Bitcoin・クリプト・web3をめぐる今週のニューストピックを、①テクノロジー・②ビジネス・③規制まわり、で振り返る。
今週の注目トピックは、
米上院で「2023年暗号資産国家安全保障強化法」が提案される
米インフラ法案受けたCoin Centerの訴えが棄却
米下院で「暗号市場構造法案」が提案される
Binance、Lightningインテグレーションの完了を発表
金融安定理事会(FSB)、暗号資産向けグローバル規制フレームワークの中で、資産・通貨のトークン化にも言及
欧州ECB、デジタルユーロに関する第4次状況報告を発表
野村證券、タワマンをデジタル証券化、国内最大134億円
日本銀行、CBDCフォーラム開催を発表
Section1: Technology
1.1. Bitcoin
1.1.1. L1
●Bitcoinの重要な特性を維持するためのmempoolやTxリレーポリシーの設計に関する全10回のシリーズも今週で最終回
https://twitter.com/techmedia_think/status/1682016518207574016?s=20
●splicingだけを解説している専用サイト
https://lightningsplice.com/
●Bitcoinを始める上でのリソースリンク集。Bitcoinとは何なのかから、ホワイトペーパー、なぜ重要なのかまで
https://www.lopp.net/bitcoin-information/getting-started.html
●リコメンドBitcoin Walletsのリスト
https://www.lopp.net/bitcoin-information/recommended-wallets.html
1.1.2. L2:Lightning Network
●Lightning PoolとLightning Loopがユーザーを認証するために使用するL402の基礎となっており、Lightning Network決済を通じて得られるpreimageと並んで使われる「Macaroons」についての解説記事
Macaroonsが有効である条件として時間制限や特定署名の必要性などをcaveatsに定義できる他、クライアントが他のユーザーに権限を委譲したい時にはMacaroonsにcaveatsを追加できる。
Lightning API Credentials (L402s)では、Lightning Networkのinvoiceの支払いが完了した場合にのみ、Macaroons作成を可能にする。
●LangChainAIライブラリを使って、OpenAIの関数APIを活用し、 AIエージェントがBitcoin/Lightningのinvoiceを作成し、決済してそのステータスをチェックできるツールを作った流れを解説したスレ
https://twitter.com/th_sat/status/1681268861759520769?s=20
●Lightspark CEO David Marcus氏が、Lightningの課題を1) 直感的でない点、2) ルーティングとチャネル管理、3) セルフ・カストディアルの難しさ、4) 流動性の制約、と指摘している。
1) 直感的でない点
チャネルベースの決済プロトコルであり、そろばんの形で支払いを送受信するために、他のノードとのチャネルで流動性をロックする必要がある
これをチャネルのメッシュネットワーク上で管理するのは複雑を極める
2) ルーティングとチャネル管理の課題
標準的なLightningのルーティングは基本的なものに過ぎないため、高額トランザクションの成功ルートがうまく見つけられないことが多い
チャネル管理も複雑なため、ネットワークの至る所で流動性が休眠状態で非効率となっている
3) セルフ・カストディアルの難しさ
セルフカストディアルウォレットで、期待されるUXを提供するのは信じられないほど難しい
4) 流動性の制約
使用可能/引き出し可能な残高と、保有する準備金による総残高の概念は、チャネルを閉じるさまざまな方法と、それが流動性の利用可能時間という点で何を意味するのかを真に把握することが難しい
https://twitter.com/davidmarcus/status/1679756699626790912?s=20
●ArkとLightningの比較記事
https://blog.bitgo.com/will-buraks-ark-solve-bitcoin-scaling-f31e65535c3f?gi=e708d09c24e7
●福岡県先端情報技術開発・実証支援事業に株式会社Nayutaの「Lightning Network上でトークン取引を可能にするゲートウェイ開発」が採択|株式会社Nayutaのプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000027.000016959.html
1.2. Ethereum
●Starknetが発表した、DApps用にカスタマイズされたStarknetのインスタンスを構築できる「Starknet Appchains」
https://tokeninsight.com/en/news/starknet-introduces-starknet-appchain
1.3. 他チェーン・要素技術
1.3.1. 他チェーン
●CoinGeckoの2023 Q2レポート
https://twitter.com/coingecko/status/1681242900540321793?s=20
1.3.2. 要素技術
●Chainlinkがメインネット上でローンチした、クロスチェーン相互運用プロトコル(CCIP)
https://chain.link/cross-chain
Section2: Business
2.1. アダプショントピック
2.1.1. ペイメント
●他の暗号通貨でなくBitcoin/Lightningを使って決済サービスを作った理由に関するスレ
https://twitter.com/piero_coen/status/1681040729194496000?s=20
2.1.2. 投資
●Binance、Lightningインテグレーションの完了を発表
https://twitter.com/binance/status/1680777249090576385
●Lightning Networkを使ってBinanceでBTCを入出金する方法に関するFAQページ
●ついにBinance ×ライトニングが実現。LN対応のメリットと今後への影響は?
https://coinkeninfo.com/binance_lightning/
●Coinbase、個人顧客がBitcoinを担保に現金融資を受けることができるプログラムを11月20日を以って完全終了へ
https://www.theblock.co/post/240825/coinbase-borrow-bitcoin-loans-shut-retail
●XRPプログラマティックセールスと機関投資家向けセールスのQ4'16-Q4'20における四半期別変遷
https://twitter.com/MessariCrypto/status/1679864589838876672?s=20
2.1.3. 社会生活
●アフリカで最も暗号通貨への関心が高い国はナイジェリア
https://www.coingecko.com/research/publications/crypto-interest-africa
2.2. DeFi
2.2.1. DEX
●Uniswapが発表した、DEXプール全体の流動性を集約することを目的とした新しいオープンソースプロトコル「UniswapX」
https://blog.uniswap.org/uniswapx-protocol
2.2.4. Stablecoin
●Aave、Ethereum上でStablecoin GHOをローンチ
https://thedefiant.io/aave-launches-gho-stablecoin-on-ethereum-mainnet
2.3. 金融機関のデジタルアセットサービス
2.3.1. 米国
●Nasdaq、「適切な時期ではない」として制状況の推移を見極めるべく暗号通貨カストディアン事業の計画を中止する旨を決算説明会で発表
https://blockworks.co/news/nasdaq-pulls-plug-crypto-custody
2.3.2. 欧州
●Société Généraleの暗号通貨部門であるFORGE、AMFのライセンスを取得。
デジタルアセットのカストディ、法定通貨によるデジタルアセットの購入/販売、デジタルアセットおよびその他のデジタルアセットの提供が可能に
2.3.3. アジア太平洋ほか
●ナショナルオーストラリア銀行、リスクの高い暗号通貨取引所への支払いを一部ブロックすることによる顧客保護を行うと発表
https://news.nab.com.au/news/scam-strategy-update/
2.4. 中銀デジタル通貨
2.4.1. 欧州
●欧州ECB、デジタルユーロに関する第4次状況報告を発表
第一リリースでは、ネットワーク効果を生み出すために、個人間(P2P)とECでの決済にのみ利用可能
第二リリースで、小売店舗でのPOS決済を展開
https://www.ecb.europa.eu/paym/intro/news/html/ecb.mipnews230714.en.html
2.4.2. 中国
●デジタル人民元、累積取引額が昨夏の18倍に増加。平均取引額も昨夏の6倍に
https://www.ledgerinsights.com/digital-yuan-transaction-average-of-265-points-to-business-usage/
2.4.3. 日本
●CBDCフォーラムの開催について | 日本銀行
本年4月から「パイロット実験」を実施することとし、検討作業に民間事業者の技術や知見を反映していく観点から「CBDC フォーラム」を設置。
https://www.boj.or.jp/paym/digital/d_forum/dfo230720a.pdf
2.5. デジタル証券
●タワマンをデジタル証券化、国内最大134億円 野村証券 - 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB188W00Y3A710C2000000/
Section3: Regulation
3.1. グローバル
●金融安定理事会(FSB)、暗号資産向けグローバル規制フレームワークの中で、資産・通貨のトークン化にも言及
プロジェクト等の動向を把握
貨幣と決済のトークン化の特徴、トークン化された金融エコシステムの中銀にとってのメリット・リスク・課題を分析的に探索
https://www.fsb.org/wp-content/uploads/P170723-1.pdf
3.2. 米国
●米上院、DeFiに厳格なAML要件を課す新法案「2023年暗号資産国家安全保障強化法:「Crypto-Asset National Security Enhancement (CANSEE)」法案」を提出。
DeFiプロトコルをコントロールする者や、プロトコルを使用するアプリケーションを提供する者に要件を課すとしている
https://www.coindesk.com/policy/2023/07/19/new-us-senate-bill-wants-to-regulate-defi-like-banks/
●CoinCenter、「Crypto-Asset National Security Enhancement (CANSEE)」法案を言論の自由を侵害する一方で、米国財務省に広範な権限を与えるものだと批判
あるプロトコルを 「コントロール 」するために何が必要かを決定する、事実上無制限の裁量権を財務省に与えるものであり、その支配権がオープンソースソフトウェアの貢献者にまで及ぶ可能性がある、との見方。
https://decrypt.co/149400/coin-center-blasts-messy-and-unconstitutional-senate-defi-bill
●CoinCenterは、米上院の暗号資産国家安全保障強化法(CANSEE)法案につき、「単にソフトウェアを公開し、FinCENへの登録を怠っただけで起訴される可能性が残されており、米国内および米国人による暗号プロトコルの開発を不可能にするものでもある」と指摘している
https://www.coincenter.org/the-cansee-act-is-a-messy-arbitrary/
●米国上院の暗号資産国家安全保障強化法案(Crypto-Asset National Security Enhancement and Enforcement:CANSEE)は、提案後すぐに否決されるこれまでの暗号通貨規制法案とは異なり、上院の重鎮たちが支持する超党派の法案であり「本当の脅威」であるとの見方がされている
https://www.bankless.com/the-senate-comes-for-defi
●2024年1月施行の米インフラ法案受けた税法第6050I条拡張に関する、Coin Centerの訴えが棄却。
$10,000超の暗号通貨の支払を受けた際には、取引を報告する義務が生じる他、氏名・社会保障番号・自宅住所など送金者個人を特定可能な情報を開示しなければならなくなる件について
https://www.btctimes.com/news/coin-centers-case-dismissal-threatens-bitcoin-privacy
●米国下院でデジタル商品市場の管理権をCFTCに認めるとともに、投資契約の存在だけではトークンは証券にならずコモディティと分類すべきとする暗号市場構造法案が提案される
https://blockworks.co/news/republicans-crypto-market-structure-bill
3.3. 欧州
●英国大蔵省、暗号資産取引をギャンブルに分類する庶民院財務委員会の勧告を「グローバルスタンダードとのずれを生じさせる」として却下
https://decrypt.co/149343/uk-government-rejects-proposal-to-classify-crypto-as-gambling
●英FCA、企業が開発初期段階で商品をテストするための常設版デジタル・サンドボックスが8月1日から利用可能になる旨を発表。銀行・投資・融資・決済・保険・年金・ホールセール分野の革新的なコンセプトを対象
https://www.fca.org.uk/news/news-stories/launch-permanent-digital-sandbox
●ドイツ連邦銀行、トークン化された預金について、預金とみなされるかもしれない一方、設計によってはMiCA規制の電子マネートークンや取引可能な証券になる可能性もあるとの見方
https://www.ledgerinsights.com/bundesbank-deposit-tokens-digital-money-currency/
3.4. アジア太平洋ほか
●インドネシアで政府公認の暗号通貨取引所・クリアリングハウスが7月17日から稼働開始
Disclaimers
This newsletter is not financial advice. So do your own research and due diligence.