クリプト・web3をめぐる今週のニューストピックを、①テクノロジー(Bitcoinなど)・②ビジネス(ペイメントやDeFi・NFTなど)・③規制まわり、で振り返る。
今週の注目トピックは、
Bitcoin 2022 Conference関連トピックス
Robinhood、暗号通貨ウォレットへ送金可能に。数カ月内にLightning Networkをサポート予定
Lightning Labs、$70Mの調達を発表。LightningをStablecoinや法定通貨などBitcoin以外の資産に開放するプロトコル、「Taro」を構築予定
ホンジュラスProsperaおよびポルトガルMadeira自治区でも、Bitcoinを使った税金・手数料の支払いが可能に
Cash App、デビットカード「Paid in Bitcoin」と連動したプロダクトを発表
StrikeのJack Mallers、Shopify・決済代行Blackhawk Network および POSサプライヤーNCRとの提携を発表
英国大蔵省、「英国を世界的な暗号資産技術のハブにする計画を政府が策定」とするタイトルで公式表明
シンガポール、海外でのみビジネスを行うVASPにもライセンス取得を義務付け
米SEC委員長、(1)プラットフォーム・(2)Stablecoin および (3)その他のトークンについての考え方を説明
EthereumのMergeを控えた中における、ステーキングサービスLidoとRocket Poolの比較
Geminiによる「Global State of Crypto」レポート
Section1: Technology
1.1. Bitcoin
1.1.1. L1
●BlockstreamのCSOを退任したSamson Mow、$21mを調達し「JAN3」設立を発表。
BlockstreamからAQUAウォレット および NFTマーケットプレイスRaretoshiを引き継ぐ予定。
この他、エルサルバドルのBitcoin Cityへのインフラ供給に向けた覚書も締結している。
1.1.2. L2:Lightning Network
●LNの基本的な制限について - Lightning Network -- Fundamental Limitations
https://www.truthcoin.info/blog/lightning-limitations/
●Lightning Labs、$70Mの調達を発表。LightningをStablecoinや法定通貨などBitcoin以外の資産に開放するプロトコル、「Taro」を構築予定。
「Taro」は、ゲーム内コレクティブルやNFTなどのアセットもサポートするとしつつも、Lighting Labsとしてはそれらアセットに積極的に関わるものではないとしている。
Taroは、「Bitcoin上のアセットオーバーレイネットワーク」であり、「Lightning上でアセットの移動を可能にするインフラ」であると説明されている。
●Taroについて、「この発表は、マルチアセットLightning Networkへの大きな転換を意味する」とするLighting Labsの記事
Taroは、Bitcoin上でStablecoinのようなアセットを発行した上で、Lightningを使って低手数料で取引できるようにするものであるとしている。
Taprootをベースとして既存の出力内に任意の資産のメタデータを埋め込めるほか、Lightning上のマルチホップ取引に対応する点が特徴。
●Lightning Labsが発表したTaro(A Taproot Asset Representation Overlay)のBIPドラフト
https://lists.linuxfoundation.org/pipermail/bitcoin-dev/2022-April/020196.html
●Taro(A Taproot Asset Representation Overlay)は、Merkle Sum Sparse Merkle Treeと呼ぶデータ構造を使ってコミットを構築。
将来バージョンでは、アセットスクリプトの表現力をさらに高めるために、Covenantsも含む新しいオペコードなどを追加予定。
Lightning Networkの既存のBitcoinバックボーンを使用して、アセットのマルチホップ転送を可能にする点が特徴。
そのため、Bitcoinバックボーンにある既存の流動性を再利用でき、各アセットのために新しいネットワークを起動する必要がない。
これにより、アセット転送の需要増加がもたらす、ルーティング活動の活発化(ルーティング収入増)、ひいてはLightning Networkのキャパシティに対する需要増というネットワーク効果に繋がるとしている。
●Taro(A Taproot Asset Representation Overlay)がLightningにアセットを追加する背景として、GaloyやStrikeなどから、LightningにStablecoinを追加することによって、コミュニティの金融アクセスが拡大するという声が継続的に挙がったことを挙げている。
より多くのユーザーが法定通貨を通じてLightningウォレットに乗り込むことによって、Bitcoinを簡単に取得し、使用できるようになる、としている。
●Lightning USD(L-USD)のマルチホップ転送イメージ。
Bob〜Carol間にBTCチャネルしか無くても、AliceはBobにL-USDを送って、CarolがL-USDをDaveに送ることができる。
BobとCaolはそれぞれBTC・L-USDでルーティング手数料をとる。
●Taroのドキュメント。
Bitcoinのブロックチェーン上でアセットを発行するためのTaproot搭載の新しいプロトコル。
Colored coinに似ているが、Lightning上のマルチホップ取引に対応し、Taprootトランザクションを利用してプライバシーとスケーラビリティを改善する点が特徴。
https://docs.lightning.engineering/the-lightning-network/taro
●Arcane Research 「The State of Lightning」レポート第二弾より。
Lightning Networkエコシステムマップ。ウォレット・ノード管理・流動性管理の他に、リワード・ゲーム・ストリーミングといったアプリケーション、更にはLN決済受入先まで掲載されている
1.1.3. Bitcoin 2022 Conferenceの模様
●Bitcoin 2022 Conference - MAIN LIVESTREAM - General Admission Day 1 の模様
Bitcoin 2022 Conference - MAIN LIVESTREAM - General Admission Day 1
●Jack Mallers登壇の模様
The Full Jack Mallers Announcement at the Bitcoin 2022 Conference
●Open Source Stage - Bitcoin 2022 Conferenceでの、Olaoluwa OsuntokunによるTaroの解説
Olaoluwa Osuntokun: Keynote - Open Source Stage - Bitcoin 2022 Conference
●Bitcoin 2022 Conference - Peter Thiel によるキーノート
Paypal Co-Founder Peter Thiel - Bitcoin Keynote - Bitcoin 2022 Conference
●Bitcoin 2022 Conference、Day1のOpen Sourceステージの模様
https://bitcointv.com/w/pvyxfbeWdgaaLREdQs3HAs
●Bitcoin 2022 Conference - DAY 2 メインステージライブストーリミング
Bitcoin 2022 Conference - MAIN LIVESTREAM - General Admission Day 2 - Part 1
●Bitcoin 2022 Conference - DAY 2 オープンソースステージの動画
Open Source Stage - #Bitcoin 2022 Conference - DAY 2
●Bitcoin 2022 Conference - General Admission Day 2 マイニングステージの動画
Bitcoin 2022 Conference - Mining Stage - General Admission Day 2
●DeFiantによるBitcoin 2022 Conferenceに関する記事。
EthereumがPoSに移行するThe Mergeを控えた中でPoWプロジェクトが多く展示されていることを受け、BitcoinとEthereumの運命の峻別がありそう、とのこと。
ベースレイヤーが確立される中で「Bitcoinで何ができるか」という点では、NFTsとDeFiに関するヘッドラインが目を引いているとしている。
例として、ALEXのような流動性プールや、Sovrynのレンディング・証拠金取引などを挙げている。
その他、必ずしもBitcoinによって保護されたものに限らず、USDT・USDCのようにEthereum上で動作するStablecoinの利回りを宣伝するプロダクトも見られるなど、Bitcoinに限らず「より一般的な顧客」がイベントのターゲットになっていそうだ、との見方。
https://thedefiant.io/defi-at-bitcoin-2022-conference/
1.2. Ethereum
1.2.1. L1
●EthereumのMergeを控えた中における、ステーキングサービスLidoとRocket Poolの比較。
ともに、ETHを預けて、ステークされたETHに対する権利を表象するものとして、stETHあるいはrETHを受け取ることができる。
新しいバリデーターをネットワークに取り込む上で、Lidoはパーミッション付きであり、DAOによるガバナンスを通じて選択されることで、プロトコルのスケーラビリティを高めるのに対して、Rocket Poolはパーミッションレスで誰でも参加できる代償としてスケーラビリティが低下するという特徴がある。
また、戦略面では、Lidoはマルチチェーン戦略をとり、LUNA・SOL・KSM・MATIC向けサービスを提供する一方、Rocket PoolはETHに特化という相違点。
さらにトークンエコノミクスの面では、Lidoはプロトコル内で実用性がないため、流動性インセンティブやbribe支払いに使われるため売り圧に直面する一方、Rocket Poolはネットワーク参加にトークンを必要とするなど実用性のあるコモディティトークンとして、需要と買い圧に支えられているという違い。
1.2.2. L2
●StarkNetブリッジ「StarkGate Alpha」アルファ版がテストネット利用可能に
https://medium.com/starkware/starkgate-alpha-35d01d21e3af
●zkSyncとSTARKNETについて、DeFi・ウォレット・基盤サービス・ブリッジ・NFT/ゲーム・ガバナンスDAO・ツールの各分野別プレイヤーが整理
1.3. 他チェーン・要素技術
1.3.1. 他チェーン
●NEARエコシステム入門|ビニール|note
https://note.com/vvinyll/n/n1d5fd19629b2
●NEAR Protocol、$350mの調達を発表
1.3.2. 要素技術
●BGIN Block #5 大予習大会
BGIN Block #5 Preview - Japanese
●BGIN Block #5のトピックス
Section2: Business
2.1. アダプショントピック
2.1.1. ペイメント
●“El Salvador 訪問記 (El Zonte編)” by Kenichi Kurimoto
●Bitcoin Beachウォレットを開発したGaloyが提案する、オープンソースBitcoinバンキングスタック。
コミュニティがクラウドホスティングのインフラでBitcoin経済を立ち上げるのはコストがかかることから、セルフホスティング環境むけとして
https://galoy.io/praia-bitcoin-deploying-galoy-open-source-banking-in-self-hosted-environment/
●StrikeのJack Mallers、Shopify・決済代行Blackhawk Network および POSサプライヤーNCRとの提携を発表
将来的には、取引所を通したKYC無しに、現実世界の店舗でBitcoinをオフロード可能になる可能性
●BitPay、Lightning決済サポートを発表。BitPayマーチャントはStrikeやCashAppからの支払いを受け入れ可能に
●豪州の大手SSのOn The Run(OTR)、燃料の購入に暗号通貨を受け入れ。
SS内のカフェやSubwayでも暗号通貨を使って飲食物を購入可能に。
Crypto.comとの提携を通じ、豪州における店舗型小売業者の暗号通貨受け入れ事例で最大規模の取り組み。
https://www.whichcar.com.au/news/south-australian-fuel-stations-to-begin-accepting-bitcoin
2.1.2. 投資
●Geminiによる「Global State of Crypto」レポート
暗号通貨所有者のうち、イスラエル(51%)、インドネシア(51%)、ナイジェリア(50%)では、女性が暗号通貨所有者の少なくとも半分を占め、暗号通貨のジェンダーギャップは縮小している可能性。
一方、先進国では、米国(32%)、ヨーロッパ(33%)、オーストラリア(27%)のように、現在の暗号通貨所有者のうち女性は1/3に過ぎない。
インフレは暗号通貨の主要な推進要因であるとし、現地通貨が米ドルに対して200%以上切り下げられたブラジルでは、回答者の41%がクリプトを所有するほか、米国でも、40%の所有者が、暗号通貨をインフレに対するヘッジとして捉えている。
規制面の懸念については、非所有者のうち、アジア太平洋地域の39%、中南米地域の37%、ヨーロッパ地域の36%が、暗号通貨に関する法的不確実性があると回答。また、中東の30%、アジア太平洋地域の24%、ラテンアメリカの23%が、暗号通貨を所有する際の税金の複雑さにより、暗号への投資を控えていると回答。
暗号通貨に関する教育リソースがあれば暗号通貨を始められる(40%)と回答し、所有の最大の障壁は教育であるとしている。
https://www.gemini.com/gemini-2022-state-of-crypto-global.pdf
●Robinhood、暗号通貨ウォレットへの送金可能に。数カ月内にLightning Networkをサポート予定
●Cash App、Bitcoin 2022 conferenceにおいて、デビットカード「Paid in Bitcoin」と連動したプロダクトを発表。
Cash Cards顧客は、デポジット額のうちBitcoin自動投資に充てる割合を設定可能に。今後の機能追加にて、引き落とし額のお釣りを自動投資可能に。
●Cash AppがBitcoin 2022 Conferenceで発表した3つの新規プロダクト
①Paid in Bitcoin - 給与の何%かをBitcoinに自動投資
②Bitcoin Round Ups - 小銭をBitcoinに自動投資
③Lightning Network - Bitcoinの即時受け取り
●Grayscale、Digital Large Cap FundにAvalancheとPolkadotを追加。DeFi Fundからは時価総額要件を満たせずSushiSwap(SUSHI)とSynthetix(SNX)が除外。
https://blockworks.co/grayscale-adjusts-cryptoassets-exposure-in-diversified-funds/
●Terra、$230mのBitcoinを準備金として追加購入。現時点で$1.6bとなっている準備金残高について、$10bレベルを目指すとのこと
●英国中銀BoEのFintech Hub責任者、BoEを離れ、クリプトカストディFireblocksに移籍https://www.linkedin.com/feed/update/urn:li:activity:6917599992018784257/
2.1.3. マイニング
●BlockとBlockstream、テキサス州でTeslaの太陽光発電と蓄電技術を利用したBitcoinマイニングに着手へ。
採掘量などのダッシュボードを一般公開予定。
従来、テキサス州において風力・太陽光発電は経済的なインセンティブが無い他、送電網が限られるなどの制約があったとのこと。
2.1.4. 社会生活
●ホンジュラスProsperaおよびポルトガルMadeira自治区でも、Bitcoinを使った税金・手数料の支払いが可能に
●国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、Binanceからstablecoin(BUSD)の形で$2.5m相当の寄付を受け入れ。
2.2. NFT
●Gem、NFTのリスティング解析をプラットフォームに追加。
物件特性による絞り込み、価格や希少性によるセグメント化など、マーケットプレイス全体のリアルタイムな出品分析が可能に。
2.3. DeFi
●TerraがMakerDAOに仕掛けるStablecoin Wars。
DAI・USDC・UDSTで構成されるStablecoinの流動性プール「Curve 3pool」に対して、USDT・USDC・UST・FRAXで構成される「4pool」は、大量のCVXをインセンティブとして「3pool」から流動性を引き出そうとするもの。
●NEARプロトコルも、独自のNEAR-backedアルゴリズムStablecoim「USN」を立ち上げる計画を発表している。
2.4. 中銀デジタル通貨
2.4.1. 欧州
●欧州ECBによる、デジタルユーロに関するパブリックコンサルテーション。
デジタルユーロの役割、金融セクターに与える影響、AML-CFT規則の適用性、プライバシーとデータ保護、デジタルユーロによる国際決済などがテーマ。
https://ec.europa.eu/info/consultations/finance-2022-digital-euro_en
●スウェーデン中銀Riksbank、CBDC(e-krona)のパイロットプロジェクト(フェーズ2)のレポートを発表。
「銀行や決済サービスプロバイダーの既存システムにe-kronaを組込み可能である旨」および「オフラインでもe-kronaを使った取引が可能である旨」を報告
●スウェーデン中銀Riksbank、将来的なe-kronaシステムの調達に先立ち、現在市場で利用可能なソリューションについて理解を深めるべく、e-kronaの基盤となる様々な技術的ソリューションの可能性について「RFI」を発行
2.7. デジタル証券
●JPX総研、個人投資家向けデータAPI配信サービス「J-Quants API」(ベータ版)の提供
> JPX総研では、日々生まれる新しい技術やサービスにかかる知見の獲得及び技術的な可能性を探ることを目的として、本サービスへのアーリーアクセス権としてNFTを利用することとしました。
https://www.jpx.co.jp/corporate/news/news-releases/0010/20220405-02.html
Section3: Regulation
3.1. グローバル
●「暗号資産の台頭」と題した世界銀行の記事。
世界的に異常な金融緩和を背景に、個人・機関投資家の採用により急成長している。
金融セクターの課題を克服する万能薬ではないものの、金融イノベーション・金融包摂・効率性・透明性・資本形成の面で期待されている。
国際的な規制裁定に課題があり、金融インテグリティや、消費者と投資家の保護、公正競争、通貨主権、資本管理の執行、課税などに、リスクを抱える。
まだ世界の金融システムのごく一部を構成するに過ぎないものの、世界の金融安定にリスクをもたらす可能性がある。
3.2. 米国
●米SEC委員長による、米ペンシルベニア州法資本市場協会年次総会における暗号市場に関するスピーチ。
「異なる技術が使われているからといって、クリプト市場を別扱いにする理由はなく、技術的に中立であるべきだ」として、(1)プラットフォーム・(2)Stablecoin および (3)その他のトークンについての考え方を説明している。
(1)プラットフォームに関する問題意識としては、クリプト市場の集中性と証券該当性を挙げている。
集中性については、取引所でみれば、上位5つのプラットフォームが全取引の99%を占め、わずか2つのプラットフォームが取引の80%を占めるなど、取引の大部分はほんの一握りのプラットフォームで行われていること、DeFiについても、上位5つのプラットフォームで、取引の80パーセント近くを占めることを例示。
また、これらのプラットフォームで取引されているトークンの多くは、「証券」の定義に合致する可能性が高く、これほど多くのトークンが取引されている以上、あるプラットフォームがゼロ証券である可能性はかなり低いとしている。
その上で、次の4点の検討を指示しているとした。
①プラットフォーム自体を登録し、取引所のように規制すること。クリプトプラットフォームは、従来の規制された取引所と同様の役割を担っており、投資家は同じように保護されるべき。
②証券と非証券の取引が混在するプラットフォームを登録し、規制するための最善の方法を検討すること。特に、証券トークンとコモディティトークンの両方を取引するようなプラットフォームに対する共同対処について、CFTCと連携すること。
③顧客資産保護にむけて、カストディを分離することが適切か検討すること。
④暗号取引プラットフォームはマーケットメーカーとしても機能するため、マーケットメイキング機能を分離することが適切か検討すること。
(2)Stablecoinについては、暗号プラットフォーム以外では一般的に使用されず、中央政府によって発行されたものでなく法定通貨でもないものの、銀行預金やMMFと同様の機能を提供し競合する可能性があるため、3つの課題を提起している。
①金融の安定と金融政策をめぐる政策検討の必要性。「トークンの裏付けとなるものは何か」「トークンを保有することで実際にドルに1対1で交換できることを確認できるのか」など。ペグの喪失や発行者のミスは、複数の取引プラットフォームを危険にさらし、クリプトエコシステム全体に波及する可能性がある。
②違法行為に利用される可能性。主にクリプト間の取引に使用されるため、法定通貨との交換を回避・延期することを容易にする可能性があることから、AML・税務コンプラ・制裁など、従来の銀行・金融システムに関連する公共政策目標の回避に繋がる恐れがある。
③投資家保護の問題。クリプトプラットフォームにおける取引・融資の約80〜85%がStablecoinによるもの。3大Stablecoinは取引・融資プラットフォームが自ら作ったものであり、利益相反や市場の健全性の観点から監視が必要。
(3)その他のクリプトトークン
ほとんどのトークンは、利益を見込んで一般から資金を調達するものであり、投資契約や有価証券に該当する。中にはデジタルゴールドのようなもの、実際にお金のように運用されているものもあるが、ごく僅か。証券である暗号トークンをSECに登録させるように働きかけることが重要。
最後に、暗号通貨は、起業家の資金調達や投資家の取引に新しい方法を提供するかもしれないが、投資家や市場の保護が必要であるとして、そうした保護の方法はすでにあり、暗号市場にも同じ保護を適用すべきだと締めくくっている。
https://www.sec.gov/news/speech/gensler-remarks-crypto-markets-040422
3.3. 欧州
●英国大蔵省|「英国を世界的な暗号資産技術のハブにする計画を政府が策定」とするタイトルで公式表明。
財務相コメントとして、「英国を暗号資産技術の世界的なハブにすることが私の野望である」旨が記されている。
計画の一環として、Stablecoinを有効な支払い手段として認める旨を発表した。
この他に含まれることとして、以下を挙げている。
暗号資産市場のさらなる発展を促すべく、税制の競争力強化の方法を模索
暗号資産の保有者がリターンを求めて貸し出すDeFiローンが税務上どのように扱われるかを見直し
投資顧問免責の適用範囲を拡大し、暗号資産を含めることについて協議
今夏NFTを開発すべく英国造幣局に委託
さらに「Cryptoasset Engagement Group」を設立し、規制当局と業界の主要人物を招集して、暗号資産分野が直面する問題について政府に助言するとのこと。
5月には業界関係者と2日間の「CryptoSprint」を開催し、将来の暗号資産体制の整備に関する重要課題について、業界から直接意見を求める予定。
●英国経済長官のInnovate Finance Global Summitにおけるスピーチ原稿。
「この国をグローバルハブにしたい。クリプト企業を立ち上げ、拡大するための世界最高の場所にしたい。クリプトビジネスに対してオープンであることを伝えたい。」
第一に詳細な計画を持った上で、第二に、迅速に学ぶことを決意している。そして三つ目、最後の決定的な利点として、政府が主導的な役割を果たしていくこと、の3点を強調している。
「特定のStablecoinを決済の枠組みに取り入れるための立法を行い、Stablecoinの発行者やサービスプロバイダーが英国で活動し成長するための条件を整える。これにより、消費者が安心してStablecoinの決済サービスを利用できる。」
「DAOの法的地位について検討する新しいプロジェクトの実施も要請している。」
「DeFiローンやステーキングの扱いなど、特定の問題には目を向け、解決していくが、英国のファンドマネージャーが暗号資産をポートフォリオに含む上での阻害要因を取り除く。」
●欧州議会、MiCA(Markets in Crypto Assets規制)草案において、証券当局であるESMAを地域の暗号通貨規制当局に指定。取引所の許認可、ドイツBafinなど各国当局を束ねる役割を与えるもの。
このほか、草案では、法定通貨にリンクしたStablecoin「e-money tokens」を定め、この発行者は、銀行免許を取得しているか、電子マネー事業体として運営されている必要があるとしている。
https://news.bitcoin.com/eu-designates-esma-as-crypto-regulator-of-the-region-in-latest-mica-draft/
3.4. アジア太平洋
●シンガポール、金融サービス・市場法案を可決し、海外でのみビジネスを行うVASPにもライセンス取得を義務付け、従来規制されていなかったAML/CFTに適合を求めるべくルールを厳格化
シンガポールでデジタルトークンサービスを提供せずにシンガポールで設立されたデジタルトークンサービス・プロバイダーは、現在、AML/CFTの規制対象外となっている。
こうした事業体は、シンガポールの評判を利用すべく、「シンガポールに本社がある」と主張する可能性があり、シンガポールに風評リスクをもたらす可能性がある。
ある法域に設立されたデジタルトークンサービス・プロバイダーがその法域でサービスを提供せず、他の市場 にデジタルでサービスを提供する場合、AML/CFT管理のために規制力を持つ単一の法域がないといった規制ギャップにつながる。
この法案は、純粋にシンガポール外でデジタルトークンサービスを提供する事業を行う者が、シンガポールで設立された場合、またはシンガポールから事業を営んでいる場合に、これをAML/CTFに対応する金融機関として規制対象とするもの。
デジタルトークンサービス・プロバイダーに課されるAML/CFT 要件は、支払サービス法に基づき規制されるデジタル支払トークンサービス・プロバイダーに課される要件と一致する予定。
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