Bitcoin・クリプト・web3をめぐる今週のニューストピックを、①テクノロジー・②ビジネス・③規制まわり、で振り返る。
今週の注目トピックは、
Bitcoin、過去最大のトランザクションを記録
MicroStrategy、「Lightning Rewards」を公開
Stripe、法定通貨から暗号通貨へのオンランプの開設を発表
Chainalysis、防諜のためにBitcoinのOP_RETURNフィールドの使用例を発表
米ホワイトハウス、マイニングに使う電力コストの30%課税に言及
米モンタナ州、マイニングを行う権利を保護する法案を可決
Section1: Technology
1.1. Bitcoin
1.1.1. L1
●Bitcoin、過去最大のトランザクションを記録
1日の取引数は568,300を超え、2017年のブルランの頂点にあった以前のピークより78,000近く急増。
そのうちの307,000件以上がOrdinals。
https://blockworks.co/news/bitcoin-transactions-record-ordinals
https://bitinfocharts.com/comparison/bitcoin-transactions.html#alltime
●Bitcoinのtransaction fee、2年ぶりの高値となる$3.5mに急騰
https://cryptofees.info/protocol/btc
●マイナーに支払われたfeeのうち、最大で1/3がBRC20の取引に起因している可能性があるとのこと
https://twitter.com/n3ocortex/status/1654146534106071043?s=20
●Ordinal inscriptionsに支払われた手数料の合計は5月2日までに290BTCに到達
https://dune.com/dgtl_assets/bitcoin-ordinals-analysis
●5月1日の1日で37万inscriptionsが作成されたとのこと
https://dune.com/dgtl_assets/bitcoin-ordinals-analysis
●0-value transaction(0-value input, 0-value output transaction)をinscribeすることによるordinal inscriptionsへの攻撃についての解説
壊れたのは"inscription numbers"(inscriptionがどのような順番で書かれたかを追跡するもの)であり、個々のsatoshisを歴史的に追跡する"ordinal theory"は何も壊れていなかった。
inscription numbersは、早い時期に既に壊れていた。
ordinals と inscriptionsの相違点として、ordinalsはトラッキングシステムであり、inscriptionsは実際のjpgファイルであるとしている。
https://twitter.com/dannydiekroeger/status/1654259984375615490
●"Broke Ordinals"とされるInscription 3,492,721について、ordinal indexerが考慮しなかったエッジケースであるとの見方
https://twitter.com/LeonidasNFT/status/1654281261609877504?s=20
●Grayscale、Ordinalsについて「懸念が存在する一方で、長期的にはBitcoinネットワークにプラスの影響を与え、Bitcoinコミュニティを受け入れる熱心なユーザーや開発者の新しい波を引き寄せる可能性がある」との見方
https://grayscale.com/can-ordinals-unlock-new-potential-for-bitcoin/
●OP_VAULT提案を再実装するために柔軟なcovenants設計を用いた分析|Bitcoin Optech Newsletter #249
https://bitcoinops.org/en/newsletters/2023/05/03/
●Bitcoin Legal Defense Fund – Bitcoin コア開発者を訴訟から保護することを目的としたイニシアチブ
https://bitcoindefense.org/
●Taproot Channel Transactionsの解説記事
https://ellemouton.com/posts/taproot-chan-txs/
●Bitcoin Economics関連リソースリスト
https://www.lopp.net/bitcoin-information/economics.html
1.1.2. L2:Lightning Network
●「LightningCon 2023」の振り返り記事
https://news.bitcoinvn.io/lightningcon-2023-da-nang-review-and-footage/
●「Lightningcon Vietnam 2023」(3/23~3/24)の動画リンク集
https://www.nobsbitcoin.com/lightningcon-vietnam-2023-recap/
●インターネットに接続されていない環境下でも、コミュニティ・ワイヤレス・メッシュネットワークを利用して、コミュニティ内でオフラインLightning決済を可能にする「LNMesh」を提案するペーパー
https://arxiv.org/abs/2304.14559
●ライトニングノードの管理を自動化するサービスが続々と登場|Diamond Hands Magazine Vol.77
1.2. Ethereum
●Ben Edgingtonによる「Upgrading Ethereum - A technical handbook on Ethereum's move to proof of stake and beyond」、Edition 0.3として、Capellaに関するアップデートが記載
https://eth2book.info/capella/part4/history/capella/
1.3. 他チェーン・要素技術
●GrayscaleによるConsensus2023レポート。
トピックとして、伝統的な金融商品のトークン化、実行可能なNFT「xNFTs」などを挙げている
https://grayscale.com/market-byte-highlights-from-consensus-2023/
●「State of European Crypto Report 2023」によると、世界で最も重要な暗号資産のハブとしてリスボンを挙げている。次いでベルリン・ニューヨーク・シンガポール。マイアミやデンバーの名前も
https://greenfield.xyz/2023/05/03/state-of-european-crypto-2023/
●暗号投資家がハードウェアウォレットに回帰しているとするWired記事。
英数字の秘密鍵で保護された自分だけの暗号ウォレットを管理する「セルフ・カストディ」が提唱される中で、Ledgerは「Ledger Recover」、Trezorは「Shamir Backup」と呼ばれるソリューションを提供。
https://www.wired.com/story/ftx-crypto-investors-hardware-wallets/
Section2: Business
2.1. アダプショントピック
2.1.1. ペイメント
●MicroStrategy Lightning for Enterprises として公開された「Lightning Rewards」
電子メールにLightningウォレットを備えることで、フォーラムへの投稿やウェルネスプログラム参加といった行動へのインセンティブ付けを通じて、顧客と従業員をエンゲージ
https://twitter.com/Dante_Cook1/status/1654129917553172482
●MicroStrategy「Lightning Rewards」のウェブサイトによると、サインアップやロイヤリティ、エンゲージメントのツールとして、管理ポータルを通じたリワードルール設定やロイヤルティプログラムの効果測定などが挙げられている
https://www.microstrategy.com/en/lightning/lightning-rewards
●Venmo、Bitcoinの外部ウォレットへの引出し機能を導入へ
https://www.btctimes.com/news/venmo-to-introduce-bitcoin-withdrawals-to-external-wallets-in-may
●Lightning Networkの現状、その採用状況、2023年の現在の状況について振り返る記事
2017年12月28日、Bitcoinメインネットで最初のLightning取引が、Bitrefillでのオンライン購入において成功
2018年8月、Lightningに対応したウォレットがモバイルデバイスで利用可能に(LN Capacity: 1 BTC)
2019年1月、個人の連鎖を通じてマイクロペイメントを送るプロモーションキャンペーン「Lightning Torch」(LN Capacity: 107 BTC)
2019年3月から2020年12月には、ユーザーやマーチャントが多数の新しい決済チャネルを開設し、ネットワークの全体的な流動性とキャパシティが高まった。取引所がLightningのサポートを実装した他、新しいウォレットの実装が開始するなど(LN Capacity: 800BTC)
2020年〜2022年(LN Capacity: 5,000 BTC)
エルサルバドルでのBitcoin導入
Lightningベースのカード決済サービス
Cash AppのLightning統合
Strikeによるクロスボーダー決済「Send Globally」
POSプロバイダーCloverや南ア食品小売Pick n Payとの提携
2023年のLightning
Lightningに統合された分散型データ共有プロトコル「Nostr」。Nostr Zapを通じてBitcoin決済をサポート
Xapo Bank、Lightningを統合し即時決済を実現
企業向けにLightningの流動性と信頼性を高めるソリューション「Lightspark」
ZEBEDEEによるゲーム業界向けに設計されたカストディアルウォレットサービス
ポッドキャストとLightningの連携(VIDARなど)
Lightning Addressプロトコル(Bottlepayなど)
オフライン取引に対応したノンカストディアルウォレット「Machankura」
TBDによるLightning事業「C=」
EV充電ステーションに対応した「Satimoto」
ノンカストディアルのクラウドファンディングプラットフォーム「Geyser」
P2Pビデオチャット「Keet」におけるLightning決済
https://medium.com/coinmonks/lightning-network-2018-to-2023-and-beyond-9ea9359ada77
2.1.2. 投資
●Stripe、法定通貨から暗号通貨へのオンランプの開設を発表。
サービス利用に際して顧客が必要な時に暗号を購入できるようにするもの
実装オプションとして、コードに埋め込むタイプに加え、コード不要なStripeホスト型を提供
https://stripe.com/zh-cn-hk/newsroom/news/fiat-to-crypto-onramp
●Coinbaseがバミューダ通貨庁による規制ライセンス承認を受け開設したCoinbase International Exchange。
暗号資産取引の75%を占めるperpetual futures商品を、米国外の機関投資家が取引できるようにするもの。
USDCで決済されるBTCとETHのperpetual futures契約を上場。
https://www.coinbase.com/blog/introducing-coinbase-international-exchange
●Geminiも、米国外向けデリバティブ・プラットフォームを立ち上げるとの報道。
シンガポール・香港・ブラジル・フィリピンなど30カ国・地域に対応するサービスを提供
https://fortune.com/crypto/2023/05/02/gemini-launches-offshore-crypto-derivatives-platform/
●Revolut、ブラジルで暗号資産投資のサービス提供を開始と発表
2.1.3. マイニング
●ブータンの政府投資部門Druk Holding and Investments(DHI)、カーボンフリーの水力発電によるマイニング事業に向けて前Bitmain CEOのJihan Wu氏率いるBitdeer Technologies Groupと提携。クローズドエンド型ファンドを設立し資金調達へ
2.1.4. 社会生活
●「ビットコインのSoVという側面には本質的価値がある」Nayuta Inc. CEO・栗元氏 4/4 - 投資・トレード メディア - Burry Market Research
https://burry.co.jp/articles/nayuta-kurimoto-4/
2.1.5. RegTech
●FBI、ウクライナ警察と連携して仮想通貨交換サービスのウェブサイトを押収
●「OP_RETURNフィールドの前例のない武器化を通じて、防諜のためにBitcoinをより直接的かつ積極的に使用する例と思われるものを発見した」旨の、Chainalysis報道アーカイブ
ウクライナ侵攻前の2022年2月12日〜3月14日にかけて、匿名のBitcoinユーザーが、ロシア諜報機関に属するとする約1000のアドレスを呼び出し、警鐘を鳴らしたとのこと
匿名のBitcoinユーザーが986のビットコインアドレスに送信した、各トランザクション中のメッセージでは、問題のアドレスがロシア機関によるハッキング作戦に使用されたと主張
また、OP_RETURNメッセージのほとんどは、ロシア政府に属していると述べたアドレスから発信されており、ロシアが管理するアドレスの秘密鍵にアクセスしたことを示すとのこと
https://blog.chainalysis.com/reports/russia-bitcoin-op-return-messages/
2.2. NFT
●Sotheby's、NFTの二次販売に対応するオンチェーンNFTマーケットプレイスを開設
https://decrypt.co/138514/sothebys-launches-on-chain-nft-marketplace-for-secondary-art-sales
2.3. 中銀デジタル通貨
2.3.1. 米国
●フロリダ州の中銀デジタル通貨法案によると、Moneyの定義には、中央銀行デジタル通貨は含まれないとしている。
https://www.flsenate.gov/Session/Bill/2023/7054/?Tab=BillText
2.3.2. アジア太平洋ほか
●ナイジェリア、「Agro eNaira Wallet Engagement」プロジェクトを通じて、小規模農家がeNairaデジタルウォレットを使って道具・設備を購入するための融資を受けることを可能に
https://www.ledgerinsights.com/nigeria-enaira-cbdc-disperse-aid-agricultural-loans/
●ブラジル中銀、デジタルreal CBDCパイロットの正式開始を発表
https://www.ledgerinsights.com/brazil-digital-real-cbdc-pilot-institution-application/
2.4. デジタル証券
●デジタル証券で安定資産投資「ALTERNA(オルタナ)」、事前登録者数10,000人突破。登録は5月8日17時まで|三井物産デジタル・アセットマネジメント株式会社のプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000037.000056997.html
Section3: Regulation
3.1. 米国
●米ホワイトハウスの経済諮問委員会(CEA)、今年の予算で提案されたデジタルアセットマイニングエネルギー(DAME)物品税について、段階的な導入期間の後、マイニングに使用する電力コストの30%に相当する税金を課す旨に言及。
「マイニング企業は、環境汚染、エネルギー価格上昇、CO2排出量増加による気候への影響という形で、他者に課すコストの全額を支払う必要はない」として、「DAME税は、企業が社会に与える害をよりよく考慮するように促すもの」であるとしている。
NYT報道による「暗号採掘事業者34社に関連する電力消費の規模」が周辺300万世帯が使用する電力に匹敵するとする点を引いて、2022年に米国でクリプトマイニングに使用された電力量は、米国の家庭用コンピューターや住宅用照明に使用されている電力量と同程度であるとしている。
これら既知のコストやリスクの一方、マイニングは同量の電力を使用するビジネスに通常関連する経済的利益を生み出さない、と述べている。
これらを踏まえ、DAME税は地域社会や環境に課されるコストの公正な負担をマイニング業者に求め、10年間で35億ドルの税収を見込んでいるとのこと。
https://www.whitehouse.gov/cea/written-materials/2023/05/02/cost-of-cryptomining-dame-tax/
●米SEC、今回のヘッジファンド規則改正において「デジタルアセット」の用語定義を規則の一部として採用せず
https://www.sec.gov/rules/final/2023/ia-6297.pdf
●米モンタナ州、マイニングを行う権利を保護する法案を可決
マイニングについて、不当に差別的な料金を生み出す料金区分を設けてはならない
支払い方法として使用されるデジタル資産に、州または地方政府による追加課税や課金を課してはならない
https://bitcoinmagazine.com/legal/montana-passes-bill-protecting-bitcoin-mining
●米モンタナ州による暗号通貨法の改正法案の冒頭で示されている内容
マイニングは、米国内の個人および企業にプラスの経済価値を提供する。
モンタナ州は、個人と企業がデジタルアセットをマイニングする権利を保護し、マイニング業界に法的確実性を持たせたいと考えている。
マイニングは、送電網を安定させ、州全体のインフラ整備のための収入を提供する可能性がある。
https://leg.mt.gov/bills/2023/billpdf/SB0178.pdf
●米フロリダ州、反中央銀行デジタル通貨(CBDC)法案を上院・下院で可決。
米国中銀・連邦政府機関あるいは外国政府がCBDCを発行した場合に、フロリダ州では「デジタル交換媒体」としての使用を厳しく禁止するというもの
●Blockchain Association、連邦政策に集中すべく米NY州からワシントンへシフト
3.2. 欧州
●英国政府、暗号通貨スキームや保険などの商品売りつけ電話を受けた人が、それが詐欺だとわかるように、すべての金融商品に関するコールドコールを禁止する旨を発表
https://www.gov.uk/government/news/what-the-prime-ministers-fraud-strategy-means-for-you
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