暗号通貨・暗号資産をめぐる今週のトピックについて、個人的なつぶやき。
ざっくり、①テクノロジー(Bitcoinとか)・②ビジネス(ペイメントやDeFiとかNFTとか)・③規制まわり、でおさらい。
今週の注目トピックは、
Fidelity、Bitcoinの技術的ブレークスルーは「優れた貨幣の形態」にあるとするレポートを発表
クロスチェーンブリッジプロトコル「Wormhole」、$323m相当のETHが被害に
MITとボストン準備連銀によるCBDCプロジェクト「Project Hamilton」が検証報告書を発表
米財務省、「貨幣」の意味を明確にする改定案を発表予定
衆議院内閣委員会で課税の問題が提起される
Section1: Technology
1.1. Bitcoin
1.1.1. L1
●Fidelity、Bitcoinの技術的ブレークスルーは「優れた貨幣の形態」にあるとするレポートを発表。
Bitcoinは他のデジタルアセットとは別に考えるべきものであるとしている。
https://www.fidelitydigitalassets.com/articles/bitcoin-first?sf253214177=1
●Bitcoinのカーボン排出量インパクトに関するCoinShares Researchのレポート
https://coinshares.com/research/bitcoin-mining-network-2022
●ビットコインが抱えるプライバシー問題:タップルートは何を変える?
Lightning Network・Taproot・PTLCについて
https://news.yahoo.co.jp/articles/3a8752c23c8b88cdf7620b4663a0e774bbb6e1c6
●CTVとANYPREVOUTを代替するTXHASHとCSFS
https://techmedia-think.hatenablog.com/entry/2022/02/04/230634
●価値の低いUTXOであるdustと、dustに関連するLightning Networkの脆弱性について
https://simplelightning.com/what-is-bitcoin-dust-and-can-lightning-fix-it.html
●Bitcoinで新たに提案された「OP_CHECKTEMPLATEVERIFY(CTV)」オペコードは、特定のDiscreet Log Contracts(DLCs)の作成に必要な署名の数や操作の数を減らすことができるもの
https://bitcoinops.org/en/newsletters/2022/02/02/#composable-alternatives-to-ctv-and-apo
●DLC(discrete-log contracts)に必要な計算を劇的に簡素化するOP_CTV(OP_CHECKTEMPLATEVERIFY)
https://mailmanlists.org/pipermail/dlc-dev/2022-January/000102.html
●Bitcoinトランザクションのoutputの約50%が以前使用したアドレスに送信されているとする、BitMex Researchのレポート。
過去にBitcoinを受け取ったことのあるアドレスにBitcoinを送るといったアドレスの再利用は、プライバシーやセキュリティの観点から良くないとされている
●MicroStrategyによる「Bitcoin for Corporations 2022」カンファレンスの動画。Michael Saylor や Jack Dorseyの登壇
●Bitfinexで2016年に失われたBitcoinのうち99.9%に相当する64,643BTCが移される
1.1.2. L2:Lightning Network
●オフラインのLightning自動販売機「LNURLVend」。
自販機からURLをスキャンしてLightningで支払いを済ますと、商品を受け取るpinが発行されるもの
https://github.com/arcbtc/LNURLVend
●Lightningブラウザウォレット「Ably」
●ドイツのUlm市は、Bitcoin Beachに匹敵するほどLightningに信奉者のコミュニティがあり、Lightning ATMもあるとのこと
https://medium.com/breez-technology/lightning-in-the-wild-nuthin-but-lightning-net-266a01a596dc
1.2. Ethereum
1.2.1. L1
●Etherscanチームがベータ版として開発したBlockscan。
ユーザー同士がウォレット間でメッセージをやり取りするためのメッセージングプラットフォーム
1.2.2. L2
●Optimism上のNFTマーケットプレイス「Quixotic」
https://quixotic.io/
1.3. 他チェーン・要素技術
1.3.1. 他チェーン
●CoinGeckoによる、NEAR Protocolについての解説記事。
独自シャーディングとして、シャード数に上限を設けないダイナミック・リシャードを実現するNightshadeを採用(phase0)。
EVMである「Aurora」のほか、相互運用可能なネットワーク「Octopus Network」が特徴。
https://www.coingecko.com/buzz/deep-diving-into-near-protocol-is-the-future-near
●Solana Labs、デジタルコマース向け決済プロトコル「Solana Pay」リリース。マーチャントがUSDCやSOLによる決済を受け入れ可能に
https://www.theblockcrypto.com/post/132644/solana-pay-launch-payments-protocol-digital-commerce
●セキュアなスケーラビリティ: Internet Computer のピアツーピア層
●CoinGeckoによる、アルトチェーンについての初心者むけガイド。
CEXからのトークン購入とブラウザウォレットの作成、DEXを使ったスワップ、他チェーンとのブリッジについての手引き。
https://www.coingecko.com/buzz/ultimate-beginner-s-guide-to-alternative-chains
1.3.2. 要素技術
●クロスチェーンブリッジプロトコル「Wormhole」、$323m相当のETHが被害に。
●アップデートの間隙をついた攻撃とみられている
Section2: Business
2.1. アダプショントピック
2.1.1. ペイメント
●Visa、2022 Q1のクリプト連動カードのトランザクションが$2Bに
2.1.2. 投資
●Grayscale Investments、初のETFであるGrayscale Future of Finance ETF (GFOF)を発表。
金融基盤やテクノロジーソリューションおよびデジタルアセットインフラ関連の企業で構成される、Bloomberg Grayscale Future of Finance Indexのパフォーマンスに連動するもの。
●Grayscale Future of Finance ETF (GFOF)のファクトシートによれば、PayPal・Coinbase・Silvergate Capital・Robinhood・Blockなどで構成される。
https://grayscale.com/wp-content/uploads/2022/02/GFOF_FactSheet_web.pdf
●FTX、LiquidグループおよびQuoineを買収。
FTXの日本の既存顧客は、2022年3月30日をもってQuoineのプラットフォームへ移行する予定とのこと
https://blog.liquid.com/acquisition-liquid-ftx
●MicroStrategy、新たにBitcoin 660BTCを追加購入。現在の保有高は12万5000BTC以上に
https://bitcoinmagazine.com/business/microstrategy-buys-660-more-bitcoin-for-25m
2.1.3. RegTech
●Chainalysis、Abaxxを買収。
大規模なデータ分析・リード生成・調査サービスにおける専門知識をもとに、政府機関への提供を強化。
https://blog.chainalysis.com/reports/chainalysis-abaxx/
●NFTの悪用に関するChainalysisレポート。
資産の価値や流動性を多く見せようとするウォッシュトレードの他、制裁リスクのあるアドレスからNFTマーケットプレイスに284,000ドル相当の暗号通貨の送金が確認されているとする。
2.2. NFT
2.2.1. トラディショナルプレイヤー
●GameStop、Immutable XでNFTマーケットプレイスを今年後半にローンチへ。ゲーム開発者やスタジオにgrantを提供する$100mのファンドも創設
●GameStop、NFTマーケットプレイス構築に向けてImmutable Xからgrant受取り直後に$42m相当のIMXトークンを売却
●YouTube、2022年の優先事項として、クリエイターがNFTなどの新しいテクノロジーを活用できるようエコシステムを拡張し、クリエイターとファンが体験できることを向上し続ける旨を挙げている。
https://blog.youtube/inside-youtube/letter-susan-our-2022-priorities/
2.2.2. NFTエコシステム
●ソフトウェアエンジニアなら3秒で理解できる NFT 入門
https://okapies.hateblo.jp/entry/2022/01/30/193604
●オンラインで音楽を収集する音楽NFTは、音楽グッズ市場の可能性を広げるものとして、次世代の独立系アーティストにとっての新しいマネタイズモデルになっている。
所有権はなくコレクターが売買できる資産としてのデジタル・コレクターズアイテムがコア。
Web3のトップアーティストは、音楽NFTを販売することで、Spotifyストリームによる収益の7.5倍を獲得しているほか、音楽NFTを販売することでストリーミングの収益が減ることはなく加算されているとのこと。
音楽NFTをリードしているプラットフォームとして、CatalogやSoundなどがある。
●Catalogは、オーディオの収集に特化した、音楽NFTのマーケットプレイス
https://beta.catalog.works/
●Soundは、エディションを提供する音楽NFTのマーケットプレイス。各リリースでは、リスニングパーティーが開催され、コレクターは全曲を聴いた後、NFTを集め、コメントを残すことができるというもの。
https://www.sound.xyz/
●過去1年間におけるクリプトアートの成長に関する解説レポート。SuperRare、Foundation、KnownOrigin、MakersPlace、および Art Blocksのデータにフォーカスしたもの。
https://www.rightclicksave.com/article/data-in-the-year-of-the-nft
●Axie Infinity、シーズン20リリースで様々な経済バランスの変更を実装へ
アドベンチャーモードのSLPが0になるほか、デイリークエストのSLPも0に。
アリーナの報酬体系において、SLP報酬を削減。
弱いAxiesを持つプレイヤーに配慮し、800MMR以下のプレイヤーは、1勝につき1SLPを獲得可能に。
弱いAxiesの需要を高めるべく、追加エネルギーをより入手しやすく。
背景としては、以下を挙げている。
アドベンチャーモードは、Axiesの使い方を学ぶためのものだったが、役割を終えた。
デイリークエストは、毎日プレイすることを奨励するものだったが、SLPの大量排出メカニズムになっている。
PVPモードでは1日に消費されるSLPの2倍が発生しているため、PVPの報酬体系を刷新する。
●Axie Infinity、「Ronin」サイドチェーンのネイティブトークン「RON」をローンチ。
あわせて、Katana上のRON/ETHプールのRONリワードを開始。
●RoninライトペーパーにおけるRONの解説
https://litepaper.roninchain.com/
●Animoca Brands子会社のnWay、Play-to-Earnのマルチプレイヤーゲーム「Olympic Games Jam」をIOCと共同開発。
マーケットプレイスで取引可能なオリンピックNFTデジタルピンを獲得できるというもの
●Animoca Brands子会社のnWayがIOCと共同開発した、Play-to-Earnのマルチプレイヤーゲーム「Olympic Games Jam」
https://olympicgamesjam.nwayplay.com/
●Decentraland、2022年マニフェストを発表
https://decentraland.org/blog/announcements/foundation-2022-manifesto/
●NFTドメインのプロバイダー、Unstoppable Domains
https://unstoppabledomains.com/
●dYdX、NFTコレクション「Hedgies」を発表。
4200体のコレクティブルアバターを、第一弾配布として2/1にガバナンス投票者・トレーダー向けに開始した上で、トレーダー報酬としての週次・日次配布を2/8から開始予定。
https://dydx.exchange/blog/introducing-hedgies
2.3. DeFi
2.3.1. レンディング
●Compoundの2021 Q4レポート
https://messari.io/article/state-of-compound-q4-2021
2.3.2. Stablecoin
●UXDProtocolについてMessariのレポート記事
2.3.3. アグリゲーター
●1inch Network、Stablecoinに最適化された流動性プールのセット「1inch Earn」をローンチ。プール内のスワップ取引にかかる手数料から収益を得られるもの
https://blog.1inch.io/1inch-launches-earn-6498908a60eb
2.4. DAO
●「How to DAO」の出版に向けた提案。
Coingeckoの「How to DeFi」出版を参考に、コントリビューター側・クリエイター側のそれぞれにフォーカスした2冊が想定されている。
「How to DAO」で想定されているコンテンツとしては、コントリビューター向けには、文化・慣習・共通のツールなど。
クリエイター向けには、コミュニティ管理・ガバナンスモデル・tokenomicsおよびスケーリングなど。
https://forum.bankless.community/t/the-how-to-dao-book/2893/2
●ETHDenverの一環で開催されるDAODenver(2/15-2/16)
https://daodenver.org/
●PartyDAO、Collection Partiesをローンチ。
OpenSea上のNFTコレクションでETHを集め、タイミングが合えば好きなアイテムを購入することができるというもの
2.5. 金融機関のデジタルアセットサービス
2.5.1. 米国
●(特になし)
2.5.2. 欧州
●(特になし)
2.5.3. アジア太平洋ほか
●(特になし)
2.5.4. 日本
●三井物産、金連動の暗号資産 価格変動緩やか
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC2698T0W1A121C2000000/
●Fintertech、日本初のイーサリアム(ETH)担保ローンを提供開始
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000029.000056375.html
2.6. 中銀デジタル通貨
2.6.1. 米国・カナダ
●MITとボストン準備連銀によるCBDCプロジェクト「Project Hamilton」、取引量と速度、システム全般の回復力に関する検証報告書を発表
https://news.mit.edu/2022/digital-currency-fed-boston-0203
●MITとボストン準備連銀によるCBDCプロジェクト「Project Hamilton」の発表したオープンソースコード「OpenCBDC」
https://github.com/mit-dci/opencbdc-tx
●Project Hamiltonについて米ボストン準備連銀のレポート
https://www.bostonfed.org/news-and-events/press-releases/2022/frbb-and-mit-open-cbdc-phase-one.aspx
●カナダ中銀、ホールセールCBDCに関するレポートを発表
2.6.2. アジア太平洋ほか
●ジャマイカ中銀、本年1Qにデジタル通貨をロールアウトへ。US$1.5m相当の規模。
毎年ジャマイカドルの5%をデジタル通貨に置き換える見込み。
東カリブ海諸国が昨年ローンチしたDCashに続くもの
●アラブ通貨基金、アラブ地域における中銀デジタル通貨の動向について報告書を発表
●インド財務相、インド準備銀行(RBI)が2022-23年中に中銀デジタル通貨の発行する旨を発表
2.7. デジタル証券
●Societe Generale、証券トークンをルクセンブルグ証取に上場
https://www.ledgerinsights.com/socgen-security-tokens-listed-on-luxembourg-exchange/
Section3: Regulation
3.1. グローバル
●IMF、中銀・規制当局・政府省庁の金融監督官を対象にとして、コンセンサス・メカニズムに関するレポートを発表
3.2. 米国
●米財務省の規制方針
FRBおよびFinCENとして、金融機関に対して特定の資金移動および送金に関する情報の収集、保持、送信を義務付ける銀行機密法の施行規則で使用されている「貨幣」の意味を明確にする改定案を発表予定とのこと。
暗号通貨・デジタルアセットについて、国内およびクロスボーダー取引への規制適用を明確化することが謳われている。
米財務省が発表した「半期アジェンダおよび規制計画」では、#359として「換金性のある仮想通貨及び法定通貨建てのデジタルアセットの取引に係る情報の収集・保存・伝達義務の明確化」が、#364として「仮想通貨・デジタルアセットを伴う特定取引に関する要求事項」が挙げられている。
#359:換金性のある仮想通貨及び法定通貨建てのデジタルアセットの取引に係る情報の収集・保存・伝達義務の明確化
銀行機密法の施行規則で使用されている「貨幣」の意味を明確にすべく改訂案を発表予定。
同法では、金融機関に対して特定の資金移動・送金の情報につき収集保持送信を求めている。
これを、仮想通貨を含む国内およびクロスボーダー取引に適用。
さらに、デジタル資産を含む国内・国境を越えた取引にも適用されることを改正案で明確化。
#364:仮想通貨・デジタルアセットを伴う特定取引に関する要求事項
ホストされていないウォレットに保管されている仮想通貨・デジタルアセットに関わる取引、あるいFinCENが特定した法域でホストされているウォレットに保管されている取引について、報告提出・記録保存・顧客本人確認などを求める。
https://www.govinfo.gov/content/pkg/FR-2022-01-31/pdf/2021-27949.pdf
●米下院議員、暗号通貨による購入に課税するための実行可能な仕組みを構築すべく、仮想通貨税公正化法案を提出。
米国下院に提出された仮想通貨税公正化法案は、現在、暗号通貨から得られる利益は、取引の規模や目的にかかわらず、課税所得として報告する必要があるため、これを個人間取引で利益が200ドル以下の場合、免除することによって、日常的な利用を可能とするもの。
https://delbene.house.gov/news/documentsingle.aspx?DocumentID=3035
●米FRB、Stablecoinについて報告書を発表。
二層構造の銀行システムが、Stablecoinの発行をサポートするとともに、信用創造を維持できる、としている。
https://www.federalreserve.gov/econres/ifdp/files/ifdp1334.pdf
3.3. アジア太平洋ほか
●エルサルバドル、IMF勧告を拒絶
https://news.bitcoin.com/el-salvador-rejects-imf-call-to-abandon-bitcoin-as-legal-tender/
●インド財務相、デジタルアセットの譲渡益に30%の税金を課す旨を発表
3.4. 日本
●山際経済担当相「WEB3.0を成長戦略に盛り込む」、自民・平議員の質問に答える – SAKISIRU(サキシル)
WEB3.0の一番の問題点は課税のあり方だとしたうえで、具体的な問題点を指摘した。
●「人材流出が著しい」NFT特別担当の平将明議員、ガバナンストークンへの課税の見直しを要望
平議員は、「ブロックチェーンに関して一番の問題は課税の問題」であると切り出す。
https://coinpost.jp/?p=317371
●警察庁、「仮想通貨を採掘するツールに関する注意喚起」削除
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2202/03/news175.html
●日本の仮想通貨交換業に朗報か、JVCEAが審査簡略化検討-関係者
> 国内で既に半年以上流通している銘柄で、かつ3社以上が取り扱っている暗号資産を対象とする方向
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-02-02/R6NWSUT1UM0W01
Disclaimers
This newsletter is not financial advice. So do your own research and due diligence.