Bitcoin・クリプト・web3をめぐる今週のニューストピックを、①テクノロジー・②ビジネス・③規制まわり、で振り返る。
今週の注目トピックは、
MoneyGramがノンカストディアルウォレットをローンチへ
Baltic HoneyBadgerカンファレンスにおけるBTCPay Serverコラボレーションケーススタディ
テキサス州が米国のマイニングスペースを支配しているとする記事
定期的に送金を送ったり受け取ったりしている世帯においてBitcoinに対する楽観的な見方の傾向があるとするBlockのサーベイ
OpenTimestampsを使った、グアテマラ大統領選に関する重要文書の不正や改ざんから保護
外国為替とクロスボーダー決済むけホールセールCBDC実験「Project Mariana」のレポート
米SEC委員長、公聴会で「暗号トークンの大半は投資契約のテストに合致する可能性が高い」とした上で、「全ての暗号資産をカバーし、適格カストディが提供する保護の強化を提案」と発表
米下院で、取引所に対し自社台帳にのみ記録されているデジタルアセットの動きを、規制当局が見ることができる外部リポジトリに共有するよう強制する法案
Section1: Technology
1.1. Bitcoin
1.1.1. L1
●Bitcoin 関連Podcast ・YouTube のリソースリスト
https://www.lopp.net/bitcoin-information/podcasts.html
●Bitcoin関連のカンファレンスやミートアップの動画リンク集
https://twitter.com/lopp/status/1706576693618495610
●BIP-152: Compact Blockの図解スレ
https://twitter.com/BTCillustrated/status/1707305120633876757
●マイニングプールによるマイナーへのdelegateについての図解スレ
https://twitter.com/BTCillustrated/status/1706720807781597695
●マイニングプールに関する図解スレ
https://twitter.com/BTCillustrated/status/1705987959126622243
●Covenantを使用してLNのスケーラビリティを大幅に向上させる提案|Bitcoin Optech Newsletter #270
https://bitcoinops.org/ja/newsletters/2023/09/27/
●BRC-20に代わる新しいプロトコルRUNESの提案
https://twitter.com/WuBlockchain/status/1706602656301715773
●Simple Taproot Channel(Part 1) - Develop with pleasure!
https://techmedia-think.hatenablog.com/entry/2023/09/26/193650
1.1.2. L2:Lightning Network
●Lightning のフォワーディングについての解説記事
https://lightningnetwork.plus/posts/436
●Lightningトランザクションの解説記事
https://lightningnetwork.plus/posts/434
●Nayuta Wallet iOS版 v1.1.0 リリース
Section2: Business
2.1. アダプショントピック
2.1.1. ペイメント
●MoneyGramがノンカストディアルウォレットをローンチへ
MoneyGramが2024年1Qまでにノンカストディアルウォレットをローンチ予定である旨、同社CEOが明らかにした。
Cheesecake Labs社との提携によりStellarネットワーク上に構築される予定であり、StellarネットワークとMoneyGramのフィアット・オン/オフランプ・サービスを利用して、即時取引を促進する。
このウォレットにより、ユーザーはStablecoinを活用して不換紙幣とデジタル通貨を行き来できるようになる。
これを通じて、国境を越えた送金と決済を強化することを意図しているとのこと。
https://cointelegraph.com/news/money-gram-non-custodial-crypto-wallets-q1-2024
●Baltic HoneyBadgerカンファレンスにおけるBTCPay Serverコラボレーションケーススタディ
Baltic HoneyBadgerカンファレンスは、Bitcoinカンファレンスとして知られている一方、参加者がBitcoinを使って支払いを行うことができないという重大な欠点が明らかになっていた。
そのため、5年目を迎えるにあたり、主催者であるHodl Hodlが、参加者のBitcoin取引を効率化すべく、BTCPay Serverとのコラボレーションを立ち上げたもの。
本取り組みにおいて活用されたBTCPay Serverの機能・プラグインは以下のとおり。
ペイアウト:支払いをスケジュールし、後で処理できる。
Prismプラグイン:パーセンテージ分割と金額のしきい値に基づいて、複数の宛先への入金資金の自動転送を可能に。
ペイアウトプロセッサー:例えばタイマーのように、設定された基準を使用して支払いを処理できる。
Sideshiftプラグイン: Liquidネットワーク上で発行されたTetherのような他の資産への変換を可能に。
これらを通じて、以下のような手順で支払いが行われた。
100,000satが集まったら、ペイアウトプロセッサーを通じてSideShiftに支払いを転送する。
SideShiftは支払いをUSDT(Liquidネットワーク上のStablecoin)に変換した上で、Green WalletやAquaなどのマーチャントのUSDT Liquidウォレットに返す。
マーチャントは、Hodl Hodlプラットフォームを通じて、支払いをUSDTで保持したり、法定通貨に変換したり、Bitcoinで保持したりする柔軟性を実現。
結果として、1取引あたり平均9.20€の取引が2944件行われ、1.1BTC(27079.99€)の価値が扱われた。
https://btcpayserver.org/case-studies/hodlhodl2023.pdf
2.1.2. マイニング
●Foundry USAのデータに基づき、テキサス州が米国のマイニングスペースを支配しているとする記事
テキサス州は、2021年末時点で米国内のハッシュレートの8.43%を占めており、その割合は2023年7月27日時点で28.50%に急上昇しているとのこと。
この背景には、テキサス州のエネルギーグリッドを運営するERCOTからの支援も一因となっているとされている。ERCOTは歴史的に、変動するエネルギー価格と散発的なサービスに悩まされてきた。
そのため、マイニング事業者のような柔軟なエネルギー購入者と取引を行い、電力需要の低い期間において、余剰エネルギーを維持できるようにしている。
具体的には、需要が高いときに余剰エネルギーを送電網に戻すことができるように、マイナーに作業を停止させるインセンティブを提供している。
例えば、マイニング事業者のRiot Platformsは、マイニング作業をオフラインにすることで $31.7m以上の収入を得たという。内訳として、$24.2mはERCOTの電力供給網への売電によるもの、残りの$7.4mはデマンドレスポンスクレジットによるものとのこと。
https://www.cnbc.com/2023/09/26/where-are-bitcoin-miners-in-2023-texas.html
2.1.3. 社会生活
●Blockのサーベイによると、定期的に送金を送ったり受け取ったりしている世帯においてBitcoinに対する楽観的な見方の傾向があるとのこと
Bitcionを所有している成人の86.8%は、定期的に送金を送ったり受け取ったりしている世帯に属している。送金している人は8.9%がBitcionを所有していると回答したのに対し、送金していない回答者はわずか0.7%。
Bitcoinの将来について、送金している人は56.2%が楽観的にみており、送金していない人(27.8%)と比べ、はるかに楽観的。
さらに、送金する世帯の72.4%がプライバシーについて心配しており、送金しない世帯の54.4%と比較してデータプライバシーに関してより高い関心を持っている。
日本については、Bitcoinとその関連用途やツールに対する懐疑的な見方を維持する要因の結節点に位置しているとの見方が示されている。その背景として、先進国の中で最も低いインフレ率、現金偏重な消費経済、ハイテク技術の導入や好奇心の低さ、送金経済への参加率の低さ、個人的な投資計画の必要性を否定してきた強力な社会的セーフティネットと強固な個人年金制度などを挙げている。
https://cdn.sanity.io/files/8m3angk4/production/be57d04f645cc52a61f855bd67712650e36c42d2.pdf
●Peter Todd氏の開発したOpenTimestampsを使って、グアテマラ大統領選に関する重要文書を不正や改ざんから守ることができているとのこと。Bitcoinタイムスタンプを付与し、不正や操作の試みを容易に発見できるようにするもの
2.2. 金融機関のデジタルアセットサービス
2.2.1. 米国
●Chase bank、10月から暗号資産関連の決済を拒絶すると発表
https://twitter.com/BTC_Archive/status/1706678556359524549
2.2.2. 日本
●Binance JapanとProgmatの協業による新たなステーブルコインの共同検討開始について|三菱UFJ信託銀行株式会社のプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000103.000036656.html
●Binanceが来年にも日本でドル・ユーロ・円でStablecoinをローンチしようとしているとするBloomberg報道
2.3. 中銀デジタル通貨
●外国為替とクロスボーダー決済むけホールセールCBDC実験「Project Mariana」のレポート
https://www.bis.org/publ/othp75.pdf
●BIS、時代遅れの法的枠組みがCBDCの発行を妨げていると指摘し、CBDCがもたらす利点を受け入れるための法整備を求めるスピーチ
https://www.bis.org/speeches/sp230927.htm
2.4. デジタル証券
●デジタル証券を活用した安定資産投資サービス「ALTERNA(オルタナ)」、新案件の募集を開始。日本有数の温泉地である熱海の温泉旅館に投資|三井物産デジタル・アセットマネジメント(株)/ALTERNA(オルタナ)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000051.000056997.html
Section3: Regulation
3.1. 米国
●米SEC委員長、公聴会で「暗号トークンの大半は投資契約のテストに合致する可能性が高い」とした上で、「全ての暗号資産をカバーし、適格カストディが提供する保護の強化を提案」と発表。
暗号資産証券市場について、暗号トークンの大半は投資契約のテストに合致する可能性が高い、との見方を示している。ほとんどの暗号トークンが証券取引法の対象であることを考えると、ほとんどの暗号仲介業者も証券取引法を遵守しなければならないことになる。
また、いわゆる「DeFi」システムを含む暗号資産証券を取引するプラット フォームに対する既存規則の適用可能性を再確認する再開リリースを発表した。現在の投資顧問のカストディ・ルールは、すでに暗号ファンドや暗号証券に適用されているが、これを更新する提案においては、すべての暗号資産をカバーし、適格カストディアンが提供する保護を強化するものとしている。
https://docs.house.gov/meetings/BA/BA00/20230927/116403/HHRG-118-BA00-Wstate-GenslerG-20230927.pdf
●米下院で、取引所に対し自社台帳にのみ記録されているデジタルアセットの動きを、規制当局が見ることができる外部リポジトリに共有するよう強制する法案
Don Beyer議員は、取引プラットフォームに対し、CFTCに登録されたリポジトリへの全取引の報告を義務付けることを通じてデジタルアセット市場参加者を保護する法案「オフチェーン・デジタル商品取引報告法」の導入を発表した。
Beyer議員の声明によれば、「消費者がますます大規模なデジタル資産取引プラットフォームを利用してビジネスを行うようになるにつれて、毎日何千もの取引が公に検証可能なブロックチェーン外で行われている」とした上で、「残念なことに、こうした民間事業体の内部記録管理は千差万別であり、投資家や消費者を詐欺や操作の危険にさらす可能性がある」と指摘している。
そこで、デジタル資産市場に透明性と信頼性を取り戻すための常識的な措置として法案を位置付けているとのこと。
すべてのオフチェーン・デジタルアセット取引を24時間以内にCFTCに登録された取引リポジトリに報告することを義務付けるもので、事実上すべての証券取引やスワップ取引の要件と同様であるとしている。
https://beyer.house.gov/news/documentsingle.aspx?DocumentID=5999
https://beyer.house.gov/uploadedfiles/off-chain_digital_commodity_transaction_reporting_act.pdf
3.2. アジア太平洋ほか
●中国の裁判所が発行したインターネット技術の発展に関する報告書において、Bitcoinは他のデジタルアセットと異なりユニークであると述べられている
https://cointelegraph.com/news/bitcoin-legally-recognised-digital-currency-shanghai-china
https://mp.weixin.qq.com/s/O2bdq2ZA9ScNyExZZ9JVfA
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