クリプト・web3をめぐる今週のニューストピックを、①テクノロジー(Bitcoinなど)・②ビジネス(ペイメントやDeFi・NFTなど)・③規制まわり、で振り返る。
今週の注目トピックは、
Mastercard、銀行が暗号通貨取引を提供できるよう支援を開始する旨、CNBC報道
WalmartのグローバルCTO、「クリプトは顧客の取引方法の重要な一部となるだろう」との見方を示す
USDT、決済会社SmartPayとの提携を通じて、ブラジル全土の24,000台以上のATMで利用可能に
米国のデジタル商品消費者保護法(DCCPA)の文案がリーク
米連邦預金保険公社(FDIC)が示した、暗号資産およびStablecoinの見方
欧州委員会、エネルギー分野のデジタル化に関するアクションプランとして、マイニングへの影響行使を示す
香港、中国本土とは別のスタンスとして、個人投資家による暗号通貨への直接投資を認めることを検討
香港、CBDCのプロトタイプ「Project Aurum」を完了
Bluesky、分散型ソーシャルアプリケーションのためのプロトコル「Authenticated Transfer Protocol(ATP)」を発表
BitcoinのDeFiレイヤーに関するガイド記事
Gavin Wood氏、ParityのCEOを退任しチーフアーキテクトに
Section1: Technology
1.1. Bitcoin
1.1.1. L1
●貨幣と国家の分離:Bitcoinマキシマリストとイーサリアンは共存可能か
https://blog.btcbox.jp/archives/16541
●Bitcoin DeFiにおける主要レイヤーとして、Lightning、Stacks、RSK、Liquidを紹介している
●BitcoinのDeFiレイヤーに関するガイド記事
●イーサリアムの検閲耐性が低下、ビットコインは大丈夫?
●Bitcoin developperのAuthor nameとCommits数のリスト
●10/28-10/29、スイスのLuganoで開催されるPlan ₿ Forum
https://planb.lugano.ch/pbf-agenda/
1.1.2. L2:Lightning Network
●Lightning Networkの基本 (4)
今回は Commitment Transaction について。
https://medium.com/nayuta-inc/lightning-network%E3%81%AE%E5%9F%BA%E6%9C%AC-4-ca655d7eb6da
●Lightning Network専用オンラインワイン/日本酒ショップを作りました⚡ | ナガハマ88エイティエイト | Spotlight
https://spotlight.soy/detail?article_id=s5oajl2c0
1.2. Ethereum
(特になし)
1.3. 他チェーン・要素技術
1.3.1. 他チェーン
●Gavin Wood氏、ParityのCEOを退任しチーフアーキテクトに
https://www.parity.io/blog/parity-leadership-update/
1.3.2. 要素技術
●CoinGecko、Q3 2022レポートを発表
https://www.coingecko.com/research/publications/q3-2022-cryptocurrency-report
●Bluesky、分散型ソーシャルアプリケーションのためのプロトコル「Authenticated Transfer Protocol(ATP)」を発表
●分散型ソーシャルアプリケーションのためのプロトコル「Authenticated Transfer Protocol(ATP)」の概要スペックドキュメント
●a16zのCrypto Startup School
https://az.swoogo.com/a16zcryptostartupschool
Section2: Business
2.1. アダプショントピック
2.1.1. ペイメント
●WalmartのグローバルCTO、「クリプトは顧客の取引方法の重要な一部となるだろう」との見方を示す
●USDT、決済会社SmartPayとの提携を通じて、ブラジル全土の24,000台以上のATMで利用可能に
https://decrypt.co/112544/tether-usdt-will-be-available-from-24000-atms-across-brazil
2.1.2. 投資
●Grayscaleによる米SECへの提訴について、Blockchain Associationが、Coin CenterやChamber of Digital Commerceとともに支持を表明
「SECがBitcoin先物ETPとスポットETPを評価する上で二重基準を用いていることは、法律にも反している」との主張
https://theblockchainassociation.org/wp-content/uploads/2022/10/Grayscale-Amicus-Brief-Filing.pdf
●FTX US、Sam Bankman-Fried氏によるデジタルアセット業界標準の草案を発表。
ブロックリストがブロックチェーン環境での制裁コンプライアンスに対する正しいアプローチである、という見方
●仮想通貨の上場前審査を原則撤廃、12月中に-事後モニタリングへ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-10-19/RJXUXGT0G1KX01
2.1.3. 社会生活
●カナダ起業家、ビットコインは「利益の非課税国で普及」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN30DQC0Q2A830C2000000/
●9月に発売された2023年版のギネスブック、「Cryptomania」カテゴリーで、Bitcoin、CryptoPunks、El Salvadorなどを特集
https://www.coinspeaker.com/bitcoin-guinness-book-records/
2.1.4. RegTech
●北朝鮮当局の下部組織とされるラザルスと呼称されるサイバー攻撃グループによる暗号資産関連事業者等を標的としたサイバー攻撃について(注意喚起)|金融庁・警察庁・内閣サイバーセキュリティセンター
https://www.npa.go.jp/cyber/pdf/R041014_cyber_alert.pdf
2.2. DeFi
●Olympus DAO、BondFixedExpiryTellerコントラクトからOHMトークンの$292Kを喪失
●Aaveが発表したGHO テクニカルペーパー
2.3. 金融機関のデジタルアセットサービス
2.3.1. 米国
●Fidelity Digital Assets、機関投資家向けにETHを提供開始
●Mastercard、銀行が暗号通貨取引を提供できるよう支援を開始する旨、CNBC報道。
PayPalが利用している暗号取引プラットフォームPaxosと銀行をつなぐ「ブリッジ役」を、規制遵守とセキュリティ面で務めるとのこと
https://www.cnbc.com/2022/10/17/mastercard-will-help-banks-offer-cryptocurrency-trading.html
2.3.2. 欧州
●Société Généraleのクリプト部門SG Forge、フランス当局AMFの認可取得。
デジタルアセットのカストディ、購入、販売、交換が対象
https://decrypt.co/112127/societe-generales-crypto-division-lands-regulatory-approval-france
2.4. 中銀デジタル通貨
●香港、CBDCのプロトタイプ「Project Aurum」を完了。
銀行を介したCBDCトークンとCBDC担保Stablecoinの両方が含まれたもの
https://www.ledgerinsights.com/hong-kong-completes-cbdc-prototype-including-cbdc-backed-stablecoin/
2.5. デジタル証券
●イスラエル財務省とテルアビブ証取、FireblocksとVMwareとの協業でデジタル国債の利用テストを準備
Section3: Regulation
3.1. 米国
●米連邦預金保険公社(FDIC)が示した、暗号資産およびStablecoinの見方
銀行が新たなイノベーションを評価する際に考慮すべきなのは、アクセス性・利便性・効率性・安全性・健全性 および 消費者保護といった5つの要素。
イノベーションは諸刃の剣であるため、このことを念頭に置いておく価値がある。
2000年代初頭に金融イノベーションと考えられていた、サブプライムローン、クレジット・デフォルト・スワップなどは結局、2008年の世界金融危機の中心的存在となり、大失敗に終わった。
その理由の一つは、そのリスクが消費者や業界関係者にあまりに理解されておらず、市場がこれらの商品に参加しようとするあまり軽視されたり、意図的に無視されたりしたためである。
暗号資産も同様に、特に市場がこうした商品への移行を急ぐあまり、完全に評価することが困難になっている。
銀行による関心が高まるにつれ、暗号資産関連業務に関連するリスクや、どの銀行が暗号資産関連業務を行っているか、または行うことに関心があるかに関する十分な情報が不足している。
一方、Stablecoinは、これまで主に投資や取引を目的とした暗号資産の売買手段として利用されており、広義の決済システムとしての価値は実証されていない。
そのため、「決済用Stablecoin」という概念は、既存のStablecoinとは異なり、リアルタイム決済に対する消費者や企業のニーズを満たす手段として特別に設計されたものであるべき。
「決済用Stablecoin」を、現在のStablecoinよりも格段に安全なものとするためには、銀行子会社を通じて発行することによって、プルデンシャル規制の対象とすること。
また、「決済用Stablecoin」は、強固なガバナンスとコンプライアンスの仕組みを持つ、許可された台帳システムで取引すること。ノードやバリデーターを含むすべての関係者を把握できることによって、AML/CFT規制を遵守し、制裁逃れを抑止できる。
https://www.fdic.gov/news/speeches/2022/spoct2022.html
●米国のデジタル商品消費者保護法(DCCPA)の文案がリーク
「(24) デジタル商品取引施設」の定義として、デジタル商品トランザクションを検証すること、または ソフトウェアを開発または公開する者は除外とされている模様
https://github.com/LeXpunK-Army/Crypto-CaseLaw/blob/main/DCCPA%20Markup%20Latest%2010.19.22.pdf
https://blockworks.co/leaked-draft-of-us-congress-defi-killer-bill-sparks-debate/
●中央集権的な既存企業を優遇し、スタートアップを殺すものであるとして、DCCPAに反対する旨の意見
「CFTCにスポット市場を規制する新たな権限を与える」「人間による仲介を強制 する」および「プロジェクトに分散化の犠牲を強いる」ことを理由と挙げている。
「デジタル商品」とは何かを明確に定義することも、商品であるトークンとそうでないトークンの区別を明確にすることもしていないにも関わらず、BitcoinとEtherを商品と認定しているとし、他のトークンには適用されないのに、これらにはどんなテストが適用されるのかと問題提起している。
また、多くのDeFiプロジェクトは「デジタル商品プラットフォーム」に分類され、DEXは「個人間のデジタル商品取引の執行または取引を容易にする」ことから、「取引施設」とみなされる可能性が高いだろうとの見方。
●米SECとCFTC、「Three Arrows Capital(3AC)」の調査を開始しているとのBloomberg報道
●テキサス州当局、FTX・FTX USおよび創業者兼CEOのSam Bankman-Fried氏を証券違反の可能性で調査
https://cases.stretto.com/public/x193/11753/PLEADINGS/1175310142280000000134.pdf
3.2. 欧州
●欧州委員会が示した、効率性と再生可能エネルギー統合の向上に向けたエネルギー分野のデジタル化に関するアクション
データセンターの環境ラベル制度や、コンピュータのエネルギーラベル、通信サービスのエネルギー消費の透明性を高めるための措置、およびブロックチェーンのエネルギー効率ラベルなどを通じて、ICTセクターのエネルギー消費を制御することを挙げている。
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_22_6228
●EUアクションプランに添付された欧州委員会スタッフ作業文書では、次のステップとして、以下の4点から、暗号通貨マイニングへの影響行使を示している。
(1) データセンターのCO2排出量上限の段階的引き下げ
EUにおけるデータセンターのCO2排出量上限が段階的に引き下げられており、暗号通貨マイニングに影響を与えることになる。
(2) 環境・気候のフットプリントに関する情報開示の義務付け
欧州委員会は、PoWに関するエネルギー消費の懸念にMiCA規制が対応することを提案しなかったものの、MiCA規制は、暗号資産市場のアクターに対して、環境および気候のフットプリントに関する情報開示を義務付ける予定。
欧州委員会は、暗号資産市場における新技術の環境・気候への影響に関する記述を含む報告書を作成する予定としており、合意形成メカニズムに関する評価も含まれる予定とのこと。
これにより、Bitcoin投資の魅力を低下させ、Bitcoinの価格を抑制する世界初の試みとなる、とのこと。
(3) エネルギー消費に関する正確でわかりやすい情報開示を求める透明性の原則
「欧州デジタル権利および原則に関する宣言」では、「誰もが、デジタル製品やサービスの環境影響やエネルギー消費に関する正確でわかりやすい情報を入手し、責任ある選択ができるようにすべきである」としている。
この透明性の原則は、MiCAテキストにおける環境開示要件にも反映されており、一般市民が環境にやさしくない暗号通貨への投資を検討する際の抑止力として機能する可能性がある。
(4) マイニングの電力消費量とカーボンフットプリントを国際レベルで評価するための技術ツール開発
マイニングの電力消費量とカーボンフットプリントを国際レベルで評価するための技術ツールを開発する必要がある。
標準化団体との国際協力を通じて、ブロックチェーンのエネルギー効率の高いラベリングを開発するために必要な技術的専門知識を提供する。
このインセンティブは、より環境に優しいコンセンサスメカニズムの利用を奨励するものでなければならない、としている。
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_22_6228
3.3. アジア太平洋ほか
●香港、中国本土とは別のスタンスとして、個人投資家による暗号通貨への直接投資を認めることを検討中とのこと
3.5. 日本
●【第 1 回 Web3.0 研究会】議事要旨
●自民党デジタル社会推進本部 web3PTに出席、斎藤 税制検討部会長が暗号資産税制改正要望について説明いたしました。|日本暗号資産ビジネス協会
https://cryptocurrency-association.org/news/main-info/20221021-002/
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