クリプト・web3をめぐる今週のニューストピックを、①テクノロジー(Bitcoinなど)・②ビジネス(ペイメントやDeFi・NFTなど)・③規制まわり、で振り返る。
今週の注目トピックは、
米国財務省の外国資産管理局(OFAC)がTornado Cashおよび関連するEthereumアドレスをSDNリストに追加したことについて、CoinCenterが記事を発表
MakerDAOのco-founder、Tornado Cashに対する最近の米国財務省の制裁は当初考えていたよりも深刻であるとし、USDからのdepegの準備を真剣に検討すべきとの見方を示す
Mergeが近づく中で一部マイナーが支持を表明している「ETH PoW」(Ethereum Proof-of-work)チェーンのハードフォークの可能性について
Mergeの公式日程、9/15-16に
Ethereumでmergeが発生し、ETH2コインと新しいETHPoWコインが誕生した場合のチェーンスプリットの可能性について
IONのDIDをIPFSとBitcoinにアンカリングしてみる
Microsoft、Entra Verified ID の一般提供開始を発表
BlackRock、Bitcoinに直接アクセスできるprivate trustを立ち上げ
IEEEの国際会議でCrypto GarageによるDiscreet Log Contractsの改善施策に関する論文が採択
Lightning Networkアプリ「Strike」、暗号決済アプリと組み合わせる新しいVISAカードを発表
「Taroによって実現するグローバルFXの分散化」について、Lightninglabsの記事
ペイメント技術としてのLightning Networkの利点について
Section1: Technology
1.1. Bitcoin
1.1.1. L1
●ブロックチェーン関連の世界トップレベルの国際会議「IEEE International Conference on Blockchain and Cryptocurrency (ICBC)2022」にてCrypto GarageによるDiscreet Log Contractsの実用的な改善施策に関する論文が採択
Crypto Garageによる「IEEE International Conference on Blockchain and Cryptocurrency (ICBC)2022」採用論文「Bitcoin Oracle Contracts: Discreet Log Contracts in Practice」はこちら
Crypto GarageおよびSuredbits社による共同研究成果とのこと。
ブロックチェーン上でデリバティブ取引を可能とする提案であるDiscreet Log Contracts(DLC)について、実用的な改善策を提案するもの。
1.1.2. L2:Lightning Network
●「Taroによって実現するグローバルFXの分散化」について、Lightninglabsの記事。
LightningNetwork上のTaro取引は、最初のホップによってBTCに変換され、BTCとしてネットワークを経由した上で、目的地の前の最後のホップによってTaroアセットに変換されて戻される。
取引は、L-USDのように同じ資産で送受信することも、USDからEUR、USDからBTCの様に異なる資産に変換することも可能。
これは、外国為替市場にとって業界を揺るがす可能性を秘めており、Taroと統合することによって、Lightningノードを「エッジノード」に変え、少額手数料でL-USDからBTC、またはその逆の変換を瞬時に処理するようになったとしている。
●Lightningのアドプションやエコシステムについて、Coinbaseの記事。
ただし、CoinbaseがLightningのサポートを追加する計画を示すものではない、としている。
https://blog.coinbase.com/is-the-bitcoin-lightning-network-for-real-26e47029687f
●ペイメント技術としてのLightning Networkの利点について
https://bitcoinmagazine.com/technical/lightning-network-payment-technology-advantages
1.2. Ethereum
1.2.1. L1
●Mergeの公式日程、9/15-16に
●Goerliテストネットワーク上でPoSの'test merge'がゴーライブに
https://www.theblock.co/post/162913/ethereums-final-proof-of-stake-test-merge-is-live-on-goerli
●Mergeが近づく中で一部マイナーが支持を表明している「ETH PoW」(Ethereum Proof-of-work)チェーンのハードフォークの可能性について。
Mergeによってマイニングリグが陳腐化するため、Ethereumのマイナーは、「他PoWチェーンのマイニングにシフトするか」「PoW検証を維持するチェーンにフォークしてMergeに抗議するか」の選択を迫られる。
しかし、フォークチェーンが繁栄するためには、次のような課題があることから、フォークの可能性はあるものの、成功するかは別の問題だとしている。
①既存DeFiの状態が移植されることが必要であり、ブリッジプロトコルが必要。
②マイニングを困難にすることで元のPoWのチェーンがMerge後に機能しないようにするdifficulty bombが搭載されている。
③加えて、開発者やユーザーの奪い合いに直面。
●BitMEX Researchより。Ethereumでmergeが発生し、ETH2コインと新しいETHPoWコインが誕生した場合のチェーンスプリットの可能性について。
https://blog.bitmex.com/ethpow-vs-eth2/
1.3. 他チェーン・要素技術
●Microsoft、Entra Verified ID の一般提供開始を発表。
これにより、Azure ADの顧客(無料およびプレミアム)が、雇用や教育、その他のclaimの証明となる証明書を簡単に発行・要求・検証できるように
●IONのDIDをIPFSとBitcoinにアンカリングしてみる
https://techmedia-think.hatenablog.com/entry/2022/08/07/120510
●IONのDIDを作ってみる
https://techmedia-think.hatenablog.com/entry/2022/06/29/224424
Section2: Business
2.1. アダプショントピック
2.1.1. ペイメント
●Lightning Networkアプリ「Strike」、暗号決済アプリと組み合わせる新しいVISAカードを発表
●口座振替、Bitcoinでの支払い、Bitcoinの購入、友人との送受金、Apple PayとGoogle Payでお金を使いながら、毎日の支出でリワードを獲得できる「Strike Card」
2.3. DeFi
●MakerDAOのco-founder、Tornado Cashに対する最近の米国財務省の制裁は当初考えていたよりも深刻であるとし、USDからのdepegの準備を真剣に検討すべきとの見方を示す。
DAIはUSDCのexposureをすべてなくすことで、米ドルペッグを失う可能性。
●米国財務省の制裁を受け、USDCのコンソーシアムであるCentreが、Tornado Cashが管理する一部のウォレットアドレスをブラックリストに登録している
2.5. 金融機関のデジタルアセットサービス
2.5.1. 米国
●BlackRock、Bitcoinに直接アクセスできるprivate trustを立ち上げ。
米国の機関投資家を対象に、信託の費用と負債を差し引いたBitcoinのパフォーマンスに追随することを目指すもの。
https://www.blackrock.com/institutions/en-us/insights/bitcoin-private-trust
Section3: Regulation
3.1. 米国
●米国財務省の外国資産管理局(OFAC)がTornado Cashおよび関連するEthereumアドレスをSDNリストに追加したことについて、CoinCenterが記事を発表している。
人や企業を制裁するOFACが、自律分散型コードをリストに加えたのは初めてのこと。
これは「他のテクノロジーと同様に、中立的な性格を持ち、良い使い方も悪い使い方もできるツールに対する制裁」であり、「オンライン取引において自身のプライバシーを守るためにこの自動化ツールを使いたいと思うあらゆるアメリカ人が、正当な手続きを経ずに自由を制限されることになる」と主張。
●Elizabeth Warren氏などの民主党上院議員グループ、通貨監督庁(OCC)に対して、暗号資産に関与する銀行への規制強化を求める公開書簡を発表
Celsius や Voyager および 3ACによる破産保護申請などを例にあげ、ここ数カ月でより深刻化している暗号関連の銀行業務に関連するリスクに適切に対処できていないとし、銀行が特定の暗号資産関連業務に従事することを許可した既存の解釈文書を撤回するよう求めている。
3.2. 欧州
●オランダ財政情報調査局(FIOD)、ミキシングサービス「Tornado Cash」への関与が疑われる開発者を逮捕と発表。
Tornado Cashを通じた暗号通貨のミキシングにより、犯罪資金の流れを隠蔽し、マネーロンダリングを促進することに関与した疑い。
https://www.fiod.nl/arrest-of-suspected-developer-of-tornado-cash/
●Tornado Cashは、8月8日に、米政府によってアメリカのOFAC制裁リストであるSDNリストに追加されたばかり。
https://home.treasury.gov/policy-issues/financial-sanctions/recent-actions/20220808
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