Bitcoin・クリプト・web3をめぐる今週のニューストピックを、①テクノロジー・②ビジネス・③規制まわり、で振り返る。
今週の注目トピックは、
日銀、円の中央銀行デジタル通貨の売買に関するウェブサイトへの注意喚起
仏中銀、金融のトークン化/クロスボーダー取引の改善に向けたホールセールCBDC実験レポートを発表
スイスSDX、デジタル証券取引決済に期間限定で本物のホールセールCBDCを利用可能に
京都のホテルをデジタル証券化、三井物産系が販売
Bitcoinの機能性を高めるサービスを構築するオープンソース開発者を支援する報奨金チャレンジ
Lightning Service Providersがネットワークの成長と課題克服に欠かせない理由
米国会計検査院、暗号資産の包括的な監視確保には立法・規制措置が必要するレポートを発表
Section1: Technology
1.1. Bitcoin
1.1.1. L1
●Bitcoin Optech Newsletter #261|簡素化されたLNクロージングプロトコル。2つのLNノードが共有するチャネルを相互にクローズするプロセスを簡素化する提案
https://bitcoinops.org/en/newsletters/2023/07/26/
●Bitcoinの機能性を高めるツールやサービスを構築するオープンソースの開発者を支援するために発表された、20BTCの報奨金チャレンジ
https://twitter.com/gladstein/status/1684567095231778818
●Bulletproofsと比べて範囲証明をサイズで40%小さく5倍速くすることを可能とする「Bulletproofs++」
https://twitter.com/n1ckler/status/1684672317887016960
●MAST (Merkelized Alternative Script Tree) の図解スライド
https://twitter.com/BTCillustrated/status/1684572699484651520?s=20
●Bitcoin Historyに関するリソースリンク集
https://www.lopp.net/bitcoin-information/history.html
●BLS12-381の点のシリアライゼーションフォーマット
https://techmedia-think.hatenablog.com/entry/2023/07/23/154049
●直近のBitDev
1.1.2. L2:Lightning Network
●Lightning Service Providers(LSP)がネットワークの成長と課題克服に欠かせない理由
チャネル開設に際して一定額のBitcoinをチャネルにコミットする必要がある(=実質的に一定期間資金を固定することになる)
一方の当事者が送金額よりも多くの支払いを受けている場合、チャネルのバランスに偏りが生じるため、最適なバランスを維持するために、送受金を通じてチャネルのバランスを積極的に調整要
流動性のアンバランスや、希望するルートに沿って利用可能なチャネルが不十分な場合に、トランザクションが妨げられてしまう
流動性を提供する十分なインセンティブがないと、利用可能な資金が不足し、流動性に問題が生じる
https://medium.com/synonym-to/the-rise-of-lightning-service-providers-6410274d5b70
●EC・投げ銭・自動化・サービスにおいて、Lightningが提供する恩恵を受けているものの、セルフカストディアルでプライバシー保護した即時決済ネットワークとしての真の可能性を発揮するには、解決すべき不足部分がまだ多く残っている
https://tonygiorgio.com/lightning-everywhere/
●NYで開催された「LN Summit 2023」における議論の要約メモ
https://lists.linuxfoundation.org/pipermail/lightning-dev/2023-July/004014.html
●Coinjoin と Lightning の互換性について
https://twitter.com/voltage_cloud/status/1684212554388701185?s=20
●Adopting Bitcoin Conference、1/26-1/28に南アのケープタウンで開催へ
https://twitter.com/BitcoinEkasi/status/1684858631643111424?s=20
1.2. Ethereum
(特になし)
1.3. 他チェーン・要素技術
1.3.1. 他チェーン
●Proof-of-Personhoodプロジェクト「Worldcoin」に関するVitalikの論考
https://vitalik.eth.limo/general/2023/07/24/biometric.html
1.3.2. 要素技術
●TBDのWeb5 JS SDKとSSI SDKを試す(前編)
https://tech.gmogshd.com/try-web5-1/
Section2: Business
2.1. アダプショントピック
2.1.1. ペイメント
●Zapgoalsは、自身やグループのために募金ゴールを作成することができ、各受益者が受け取る金額を決めることができる。ゴールを達成すると、自動的に受益者間で支払いが分割される
https://twitter.com/LNMarkets/status/1684514708441681920?s=20
●PkgZapがLightning Networkを活用し、任意の金額の直接寄付を提供。
開発者は、コードパッケージにファンディングプロパティを追加することで、npmパッケージに資金を受け取ることが可能に
https://blog.getalby.com/open-source-money-for-open-source-code/
2.1.2. 投資
●Binance、ライトニングの入出金サービスを開始|Diamond Hands Magazine Vol.98
●カストディアルサービスにおける「セルフカストディ」について
https://bolt.fun/story/on-how-we-get-to-self-custodial-custodians--920
●Bitcoin関連のETF・株式・信託において考慮すべきリスクとトレードオフについて
一般に、Bitcoinのデジタルネイティブで検閲に強いハードマネーの価値を高く評価する一方で、投資家自身がBitcoinを保管することによってその可能性を完全に実現することに躊躇することが多い
Bitcoin関連のETF、信託、その他の金融商品の株式を購入することは、エクスポージャーを得るための有用な方法ではあるものの、セルフカストディやBitcoinが示すトラストレスで自己主権的なマネーの完全な代用品ではない
https://blog.keys.casa/bitcoin-etfs-stocks-versus-self-custody/
2.1.3. マイニング
●Proof-of-Workマイニングは、電力網の脱炭素化とエネルギー生産コストの低減に役立つ
●米国におけるマイニングの気候への影響について、MITのレポート
https://ceepr.mit.edu/climate-impacts-of-bitcoin-mining-in-the-u-s/
●ビットコインマイニングニュース|Diamond Hands Magazine番外編
2.1.4. 社会生活
●南アフリカで数百万人がBitcoinを受け入れている理由についてのスレ
https://twitter.com/BTC_Culture/status/1684662386106777600?s=20
●タイのビットコインコミュニティが想像以上に盛り上がっていて、ポテンシャルが高そうだったという話|Diamond Hands Magazine
●ビットコインネイティブ企業の資金調達環境と事業紹介 By フルグル合同会社練木照子|Diamond Hands
●ビットコインを利用したステーブルコインを考える By Questry Lab. 代表理事 内田善彦|Diamond Hands
●ブロック800000!/資金洗浄に不人気なビットコイン/南アフリカからの短編映画|Diamond Hands Magazine Vol.97
2.1.5. RegTech
●Chainalysisのガバメントソリューション責任者、Chainalysisのクラスタリング方法論は学術論文のように査読を受けていないとし、ChainalysisのReactorソフトウェアの統計的エラーレートを法廷に提供できなかったとのこと。
https://www.courtlistener.com/docket/59988850/149/1/united-states-v-sterlingov/
2.2. NFT
●OpenSeaが発表した、P2PのNFTスワップ機能「Deals」
https://twitter.com/opensea/status/1682077991029932032?s=20
2.3. 中銀デジタル通貨
2.3.1. 欧州
●SIXデジタル取引所(SDX)、スイス国立銀行(SNB)との協業で、SDXでのデジタル証券取引の決済に期間限定で本物のホールセールCBDCを利用可能に。
試験的な取引ではなく通常のSDX取引が対象である他、基盤もテスト基盤ではなく現在ライブ中のものを利用している点が特徴的
https://www.ledgerinsights.com/sdx-swiss-wholesale-cbdc-groundbreaking/
●仏中銀、ホールセールCBDC実験の第2回レポートを発表。
(i)金融のトークン化、(ii)クロスボーダー取引の改善に向けた「ホールセールCBDC」発行モデルとして、(1)相互運用性モデル、(2)流通モデル、(3)統合モデルの運用可能性と実装を提示
2.3.2. アジア太平洋ほか
●豪州のCBDCパイロット、アトミック決済を通じて取引・決済・証券保管を合理化するメリットを確認
https://www.ledgerinsights.com/imperium-markets-eaud-cbdc-atomic-settlement/
2.4. デジタル証券
2.4.1. 欧州
●Securitize、スペインの不動産投資信託Mancipi Partnersの株式を表象したトークン化証券の発行を欧州で開始
https://www.theblock.co/post/241382/securitize-launches-tokenized-security-in-europe
2.4.2. 日本
●京都のホテルをデジタル証券化、三井物産系が販売 - 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF20ARI0Q3A720C2000000/
Section3: Regulation
3.1. 米国
●米国下院金融委員会、暗号市場の規制枠組みを確立する「Financial Innovation and Technology (FIT) for the 21st Century Act」法案を可決
第104条は、SECとCFTCが共同で規則を策定することを定める他、CFTCとSECが個人によるセルフカストディを制限する規則を作ることを禁止している。
第105条は、デジタル商品取引所、デジタル商品ブローカー、デジタル商品ディーラーが、CFTCに登録する意向の通知を提出することを認めている。
第106条は、デジタル資産ブローカー、デジタル資産ディーラー、またはデジタル資産取引システムがSECに仮登録書を提出することを認めている。
第301条は、デジタル商品および許可された決済用Stablecoinを証券法上の有価証券の定義から除外している。
https://financialservices.house.gov/news/documentsingle.aspx?DocumentID=408921
https://agriculture.house.gov/uploadedfiles/market_structure_bill_section_by_section.pdf
●米SEC、暗号資産取引プラットフォームが会計事務所を雇って事業の特定の部分についてレビューを行う代替的な非監査の取り決めについて、財務諸表監査と同等あるいはそれ以上に「正確」であると誤解を招く危険性があると警告
https://www.sec.gov/news/statement/munter-statement-crypto-072723
●米下院で提案されたKeep Your Coins Actは、デジタルアセットに関わる金融取引における個人のプライバシー権利を確認するもの
個人によるセルフカストディの能力を排除すれば、仲介者に依存することになり、そもそもデジタルアセットを開発する理由がなくなってしまうとの意見がある
https://theblockchainassociation.org/blockchainassociation-applauds-historic-votes-on-fit-act/
●米国会計検査院(GAO)、最近の価格暴落や倒産により、消費者を危険にさらす可能性のある連邦規制のギャップについての懸念が高まっており、暗号資産の包括的な監視を確保するには立法措置と規制措置が必要であるとするレポートを発表
https://twitter.com/USGAO/status/1683522581532491776?s=20
●米SEC、2017年10月・11月に暗号資産証券の無登録ICOを実施したとしてQuantstampを告発。ICOの収益を使って自動スマートコントラクト・セキュリティ監査プラットフォームを開発し、販売することを計画していたと認定
https://www.sec.gov/enforce/33-11215-s
●米ワイオミング州、「stable token」の取り組みを計画。トークン発行による資金は「米国財務省短期証券のみに投資」される信託口座に預けられるとのこと
https://www.theblock.co/post/241207/wyoming-looks-for-director-to-lead-stable-token-effort
●米ミネソタ州、政治運動委員会への暗号通貨による寄付を合法化
5日以内に米ドルに換金せねばならず、その間に価格変動があった場合は選挙資金報告書に別途記載しなければならない
3.3. 欧州
●英国のデータ規制当局ICO、WorldCoinプロジェクトについてさらなる調査を行う予定とコメント
●Binanceがドイツ当局からライセンス申請を取り下げるよう助言されたとするWSJ報道
https://www.wsj.com/articles/binances-founder-drew-scrutiny-from-german-regulator-2e890a31
3.4. アジア太平洋ほか
●カナダ当局OSFI、銀行と保険の暗号資産保有に関する取り扱い案を発表
昨年末に発表されたバーゼル委員会草案では、トークン化された証券に2.5%のリスク加重(RWA)を加えることが示されたものの削除されたが、カナダの案ではデフォルトで2.5%のRWAを適用するとされている
https://www.ledgerinsights.com/canada-basel-crypto-tokenized-securities/
3.5. 日本
●円の中央銀行デジタル通貨の売買に関するウェブサイトにご注意ください|日本銀行
「最近、何者かが、円の中央銀行デジタル通貨の売買を扱うウェブサイトを作成しているとの情報が寄せられています。こうしたウェブサイトと日本銀行とは一切関係がありません」
https://www.boj.or.jp/about/organization/notice/orgnot230726a.htm
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