クリプト・web3をめぐる今週のニューストピックを、①テクノロジー(Bitcoinなど)・②ビジネス(ペイメントやDeFi・NFTなど)・③規制まわり、で振り返る。
今週の注目トピックは、
Galaxy Digital Researchによる「Bitcoinの取引手数料がこれほどまでに安価な理由」についてのレポート
Bitcoinマイニングによって得られるエネルギーシステムの恩恵
クレジットベースのアルゴリズムStablecoin「Beanstalk」がアタック受け$80m以上が流出
ネイティブアセットLUNAが時価総額$34bと8位につけるTerra(アルゴリズム型Stablecoin:UST)
エルサルバドル現地レポート/El Salvador 訪問記
日本銀行、暗号資産の保有に係る会計上の取扱いに関する考察を発表
ロシア当局、Binanceに対して顧客データの引き渡し要求との報道
日本取引所グループが国内初のデジタルな仕組みを用いた環境債
みずほ信託、野村系の基盤でデジタル証券発行へ
三菱UFJ信託銀行が主催する「デジタルアセット共創コンソーシアム」、航空機STOWG検討結果を公表
Section1: Technology
1.1. Bitcoin
1.1.1. L1
●Galaxy Digital Researchによる「Bitcoinの取引手数料がこれほどまでに安価な理由」についてのレポート。史上最低水準に近い水準にあることについて、スケーリング技術やベストプラクティスの採用が進んだ結果だとしている。
https://docsend.com/view/jsgnh3vnssip3uvt
①SegWitの採用加速
②バッチ処理の割合増加
③Lightning Network利用の急増などによって、ネットワーク全体が効率化。
加えて、④BitcoinネットワークにおけるTetherなどのOP_RETURN取引の激減も、ブロックスペース需要の減少に寄与。
また、ハッシュレートが米国の上場企業に移り、Bitcoin売却でなく資本市場を通じた資金調達を行うようになったことも、マイナーの取引活動を減退させたとしている。
●米Austinで開催されたBitDev meetupのトランスクリプト書き起こし
●Austin BitDevs meetupのアジェンダ
https://austinbitdevs.com/2022-04-21-socratic-seminar-27
●先月3月のAustin BitDevsのトランスクリプト書き起こしはこちら
●bitcoin dev conf「bitcoin ++」、6/7-6/10に米オースティンで開催
https://base58btc.notion.site/btc-is-a-bitcoin-dev-conf-8880ed55bfe6419fb1bc6cafbe463787
●Bitcoin 2022 Conference、Open Source Stageの模様(DAY 1)
https://bitcointv.com/w/1oAMgLEZLssoNZ37YAW17e
●Bitcoin 2022 Conference、Open Source Stageの模様(DAY 2)
https://bitcointv.com/w/t73LCyXifcK5GCQ9Hodiig
●Bitcoin Conference 2022でのピーター・ティールKeynote
https://note.com/go_palermo/n/ne0d6b5b8a89a
●Bitcoinの進化にポジティブな影響を与えるオープンなリサーチ課題リスト「Bitcoin Problems」
https://bitcoinproblems.org/
●Fiat-Shamir変換の安全でない適用による脆弱性Frozen Heart - Develop with pleasure!
https://techmedia-think.hatenablog.com/entry/2022/04/19/193400
1.1.2. L2:Lightning Network
●Galoyの発表した「Lightning Fees Paper」
Lightningにおける流動性アービトラージの可能性によって、インバウンド流動性の市場レートが定まると主張。
この市場レートの推定値を使って、ユーザーに過剰な請求することなく、流動性を適切に値付けする新しい手数料構造を開発。
また、Bitcoin Beach Walletのユーザーによる過去の取引データを用いたシミュレーションについても示している。
https://github.com/GaloyMoney/liquidity-fees-paper
●Diamond Handsの三月度ルーティング報酬ランキング。三月のキャンペーン期間に2 million satsのペイアウトが行われた
キャンペーン参加には、チャネル開設しインバウンド流動性を提供した上で期間中はチャネル開設を維持することが条件。
従来は日本のユーザーのみを対象としていたがこれをグローバルに開放し、チャネルサイズ・ルーティング量に応じて報酬支払いに対応される。(今後スコアリングモデルを改訂して、“quality nodes”に応じた支払可能にしていく予定)
https://medium.com/@coin_and_peace/diamond-hands-routing-rewards-march-2022-b7e299052408
1.2. Ethereum
●Zero Knowledge Summit Amsterdam 2022の模様
Zero Knowledge Summit Amsterdam (Full Livestream)
1.3. 他チェーン・要素技術
1.3.1. 他チェーン
●Coinbaseによるブリッジの解説記事
https://blog.coinbase.com/what-are-bridges-bridge-basics-facts-and-stats-8dd9449066a0
1.3.2. 要素技術
●4/18-4/25にAmsterdamで開催されるDevconnectのタイムライン
https://devconnect.org/schedule
●Web3で変わる経済圏〜コレクティブルNFT、X to Earn...etc、盛り上がるNFTコミュニティの特徴とは〜|TORYUMON Journal|note
https://note.com/fvmedia/n/nc159bf5dffa4
●ティム・オライリー氏「世界のネット、分断現実に」: 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO60068300W2A410C2EA5000/
●iCloudアカウントの漏洩により655,000$相当の資産を失ったユーザーがいることから、資金盗難につながる可能性があるとして、iCloud Backupバックアップの無効化を案内している。
Section2: Business
2.1. アダプショントピック
2.1.1. ペイメント
●Stripe、Polygon介したUSDCでの支払受取を選択可能とするパイロット実施へ。Twitter上のクリエイターを対象にConnectを通じた支払い
https://stripe.com/blog/expanding-global-payouts-with-crypto
●オーストリア家電量販店チェーンMedia-Markt、12店舗にKurant Bitcoin ATMを設置すると決定。Kurant社は、現在オーストリア・スペイン・ギリシャ・ドイツで200台のBitcoin ATMを運営している
●エルサルバドル・現地レポート!第①弾 🇸🇻 | MissBitcoin | Spotlight
現地のBitcoin普及状況、Chivo ATMやChivo Walletの使用感など
●“El Salvador 訪問記(San Salvador編)” by Kenichi Kurimoto
2.1.2. 投資
●日本銀行| 金融研究 第41巻第2号 要約 暗号資産の保有に係る会計上の取扱いに関する考察:会計マネー・ツリーを用いたアプローチから
https://www.imes.boj.or.jp/research/abstracts/japanese/kk41-2-2.html
●a16z、Crypto Research を立ち上げ
●21Shares と ETF Securities、Bitcoin・etherに直接投資する形では豪州初のETFを販売
●豪州初のBitcoin ETFが豪州取引所(ASX)に上場。Cosmos Asset Managementによるもので、BTCに直接投資するのではなく、北米のbitcoin ETF持分に投資
https://bitcoinmagazine.com/markets/australias-first-bitcoin-etf-to-list-next-week-report
●アルゼンチンの成人10人に1人以上が、暗号投資経験ありと回答。ブラジル(7%)・メキシコ(6%)と比べても高い比率。54%が暗号通貨の主な利点として「貯蓄の保護」を挙げている。
2.1.3. マイニング
●Bitcoinマイニングによって得られるエネルギーシステムの恩恵について。
再生可能エネルギーは太陽や風力のように断続的なものであり、このときマイニングは生産過剰の際にエネルギーを利用するためのオンデマンドソリューションとして機能する。マイニングがなければ、余剰エネルギーは無駄になってしまう。
一方、送電網や再生可能エネルギーによる発電量が少なすぎる場合には、マイニング事業者は、事業を迅速に停止して送電網の回復に寄与できる数少ない需要発生源。
さらに、Bitcoinのマイニングは収益源となるため、これまで採算が合わなかった再生可能エネルギープロジェクトを収益化できる可能性がある。
https://www.zerohedge.com/crypto/energy-system-benefits-bitcoin-mining
●フレアガスを用いたBitcoinマイニング企業「Crusoe Energy」、$350MでシリーズC調達を発表
●米ジョージア州・ケンタッキー州・ノースカロライナ州・ノースダコタ州・テキサス州でマイニングセンターを運営するCore Scientific、Bitcoin採掘量の日次報告を同社HPで開始
2.1.4. 社会生活
●BitfinexとTether、エルサルバドルのギャング犯罪に対するBitcoinコミュニティのコミットメント重要性を示すものとして対策基金を設立し寄付を呼びかけ。
エルサルバドルは、ある週末だけで87名が殺害されるなどのギャング犯罪による危機の渦中にあり、緊急事態を宣言して半月で9000名のギャングを逮捕するなどしている
https://www.btctimes.com/news/bitfinex-and-tether-aid-el-salvador-amidst-gang-crisis
2.2. NFT
2.2.1. トラディショナルプレイヤー
●韓国 現代自動車、コミュニティベースNFTプロジェクトを立ち上げ。限定版コラボレーションNFTと世界観を紹介する映像を公開
2.2.2. NFTエコシステム
●CoinbaseのEthereum NFTむけマーケットプレイスがβローンチ
https://decrypt.co/98211/coinbases-ethereum-nft-marketplace-launches-in-beta
2.3. DeFi
2.3.1. レンディング
●MakerDAO、4/28にStarkNet上でローンチへ
https://www.theblockcrypto.com/post/142641/makerdao-starknet-integration-ethereum-layer-2
2.3.2. 証券・デリバティブ
●dYdXの2022Q1 stateレポート
2.3.3. Stablecoin
●ネイティブアセットLUNAが時価総額$34bと8位につけるTerra(アルゴリズム型Stablecoin:UST)の解説記事。
①Anchorや②マルチチェーン展開および③Forex Reserveなどによって、USTの有用性と需要を生み出すことを通じ、Stablecoinのネットワーク効果を強固にしている。
①TerraとAvalancheのマネーマーケット「Anchor」は、UST保有者が保有資産を預けて、現在19.46%APYの固定利回りという高い利回りを稼ぐことができるため、Anchorは$15B以上のTVLを集め、USTの需要要因になっている。
②Wormholeなどのブリッジを活用して、Ethereum・Avalanche・Solana・Fantomなど多数のブロックチェーン上でUSTの流動性を構築。
最近ではCurveのDEXにUST・FRAX・USDC・USDTの流動性プール「4pool」の創設を提案し、DAI・USDC・USDTのベースプール「3Pool」に代わるDeFiで最も流動性の高いDEXのベースプールを目指している。
③さらに「Forex Reserve」を設立し、現在$1.8BのBitcoinを準備金に蓄積。最終的に$10B規模でUSTのペグ維持に貢献することを目指している。
●クレジットベースのアルゴリズムStablecoin「Beanstalk」がアタック受け$80m以上が流出
細工されたコードをガバナンス権限付きで実行可能となったことが、プール資金の流出原因と見られる
2/ The hack is made possible due to the flashloan-assisted (immediate) pass of BIP18, which was submitted one day ago (etherscan.io/tx/0x68cdec0ac…). The BIP18 leads to the crafted code execution with the governance privilege to drain the pool fund.
攻撃にあたり、ウクライナに250k BEANを寄付するというBIP-18のフェイク提案を作成。フラッシュローンにより資金を得た後、フェイクのBIP-18に投票し、全ての資金をプロトコルのコントラクトから引き出したとのこと。
●Beanstalkのexploitに感動したので半年ぶりにブログ書く - DeFiで落ちてるお金を拾いたいブログ
https://vividot-de.fi/entry/beanstalk-exploit
2.3.5. 概論
●D1Conf 2022 | Decentralized Insurance Conferenceのライブストリーミング
D1Conf 2022 | Decentralized Insurance Conference
2.5. 金融機関のデジタルアセットサービス
2.5.1. 米国
●Morgan Stanley、StrikeがBlackHawkネットワークにインテグレートされることによって、Bitcoinが通貨として広く利用される上で重要なマイルストーンに到達したとの見方を示す。また、少額送金にはデビットカードよりLightning Networkの方が実用的であると説明している
https://bitcoinmagazine.com/business/morgan-stanley-bitcoin-is-almost-a-currency
●Fidelity、Fidelity Metaverse ETF (FMET)の発売を記念して、若年層を対象としてETFなどの投資に関する基本知識の学習をゲーム化するメタバース「The Fidelity Stack」をDecentraland上にオープン
●Fidelity、クリプト業界(マイニング・トレード・決済・ブロックチェーン)を対象としたETF「Fidelity Crypto Industry and Digital Payments ETF (FDIG) 」を立ち上げ。あわせて、メタバース業界を対象とした「Fidelity Metaverse ETF (FMET) 」も。
●お金のデジタル化、事業会社が主導 ペイパルは独自通貨
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB1331R0T10C22A2000000/
2.5.2. 欧州
●独Commerzbank、機関投資家を対象とした暗号資産カストディに向けてBaFinライセンスを申請
2.7. デジタル証券
●日本取引所グループ|国内初のデジタルな仕組みを用いた環境債「ホールセール向けグリーン・デジタル・トラック・ボンド」の発行に関する協業について
株式会社BOOSTRYが提供するブロックチェーン基盤を活用した社債型セキュリティ・トークンのスキームを利用
https://www.jpx.co.jp/corporate/news/news-releases/0010/nlsgeu000006bqpr-att/press_release.pdf
●三菱UFJ信託銀行が主催する「デジタルアセット共創コンソーシアム」、「航空機STOWG」検討結果を報告書として公表
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000036656.html
●三菱UFJ信託銀行が主催する「デジタルアセット共創コンソーシアム」が発表した「航空機STOWG 報告書」
https://www.tr.mufg.jp/ippan/pdf/aircraftsto_report.pdf
●みずほ信託、野村系の基盤でデジタル証券発行へ:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB130Y60T10C22A4000000/
Section3: Regulation
3.1. グローバル
●IMFのグローバル金融安定性レポート。
「ロシアのウクライナ侵攻は、①エネルギー安全保障の地政学が気候変動をリスクにさらす可能性、②資本市場の断片化のリスクと米ドルの役割への影響の可能性、③決済システムの断片化と中央銀行のデジタル通貨ブロックの創設リスク、④新興市場での暗号資産の利用拡大、といった中期的構造問題を表面化させた」とする見方を示している。
④を「新興国におけるcryptoizationの加速」と表現。
3.2. 米国
●米FBIとCISA・財務省、Lazarus GroupやAPT38など北朝鮮の国家支援によるグループが、暗号通貨取引所・DeFiプロトコル・P2Eゲーム・暗号通貨VC・大量NFT保有者などを標的にしている旨を警告。
侵入は、暗号通貨企業でシステム管理やDevOpsに従事する従業員に対し、さまざまな通信プラットフォーム上で大量のスピアフィッシングメッセージを送信することから始まるとしている。
高収入の仕事を提示する採用活動を模倣して、マルウェア混入アプリをダウンロードするように仕向けるもの
https://www.cisa.gov/uscert/ncas/alerts/aa22-108a
●米財務省の外国資産管理局(OFAC)、ロシアの制裁回避を助長する企業として、ロシアのマイニング企業Bitriverを指定。米財務省がマイニング企業を指定するのは今回が初めて。
https://home.treasury.gov/news/press-releases/jy0731
3.3. 欧州
●欧州当局においてBitcoinを禁止する可能性について昨年11月頃に協議されていた資料が公開
https://cdn.netzpolitik.org/wp-upload/2022/04/Document-9.pdf
●Binance、EUの制裁措置に従い、1万ユーロを超える暗号資産を持っているロシアユーザー向けにサービスを制限。アカウントは引出専用となり、入金・取引不可に
https://news.bitcoin.com/binance-limits-services-to-russian-users-to-comply-with-eu-sanctions/
3.4. アジア太平洋ほか
●ロシア当局、野党指導者のBitcoinを追跡すべく、Binanceに対して、犯罪撲滅のために名前や住所などの顧客データの引き渡しに同意するよう要求していたとの報道。Binanceはこれを受け顧客データ共有に同意したとしている
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