/07/op_cvt/
●GBEC㊗チャネル登録者1000人
https://www.youtube.com/channel/UCkMb8hYP1NbDmKZpizWs5hg
1.1.2. L2:Lightning Network
●Pinning攻撃とその対策
Lightning Networkにおいて、互いの残高の更新ごとに作成されるCommitmentトランザクションを伝播しても、手数料が低いためにブロックに取り込まれない可能性がでてくる。
Commitmentトランザクションのブロック承認の遅延問題を解決するために提案されたのが、アンカーアウトプット。
Pinning攻撃には、HTLCレベルでの攻撃とCommitmentトランザクションレベルでの攻撃の2種類がある。
https://spotlight.soy/detail?article_id=560bwwbuq
●確率論的モデルを用いて、Lightning Networkで大口のBitcoin決済を行うことを可能にする「Pickhardt Payments」について
決済額が大きくなるほど、支払いがネットワークを経由して目的地に到達する上で、Lightningチャネルにおける流動性の必要性が高まる。
Pickhardt Paymentsは、流動性にまつわる不確実性を確率に置き換えた上で、ある支払いが通る可能性のあるすべての経路をマッピングし、成功確率が最も高い経路を選択するもの。
確率論的モデルを用いて、あるチャネルに一定量の流動性が存在する可能性がどの程度あるかを推定した上で、最も流動性の高い経路を経由して決済が行われることによって、信頼性の最適化が図られる仕組み。
Pickhardt Paymentsは、こうした最適化によって、これまで不可能だった大口のLightning決済の送信を可能にしている。
●ライトニングルーティング自動運用で目指せ年利1%【DHメソッド5.0】
初心者ノードでルーティングがなかなか発生しない理由
DHメソッド5.0概要
DHメソッド コミュニティノードの具体的参加方法
DHノード視点でDHメソッドをやる理由
https://spotlight.soy/detail?article_id=7fxyt008x
●LNでどれくらい手数料を節約できたか計算するスクリプトを公開
https://spotlight.soy/detail?article_id=0ujj78gtg
●Lightning node の運用まとめ
https://spotlight.soy/detail?article_id=t21lvpd3y
●ZmnSCPxjによるルーティングノードの手数料戦略のまとめ
https://lists.linuxfoundation.org/pipermail/lightning-dev/2022-June/003617.html
1.2. Ethereum
(特になし)
1.3. 他チェーン・要素技術
●a16zによる「ガバナンスの歴史から学ぶ、web3の光速デモクラシー」
「Web3のガバナンスは、意思決定において直接民主制のアプローチに大きく依存している」とし、「直接民主制の限界を理解すべき」としている。
「伝統的ガバナンスから学べることを基に、web3組織は代表の力を活用し、専門知識と代表性のバランスをとり、監視と信頼を確保する仕組みを開発できる」と述べている。
「web3は、プロトコルが継続的に実験を行い、新しい表現形式を開発・テストすることによって、より速いガバナンスサイクルの可能性を生み出すことができる」ため、「民主的ガバナンスの貴重な実験室となる」と結んでいる。
●Web3インフラプロトコル(Arweave、Livepeer、The Graph、Storj、Helium、Sia、Akash)の収益状況
●What is Web5?
Web 5の構成要素として、分散型Webプラットフォームにおける3つの主要な柱
Decentralized Identifiers
Verifiable Credentials
Decentralized Web Nodes
https://developer.tbd.website/blog/what-is-web5/
Section2: Business
2.1. アダプショントピック
2.1.1. 投資
●Celsiusに対するKeyFiによる訴状。Celsiusが暗号資産価格の変動をヘッジしていなかったとしている。
https://iapps.courts.state.ny.us/nyscef/ViewDocument?docIndex=RvF30Mz2IZW63s1mjjau2Q==
●シンガポール拠点のレンディング・交換プラットフォームVauld、財務上の困難に直面しているとし、すべての出金・取引・預入を直ちに停止する旨を発表
https://www.vauld.com/blog/corporate-statement/
●Bank of America、アクティブな暗号通貨ユーザー数が昨年11月のピークから5月には50%以上減少していることを示すレポートを発表。
5月に初めて暗号で取引を行った顧客は約3万3000人しかおらず、これは昨年10月の26万7000人と比べて87%減少していると指摘
https://news.bitcoin.com/bank-of-americas-active-crypto-users-drop-more-than-50-in-bear-market/
2.2. NFT
●Q2 2021 と Q2 2022の対比
<減少>
Ethereumネットワーク収入(取引手数料の価値)は、33.4%減少
Ethereum日次アクティブアドレス数は、20.6%減少
DeFi TVLは42.4%減少
<増加>
Stablecoin流通供給量:43.0%増加
NFTマーケットプレイス取引量:2,439%以上の伸び
NFTの日次平均取引者数:1114.5%増加
L2のTVL:896%増加
2.3. DeFi
2.3.1. レンディング
●MakerDAO、ペンシルバニア州のコミュニティバンクHuntingdon Valley Bank(HVB) に$100mのDAI Vaultを提供するガバナンス案を承認。
同銀行は、商業用不動産・産業用ローン・政府保証付きローンなどを含む、現実世界の資産を担保として計上する。
これにより、現実世界の資産がDeFiに参入可能に。
2.3.2. Stablecoin
●Aave、分散型担保付きアルゴリズムステーブルコインGHOを提案。
ユーザーは、提供した担保に対してGHOトークンをmintできる。
GHOは、ユーザーが選択する暗号通貨バスケットによって裏打ちされ、担保に利息を得ることができる。
https://governance.aave.com/t/introducing-gho/8730
●CircleのJeremy Allaire CEO、USDC Stablecoinに関する否定的な噂を打ち消すべく、声明を発表。
あわせて、透明性や監査および流動性に関するレポートを共有
https://decrypt.co/104379/circle-ceo-says-usdc-stablecoin-provider-strongest-position-ever
2.4. DAO
●法から見たDAOの有用性とその課題
https://note.com/ct7567rex/n/n231d765df53a
●DAOのガバナンスシステムを構築・評価するのに役立つ3つの質問
どのような意思決定が必要なのか?
誰が意思決定するのか?
どのようにインセンティブを与えられているのか?
2.6. 中銀デジタル通貨
2.6.1. 米国
●米FRBにおける、デジタルアセットとCBDCが米国に利益をもたらすかどうかについての議論
パネルでは、CBDCを含むデジタルアセットが米ドルの優位性にもたらす影響について議論された。
支配的な通貨が持つ優位性には、法の支配、安定性、ネットワーク効果、市場の厚みといった他の要因が重要であるため、技術そのものが世界の通貨エコシステムを劇的に変化させることはないとの見解。
また、CBDCの発展も国内のリテール部門に集中する傾向があるため、米ドルの国際的地位に対する脅威にはなっておらず、クロスボーダーCBDCの範囲はまだかなり限定されているとの見方。
2.7. デジタル証券
●野村やSBI、トークンで資金調達支援 年内にも参入
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB07A410X00C22A6000000/
Section3: Regulation
3.1. 米国
●米国政府倫理局(OGE)、暗号通貨・Stablecoin所有者がクリプト関連の規制・政策に携わることを禁止する通知を発表
「デミニマス免除」では、一定の基準値以下の金額を保有する証券の所有者がその証券に関する政策に取り組むことを認めているが、暗号通貨とStablecoinに関しては普遍的に適用されないとの見方。
https://www.oge.gov/web/oge.nsf/News+Releases/E116F1FD24F94BB3852588770058A0FA/%24FILE/LA-22-04.pdf
●米財務長官、デジタルアセットに関する国際協力にむけた枠組みをホワイトハウスに提示
https://home.treasury.gov/news/press-releases/jy0854
3.2. 欧州
●英国中銀BoE、金融安定化報告書において暗号通貨に言及。(1/2)
暗号資産の評価額は大幅に下落し、暗号資産市場の多くの脆弱性が露呈しているものの、全体的な金融安定性に対するリスクは生じていない。
特にStablecoinのペッグ維持能力に対する投資家の信頼は著しく弱まったとした上で、業界が発展するにつれて、より明確な規制を求める旨を記載している。
https://www.bankofengland.co.uk/financial-stability-report/2022/july-2022
3.3. アジア太平洋ほか
●中国朝陽裁判所、2,574元+USDTという形で給与が支払われた件に対して、仮想通貨は貨幣として市場に流通すべきではなく、企業は未払い賃金とボーナスを人民元の形で支払わなければならないとの判決
●シンガポールMAS、暗号通貨取引プラットフォームの制限に関する回答文書において、「消費者保護のための追加的な保護措置を導入することを慎重に検討している」とした上で、「リテールの参加に制限を設けることや、レバレッジの使用に関する規則が含まれる」可能性に言及
3.4. 日本
●金融庁の人事と組織改編から見えてくる日本のWeb3政策の行方
●令和4年資金決済法等改正を踏まえたステーブルコインに関する規制の動向
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