Bitcoin・クリプト・web3をめぐる今週のニューストピックを、①テクノロジー・②ビジネス・③規制まわり、で振り返る。
今週の注目トピックは、
MicroStrategy、BitcoinやLightningを使って企業ウェブサイトやモバイルアプリをマネタイズする手法を示すカンファレンスを5月に開催
Zion、Lightning対応のWeb5クリエイターネットワークをローンチ
Bitcoinの技術文書やディスカッションのための検索エンジンがローンチ
BAYCがBitcoinチェーン上にinscribe
Oliver WymanとOnyx by J.P. Morgan、「Stablecoinに代わってdeposit トークンが、決済やトークン化した資産取引の決済を支える可能性がある」とするレポートを発表
日本銀行、中央銀行デジタル通貨に関する概念実証フェーズ2の結果を発表
米SEC、適格カストディアンによる提供範囲拡大にむけた規則改正を提案
Section1: Technology
1.1. Bitcoin
1.1.1. L1
●Bitcoin Optech Newsletter #238 | Bitcoin Optech
Bitcoinチェーン上のデータ保存に関する議論について
https://bitcoinops.org/ja/newsletters/2023/02/15/
●Bitcoinの技術文書やディスカッションのための検索エンジンがローンチ
https://bitcoinsearch.xyz/
Bitcoin Miniscript解説シリーズ、第一弾は、Bitcoin Scriptの振る舞いについて
Bitcoin Scriptは、シンプルなスタックベースの言語に見えるものの、開発者が新しい支出条件を作成するたびに、それがあらゆる状況下で正しく健全であることを確認するために多くの時間を費やさなければならず、非常に使いにくい。
また、Scriptの標準化とツールがないため、ウォレットやソフトウェアが相互運用するのが難しい。
Bitcoin Miniscriptは、Bitcoin Scriptを表現するための高水準言語であり、ウォレット開発者が複雑な支出条件を作成し、その正しさや健全性を推論し、すべてのウォレットやツールが容易に対話できるようにすることを目指している。
Miniscriptは、より高度な支出条件を可能とする他、高度なセルフ・カストディ・ソリューションを開発するための扉を開くとして、コベナンツやMuSigとともに、重要な開発だとしている。
https://shiftcrypto.ch/blog/understanding-bitcoin-miniscript-part-1/
●Bitcoinドキュメンタリー動画リスト
●おすすめBitcoinウォレットのリンクリスト
https://www.lopp.net/bitcoin-information/recommended-wallets.html
1.1.2. L2:Lightning Network
●Ordinals、依然としてBitcoinブロックスペースの使用率が高いまま
累積データ1,558.8MB
73,900枚の画像イメージ
●Ordinalsがコレクターズアイテムに真の希少性をもたらしており、NFTコミュニティはBitcoinに移行しつつあるとし、BAYCをBitcoinチェーン上にinscribeしたとのこと
●ライトニングとNostr、Ordinalsを組み合わせたプロジェクト - by ごっつ|Diamond Hands Magazine Vol.56
●LightningのDual Funded Channelsについて概要解説スレ
LNでチャネルを開くと、チャネルを通じて可能となるのは送金のみであり、チャネルを通じて受金するためには、インバウンド流動性が必要となる。
新規ユーザーが新たにモバイルライトウォレットを作成したり、自分のノードで直接受金したい際に、まずインバウンド流動性を獲得する必要があり、すぐにノードを立ち上げ、ノンカストディアルに受金できない。
これに対してDual Funded Channels(DFC)では、双方の当事者がチャネル開設トランザクションに資金をコミットすることによって、両サイドに資金があるチャネルが生成される。
これにより、新規ユーザーがチャネル開設するとすぐに送金・受金ともに可能となる他、LNへの資本投入に伴うオンチェーン手数料が削減され安価にできる。
●RGB&Taro ビットコイン上のトークン発行は現状どういうレベルで今後どうなるのか?
●「ビットコイン上のトークン発行の概要と可能性 〜Client-Side ValidationモデルとRGB、Taro概観」
日本語のレポートの直接のダウンロードリンクはこちら
https://docsend.com/view/6i3fvxzgzww5pujd
●RGBのリソースリスト
●nostr関連scrapbox
●Zionがローンチした、Lightning対応のWeb5クリエイターネットワーク。
クリエイターと視聴者の間でコンテンツと支払いの透明で直接的な流れを促進する、オープングローバルでスケーラブルな分散型コミュニティプラットフォーム
●Zion、$6mの調達。v2アプリには6万人以上のユーザーが待機
https://bitcoinmagazine.com/business/web5-app-zion-launches-new-version
●Nostr上でLightning Zapsがゴーライブ
https://github.com/nostr-protocol/nips/commit/17ffd3ee4efa33c3f6abb4304d1c4dd998efc523
1.2. Ethereum
1.2.1. L1
●Ethereum、Sepolia TestnetむけShanghaiハードフォークを2月28日に設定
1.2.2. L2
●Polygon zkEVM、メインネットベータを3月27日にローンチへ
●zkSync Era、登録プロジェクトがメインネットにデプロイ可能に
https://blog.matter-labs.io/all-aboard-zksync-era-mainnet-8b8964ba7c59
Section2: Business
2.1. アダプショントピック
2.1.1. ペイメント
●StrikeのSending APIドキュメントが公開
企業や開発者は、Strike APIを使用してLightning Network上で、米ドルを送信可能に
Stablecoinを使わず、米ドルを送金
Bitcoinを所有/消費する必要はない
Strike APIは、Strikeユーザーの現金残高からBitcoin Lightning Network上で決済するもの
1) Lightning invoiceを取得する(支払リクエストとして機能)
2) invoice取得後、quoteを作成
3) quoteを実行することで、支払いを実行
4) 送信者の現金残高から米ドルが送信され、Bitcoinに変換され、LNを経由して受信者に配信
Strike APIの使い方説明むけアプリケーション例も示されている
https://docs.strike.me/walkthrough/sending-payments/
●MicroStrategy、BitcoinやLightning を使って企業ウェブサイトやモバイルアプリをマネタイズする手法を示すカンファレンスを5月に開催予定
「MicroStrategy Lightning」セッションでは、「Lightning Networkは、ソーシャルメディアやインターネットを介した交流に関連する課題を解決するのか?」として、ユーザーエンゲージメントへの効果的な報酬から、スパムや悪意のあるボットの激減に至るソリューションを紹介するとのこと
https://www.microstrategy.com/en/world-2023/bitcoin-for-corporations
●Wirex、Visaとグローバル・パートナーシップを締結。
40カ国以上で暗号資産対応のデビットカード・プリペイドカードを直接発行可能に
2.1.2. 投資
●Binance、Silvergate BankのBinance US口座から、CZが名を連ねるMerit Peakへ$400mを送金
●株式会社ビットポイントジャパンの株式の追加取得による100%連結子会社化に関するお知らせ|SBIホールディングス株式会社
https://www.sbigroup.co.jp/news/2023/0214_13601.html
●Bakkt、B2B向けにシフトするとして、消費者向けアプリを終了へ
2.1.3. 社会生活
●グアテマラのビットコイン・レイクに行ってみた|体験記寄稿4
草の根活動を通じてビットコインが広まった現場で見たこと・感じたこと
https://coinpost.jp/?p=431009
●エルサルバドル、スイスLuganoに続いて米テキサスにBitcoin Embassy設立
●アジアの熱いビットコイン市場/Bitcoin NFT - by Kate 🇨🇦🇯🇵|Diamond Hands Magazine Vol.57
2.1.4. RegTech
●Do Kwon氏がスイスの銀行経由で10,000BTCをTerraエコシステムから送金したと米SECが発表したとするBloomberg報道
2.3. DeFi
2.3.1. Stablecoin
●CircleがNYDFSに対して、Binanceが十分な暗号資産を予備保管できていないとする警告を昨年秋に発していたとするBloomberg報道
●米SEC、Paxos Trust Co.に対して、Binance USDをめぐる投資家保護法違反で提訴予定と告げたとのこと
https://www.wsj.com/articles/crypto-firm-paxos-faces-sec-lawsuit-over-binance-usd-token-8031e7a7
●米NYDFSは、Paxosに対してBUSD発行停止を命令
https://www.wsj.com/articles/crypto-firm-paxos-to-stop-issuing-dollar-pegged-binance-token-94f65e52
●Paxos、BUSDは連邦証券法に基づく有価証券ではないとし、USDが証券であるとするSECの見方に断固として同意しない旨
https://paxos.com/2023/02/13/paxos-issues-statement/
●PayPalは、パートナーであるPaxosがNYDFSの捜査を受けていることを踏まえ、stablecoinに関する検討を一時停止
●Nansenによると、Binance USDへの規制措置への不安から、Binanceから$831mの流出
2.4. 金融機関のデジタルアセットサービス
2.4.1. 米国
●Oliver WymanとOnyx by J.P. Morgan、「ブロックチェーン上の現金同等物に対する需要は、これまでStablecoinで満たされてきたが、deposit トークンがデジタルマネーの強力な基盤となり、決済やトークン化した資産取引の決済を支える可能性がある」とするレポートを発表。
depositトークンは商業銀行貨幣であることから、今日の商業銀行に適用される規制・監督の対象となる銀行エコシステムの一部として違和感なく位置づけられるとしている。
2.4.2. アジア太平洋ほか
●シンガポールDBS銀、香港の顧客向けにデジタルアセット販売サービスを拡大する計画を発表
2.5. 中銀デジタル通貨
2.5.1. 日本
●日本銀行|中央銀行デジタル通貨に関する実証実験について
パイロット実験においては、中央システムから、仲介機関ネットワーク、仲介機関システム、エンドポイントデバイスまでを一体的に実装するものとして実験用システムを構築し、エンドツーエンドでの処理フローの確認や、外部システムとの接続に向けた課題・対応策の検討などを行っていきます。
なお、店舗や消費者が関与する実取引を行うことは現時点では想定していません。
https://www.boj.or.jp/paym/digital/dig230217b.pdf
●日本銀行|事務局説明資料(第5回に関する連絡協議会)
概念実証フェーズ2の結果概要
フェーズ1で検証したCBDC台帳を中心とする基本機能に、技術的な課題を早めに確認しておくことが望ましい周辺機能を付加し、処理性能や技術的な実現可能性を検証。
新しい技術に関する検証結果:NoSQL
フェーズ1以来、台帳のデータベースには伝統的なリレーショナルデータベース(RDB)を採用。
RDB以外のデータベースとして普及が進んできたNoSQL(Not only SQL)には処理速度や性能拡張性が高いものもあるため、CBDCシステムへの活用可能性を検討。
https://www.boj.or.jp/paym/digital/dig230217c.pdf
●日本銀行|【挨拶】内田理事「次なるステップに向けて」(第5回中央銀行デジタル通貨に関する連絡協議会)
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2023/ko230217a.htm
●日本銀行|「CBDCフォーラム」への参加説明会の開催について
https://www.boj.or.jp/paym/digital/dig230217d.htm
2.6. デジタル証券
2.6.1. 欧州
●Siemens、Polygon上で€60mのデジタル債券を発行
2.6.2. アジア太平洋ほか
●香港、デジタルグリーンボンドの初回販売へ
Section3: Regulation
3.1. グローバル
●IMF、エルサルバドルのビットコイン法定通貨化で改めてリスク指摘
https://www.newsweekjapan.jp/headlines/business/2023/02/431086.php
●IMF、1月30日から2月8日の現地訪問を踏まえ、エルサルバドルに対する2023年4条ミッションのスタッフ総括声明を発表
Bitcoinのリスクへの対応が必要である
これまでのところBitcoinの利用は限定的であるためリスクは顕在化していないものの、法定通貨としての地位や、トークン化債券(デジタルアセット法)を含む暗号資産の利用を促す新しい法改正を通じて、その利用が拡大する可能性がある。
このような状況の下、金融の健全性・安定性、財政の持続可能性、消費者保護に対する根本的なリスクは依然として残っている。
根本的な財政偶発性とカウンターパーティーリスクを評価する上で、政府のBitcoin取引と国営Bitcoinウォレット(Chivo)の財務状況に対するより高い透明性が依然として不可欠。
財政リスクを考慮すると、トークン化証券の発行によるBitcoin購入の資金調達は、避けるべき
暗号資産市場の法的リスク、財政的脆弱性、および大部分が投機的な性質を考慮すると、当局は、トークン化債券の発行を含め、Bitcoinに対する政府のエクスポージャーを拡大する計画を再考する必要がある。
Bitcoin Fund Managementによる収益の使用は、定期的な支出コントロールと良好なガバナンスの実践に従うべき。
新しいデジタル資産法によって与えられる保証は、伝統的な証券規制による保証と同等であるべき。
3.2. 米国
●米SEC、登録済み投資アドバイザーによって管理された顧客資産の保護を強化するための規則改正を提案
投資アドバイザーのカストディー・ルールの適用を、顧客の資金や証券にとどまらず、投資アドバイザーが所有するあらゆる顧客資産、あるいは投資アドバイザーが顧客資産の所有権を得る権限を持つ場合にまで拡大するもの
https://www.sec.gov/news/press-release/2023-30
●米SECのHester M. Peirceコミッショナーは、提案されているアプローチとその実施スケジュールは、スケジュールや実行可能性に疑問があると指摘。
投資家、投資顧問、カストディアンにとって広範な意味を持つため、熟慮された意見が必要にもかかわらず、十分な時間を一般市民に与えていない。
適格カストディアンが顧客資産を管理する際に、一定の標準的な保護を提供することを確認するために、アドバイザーが適格カストディアンと書面による契約を締結し、そこから一定の保証を受けることを要求している。
カストディアンに書面による合意を締結させ、必要な合理的保証を提供することは、アドバイザーにとって難しく、顧客にとってもコストがかかる。
カストディ要件の範囲を暗号資産にまで拡大することで、適格な暗号カストディアンの数を減少させる可能性があり、より脆弱になってしまいうる。
https://www.sec.gov/about/commissioners/hester-m-peirce
●米SEC委員長、一部レンディングプラットフォームが投資家の暗号資産をcustodyすると主張するが、適格カストディアンであることを意味しないとし、暗号資産カストディアンサービスを提供する企業は登録を必要とすると提案している
●米ワイオミング州、デジタルアセット関連手続きにおいて、秘密鍵を開示することを強制されないとする法案を可決
デジタル資産、デジタルID、その他の利益または権利に関連する秘密鍵の強制的な提出を、指定された場合を除き禁止する
何人も、デジタル資産、デジタル ID、その他の利益または権利に関する民事、刑事、行政、立法、その他の手続きにおいて、公開鍵が利用できない場合、またはデジタル資産、デジタル ID、その他の利益または権利に関する必要な情報を開示できない場合、秘密鍵を提出するよう強制されたり、秘密鍵を他の人に知られたりすることはないものとする。
本項は、秘密鍵がアクセスを提供するデジタル・アセット、デジタル・アイデンティティ、その他の利益または権利の生成、販売、譲渡、移転、開示、またはデジタル・アセット、デジタル・アイデンティティ、その他の利益または権利に関する情報の開示を人に強制する合法的手続きを禁止すると解釈してはならない。
「秘密鍵」とは、暗号データの一意の要素、または実質的に類似した類似のものをいい、以下のものをいう。
(A) 個人によって保有される。
(B) 一意の、一般に利用可能な暗号データの要素と対になる。
(C) トランザクションを実行するために必要な暗号化または復号化を行うために必要なアルゴリズムに関連する。
https://wyoleg.gov/Legislation/2023/HB0086
●米SEC、Terraform LabsとDo Kwon氏を詐欺、無登録証券の販売・無登録の証券ベーススワップの販売その他で起訴
●暗号スキームで投資家を欺いたとして、TerraformとCEOのDo Kwonを起訴した旨の、米SECプレスリリース
https://www.sec.gov/news/press-release/2023-32
3.3. 欧州
●EUの銀行、暗号資産を最もリスクの高い種類の資産として扱った上で、エクスポージャーを開示要に
https://www.europarl.europa.eu/doceo/document/A-9-2023-0030_EN.html
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