クリプト・web3をめぐる今週のニューストピックを、①テクノロジー(Bitcoinなど)・②ビジネス(ペイメントやDeFi・NFTなど)・③規制まわり、で振り返る。
今週の注目トピックは、
a16zによる、Web3セキュリティについて6つの攻撃タイプと教訓のまとめ
中央アフリカ共和国、アフリカで初めてBitcoinを決済通貨として採用
米NY市長、経済成長とイノベーションを阻害するものだとして「BitLicense」の廃止を提案
Fidelity、2万3000社の企業顧客に対して、401(k)の一部をBitcoinに割り当て可能に
MicroStrategyのCEO、「日本在住者はBitcoinの恩恵を受けることができるかもしれない」とコメント
ライトニングネットワークが今後加速的に成長していく理由と、日本市場のポジショニング
エルサルバドル1800件の対面インタビューを通じたBitcoin利用状況サーベイ
Arcane ResearchのLightning Networkレポートななめよみメモ
Section1: Technology
1.1. Bitcoin
1.1.1. L1
●OP_CHECKTEMPLATEVERIFY (CTV) オペコードアクティベートに向けたBitcoin-Devメーリングリストでの議論
https://bitcoinops.org/en/newsletters/2022/04/27/
●Bitcoin Sydney MeetupにおけるFROSTについての発表のトランスクリプト書き起こし
https://lists.linuxfoundation.org/pipermail/bitcoin-dev/2022-April/020352.html
●Austinで6月に開催される、btc++ dev conf
https://www.btcplusplus.dev/
●“Bitcoin Conference 2022” by Kenichi Kurimoto
https://medium.com/@kenichikurimoto/bitcoin-conference-2022-b19f7f18e587
1.1.2. L2:Lightning Network
●Arcane ResearchのLightning Networkレポートななめよみメモ
パブリックキャパシティは、オープンなLightningNetworkチャネルのBitcoin合計量。
パブリックキャパシティ上昇基調を続けている一方、あるチャネルに何BTCがあるのか見ることができるだけであり、チャネル残高やそのチャネルで行われた決済数など、実際の利用について明示する指標ではない。
また、プライベートチャネルや見えないノードによってネットワーク規模を過小評価しがちな点に注意が必要。
BitMEX Researchは、2020年1月に全チャンネルの27.8%がプライベートであると推定しており、現在さらに高くなっている可能性があるとされる。
そのため、公開データから得られるBTC容量・チャネル数・ノード数は、現在のLNの規模を大きく過小評価してしまう可能性が高いとされる。
アクティブユーザー数を確信高く推定できるデータが無いものの、2022年3月には、8000万人以上がアプリケーションを通じてLightning決済にアクセスしていると推定されるなど、大きな潜在需要を示している。
LNのエコシステム参加者から収集した非公開データによると、Lightning決済件数は過去1年間で約2倍、決済額は米ドル換算で400%以上増加しているとのこと。
取引金額ベースでみると、2022年1~2月の支払額のうち、①50%が個人間で直接取引されたものであり、②20%が決済代行会社を通じた商品・サービス購入やギフトカードによる間接的購入に使われたもの。③残る30%が入出金取引。④その他が1%、分布になっている。
これに対して、取引件数でみると、①この「その他」が50%を占めるという特徴(100万件)と最大。ゲームなどマイクロリワードによる。そして②個人間が30万件、③商品・サービス購入向けが20万件、④入出金取引が10万件。こうした実際の使用量は、どの公開指標よりも大幅に増加している。
Lightning Networkの活用例として、ポッドキャストなどにおけるチップといったvalue-for-valueモデルがある。
こうした、LNにインターネットトラフィックを含めることには、ルーティングノードになるインセンティブが弱まり、ひいてはネットワークが弱体化するとして、反対する意見もある。
●Diamond Hands、Bitcoinのゲーム・教育を通じてアジアでの普及を促すべく、ZEBEDEEおよびMimesis Capitalとの提携を発表。
この提携を踏まえ、ZEBEDEEは、Lightningゲームのインフラを構築するとのこと。
Mimesis Capitalは、Diamond HandsとLNエコシステムをナビゲートするとともに、Lightningの採用を望むアジア企業へのコンサルティングを提供。
Diamond Handsは、ZEBEDEEがゲームインフラを構築する上で、日本コミュニティへのアクセスを提供する他、日本企業向けローカルコンシェルジュとして動く。
●ライトニングネットワークが今後加速的に成長していく理由と、日本市場のポジショニング | kojisan | Spotlight
https://spotlight.soy/detail?article_id=1vi73nxh3
1.2. 他チェーン・要素技術
●a16zが、Web3セキュリティについて6つの攻撃タイプと教訓をまとめている。
①LazarusなどのAPT(Advanced Persistent Threats)によるもの。例:Ronin Validatorハッキング
②ユーザーを直接狙うフィッシング。例:OpenSeaやBadgerDAOでのフィッシング
③サードパーティのソフトウェア・ライブラリなどサプライチェーンの脆弱性を突くもの。例:Wormholeブリッジハッキング
④提案の自動実行につながる投票を狙うガバナンス攻撃。例:Beanstalkからの資金流出
⑤価格オラクル攻撃。例:Creamの市場操縦
⑥ゼロデイ攻撃。例:Polyのゼロデイ脆弱性
https://a16z.com/2022/04/23/web3-security-crypto-hack-attack-lessons/
●FC22と併せて5/6に開催される、「Coordination of Decentralized Finance (CoDecFin)」ワークショップ
https://fc22.ifca.ai/codecfin/program.html
Section2: Business
2.1. アダプショントピック
2.1.1. ペイメント
●UAE不動産大手Damac Properties、高級住宅物件の決済にBitcoin・Etherの支払いを受け入れ開始へ
https://bitcoinist.com/uae-real-estate-giant-to-accept-bitcoin/
2.1.2. 投資
●WSJの記事「日銀の低金利政策強化で円は20年ぶりの安値に」を受けて、MicroStrategyのCEOが「日本在住者はBitcoinの恩恵を受けることができるかもしれない」とコメント
●機関投資家の80%が、暗号資産が伝統的投資手段を追い越すと予想している旨の調査結果。
機関投資家の70%は、暗号資産は信頼できる投資先である考えている他、68%が投資戦略においてこのアセットクラスを積極的に推奨しているとのこと。
●『J-KISSと連動したトークン付与覚書』の雛形、Skyland Ventures・Infinity Ventures Crypto(IVC)、Headline Asia、Skyland Ventures、増島 雅和氏の4者にて共同で公開
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000068.000008324.html
https://docs.google.com/document/d/1okTJebHI8sXNadLx64_pJN4tyKxqlKoS/edit
2.1.3. 社会生活
●エルサルバドル1800件の対面インタビューを通じたBitcoin利用状況サーベイ
https://www.davidargente.com/_files/ugd/b05023_7825615207654784864b4c4cc4ec6550.pdf
エルサルバドルにおいて、68%がChivoウォレットの存在を知っており、ほとんどの人がソーシャルメディアを通じて、次いでテレビやラジオ、ニュース、友人や家族を通じて知ったと回答。
とはいえ、全体の半数強の回答者がダウンロードを試みたに留まることに加え、40%のダウンロードは2021年9月に行われたものであり、2022年のダウンロードはほとんど無いとのこと。
また、普及の主な要因は、政府から提供される30ドルのボーナスであり、この金額は一人当たりの年間所得の0.7%に相当する。ボーナスを使った後も使い続けた人は20%に止まっている。
企業においては、支払い手段としてBitcoinを受け入れていると報告しているのは、20%のみ。全売上高のうちBitcoinによる支払いは、4.9%。Bitcoinの売上をドルに変換した企業が、88%
●ビットコインが法定通貨になったエルサルバドルに行ってみた|体験記寄稿1
https://coinpost.jp/?p=345871
2.1.4. RegTech
●暗号通貨の盗難額におけるDeFiの比率、2020年の30%・2021年の72%から、2022Q1は97%に上昇
https://news.bitcoin.com/report-1-3-billion-in-crypto-stolen-in-q1-97-stemmed-from-defi-exploits/
2.2. NFT
●OpenSea、プロユーザー向け機能拡充に向け、NFTマーケットプレイスアグリゲーター「Gem」買収を発表。
https://opensea.io/blog/announcements/opensea-acquires-gem-to-invest-in-pro-experience/
2.3. DeFi
●Fei Protocol、Rari Fuseプールが資金流出に遭ったことを発表している
2.4. 金融機関のデジタルアセットサービス
●Fidelity、2万3000社の企業顧客に対して、401(k)の一部をBitcoinに割り当て可能に。サービスはBitcoinに限定され、他の暗号通貨は最初から考慮されないとのこと。
Fidelity Workplace Servicesが発表した「Digital Assets Account」サービスのサイト。401(k)のコア投資のラインナップとして、デジタルアセット、特にBitcoinへの投資機会が提供されるとしている。
Fidelityの「Digital Assets Account」サービスにおいて、従業員は、税制上の繰延べ口座において、ドルコスト平均法を通じて、投資ポートフォリオを多様化でき、資産はFidelity Digital Assetsによって保管される。
https://www.fidelityworkplace.com/s/digitalassets
●Fidelityが企業向け401(k)プランへBitcoin投資の提供を発表したことを受け、Microstrategyか従業員に401(k)プログラムの一部としてBitcoin投資オプションを提供する第一号企業に
https://www.btctimes.com/news/microstrategy-adds-bitcoin-options-for-employee-401k-plans
Section3: Regulation
3.1. 米国
●米NY市長、経済成長とイノベーションを阻害するものだとして「BitLicense」の廃止を提案
●米NY州議会で、PoWを使うマイニング事業によって消費されるエネルギーを供給する発電施設の許可・更新のモラトリアムを求める法案が提出
https://www.nysenate.gov/legislation/bills/2021/S6486
●これに対して、イノベーションを後回にし、主要な暗号プロトコルのセキュリティに重大な影響を与えることになるといった、意図せぬ結果をもたらすと警告する意見があがっている
●米NY州議会、マイニングに対する2年間のモラトリアムを可決し、上院での投票に進んだ模様
https://decrypt.co/98795/bitcoin-mining-moratorium-passes-vote-in-new-york-state-assembly
3.2. アジア太平洋ほか
●香港当局HKMA、現金の代わりにe-HKDが広く普及すると、決済システムがサイバー攻撃や電力・ネットワークの停止に対してより脆弱になる可能性があると指摘
●ロシア中銀、証取にデジタルアセット市場での営業を許可することを提案。投資家に管理された環境で暗号通貨を取引する選択肢を提供する狙いがあるとのこと。
https://news.bitcoin.com/bank-of-russia-seeks-to-allow-stock-exchanges-to-trade-digital-assets/
●ネパール当局、暗号通貨に関わる活動は「違法かつ犯罪的」であると警告
●中央アフリカ共和国、アフリカで初めてBitcoinを決済通貨として採用。
経済復興と平和構築の計画を軌道に乗せるため、国民議会が全会一致で法案を採択したとのこと
●中央アフリカ共和国が暗号通貨法を採択したとする、ラジオフランス(RFI)の報道。
暗号通貨法は、暗号通貨のための法的枠組みの作成、金融セクターのための有利な環境の確立を超えて目指すもの、としている。
https://www.rfi.fr/fr/afrique/20220422-la-centrafrique-adopte-une-loi-sur-les-cryptomonnaies
●中央アフリカジャーナリストネットワーク(RJDH)の報道。
「暗号通貨では、中央銀行のコントロールが不要になる。自分のお金を持って、ビジネスのために投資家に送り、どの通貨でも受け取り、ドル・ユーロ・CFAフラン、ナイジェリアNairaで処分できる」と大臣が語っている。
●中央アフリカ共和国、政府認可したプラットフォームを通じた税金納付を、暗号通貨で行うことが可能に。
また、あらゆる経済エージェントには、商品・サービスの購入に際して、暗号通貨を支払形態として受入を要求している。
https://247newsbulletin.com/markets/221303.html?amp
●中央アフリカ共和国の大統領府、Bitcoinを法定通貨として採用し、商取引や納税に利用可能とする旨を公式発表
https://bitcoinmagazine.com/business/the-central-african-republic-adopts-bitcoin-as-legal-tender
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