クリプト・web3をめぐる今週のニューストピックを、①テクノロジー(Bitcoinなど)・②ビジネス(ペイメントやDeFi・NFTなど)・③規制まわり、で振り返る。
今週の注目トピックは、
タイ、2023年末まで暗号資産・デジタルアセットの移転をVAT対象外に
米FRB、暗号通貨のトランザクション手段利用などを定量的に示したレポートを発表
ビットコイン、脱炭素に変身中 再エネ価格低下が追い風
中央アフリカ共和国、クリプトハブ「Project Sango」の立ち上げへ
ダボス会議、暗号資産はもはやアウトサイダーではない:現地レポート
三井住友トラスト・ホールディングス、ビットバンクと提携し「日本デジタルアセットトラスト(JADAT)」共同設立
Stripe、OpenNodeとの提携で顧客が着金した支払いや残高を再びBitcoinに変換可能に
Bitcoin Pizza Day 前夜祭において、 Lightning Network を活用したビットコイン決済の実証実験
Blockが9500人を対象に調査した結果によると、Bitcoinへの投資を控える主因はBitcoinへの知識不足とのこと
LightningとWebのインテグレートトピック解説(LNURL、Lightning Addresses、WebLN、LSATなど)
Section1: Technology
1.1. Bitcoin
1.1.1. L1
●btc++ is a bitcoin dev conf
テキサスAustinで6/7-/10開催
https://www.btcplusplus.dev/
●2010年に10,000BTCを使ってピザを買ったからこそ、同じ10,000BTCが今日何億ドルもの価値を持つようになったと言えるのではないか、との見方。
これがなければ、Bitcoinが今日のようになることはなかった。
「Bitcoinを人々に紹介し、Bitcoin Beachのような循環型経済を作るには、実際に使ってみるしかない。単にHODLingを提唱するだけでは、誰も採用しない。」と主張している。
https://bitcoinmagazine.com/culture/how-pizza-day-relates-to-bitcoin-mining
●2010年に10,000BTCでピザ🍕2枚を購入したLaszlo 氏は、2018年にはLightningを使って0.00649 BTCでピザ🍕を買った最初の人物
●「Bitcoin Pizza Day」細かい経緯と後日談...!! | みそだんちゃん | Spotlight
https://spotlight.soy/detail?article_id=p97391w3l
●「ロストイン #Bitcoin 」が公開
1.1.2. L2:Lightning Network
●LightningがWebにインテグレートされる姿を、インボイス生成にまつわるUXギャップ解消するLNURLなどを例示して解説している
https://bitcoinmagazine.com/technical/how-lightning-can-integrate-with-the-web
LNURL
LNURL-Payを使ってブログチップ向けにQRコード生成
LNURL-Withdrawを使ってリンククリック時にインボイス生成。
LNURL-Authを使ってウォレットシードフレーズに基づき鍵ペア生成
Lightning Addresses
LNURL-Payなどを用いて、QRコードなしにメールアドレスと同様のフォーマットで送金可能
https://lightningaddress.com/
WebLN
makePaymentやsendInvoice用いたブラウザエクステンションを構築するJavaScriptツール
https://webln.dev/#/
WebLNクライアントプロバイダーとして、Lightning NetworkむけブラウザエクステンションAlbyなどがある。
Lightning Node Connect (LNC)
ブラウザ経由でノードマネジメントとして、チャネル開閉やLightningノードのリバランスを行えるもの
Lightning Web Terminal
https://terminal.lightning.engineering/#/031015a7839468a3c266d662d5bb21ea4cea24226936e2864a7ca4f2c3939836e0
Lightning Service Authentication Tokens(LSATs)
小さなやりとりにおけるマイクロペイメントなどのシーンで、ユーザー名・パスコード・金額設定なしに、認証と支払い許可を1つのステップで可能に
LSATプロトコルは、“payment required” や“reserved for future use”を意味するクライアントサイドエラーコード402を用いる
ポッドキャストへのLightningのインテグレート
Pay-as-you-useによりサブスクをLightning でリプレイス
●Lightning Networkにおける支払い失敗やネットワークの信頼性低下の主因として、利己的なルーティング戦略による自然な混雑とチャネル流動性の枯渇を考慮することを提唱している。
Lightning Networkにおけるselfish routing戦略によるチャネル流動性の枯渇に注目した、「Price of Anarchy」について分析したもの。
背景として、ネットワークにおける利己的で協調性のない行動が引き起こすパフォーマンスの低下についての分析(2005年)がある。(出所)
多くの人々は、自分が原因で他の人に迷惑をかけている交通渋滞を考慮しないで、利用可能な最短経路で通勤することを好むため、各種ネットワークは、こうした「利己的なルーティング」に悩まされている、というもの。
ネットワークにおける利己的で協調性のない行動によって引き起こされる社会福祉の損失を、「Price of Anarchy」と呼んでいる。
「Price of Anarchy」は、経済学やゲーム理論における概念で、あるシステムの効率がエージェントの利己的行動によりどのように低下するかを測定するもの。(出所)
都市の交通システムなど、様々なシステムや効率の概念に拡張することができるとされている。
集中型ソリューションでは、平均移動時間を最小にすべく、中央の権威が各エージェントに対して「どの経路をとるべきか」を指示できるのに対して、分散型では、各エージェントは自分自身で経路を選択する。
両者における平均移動時間の比率を測定するのが、「Price of Anarchy」。
https://blog.bitmex.com/price-of-anarchy-from-selfish-routing-strategies/
●Bitcoin Pizza Day 前夜祭において、 Lightning Network を活用したビットコイン決済の実証実験
●Nayutaは3団体と共同でBitcoin Pizza Day 前夜祭を開催しました。同イベントであたらしいアーキテクチャのLightning Network Walletの外部テストを開始しました|株式会社Nayutaのプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000021.000016959.html
●ビットバンク | ビットバンクは 3 団体と共同で Lightning Network を活用したビットコイン決済の実証実験を実施いたしました。
https://bitbank.cc/announcement/
●【イベント開催報告】「Bitcoin Pizza Day⚡️前夜祭」大盛況のうちに終了!|フルグル合同会社のプレスリリース
1.2. Ethereum
1.2.1. L1
●Ethereum Beacon Chainで7ブロックのreorg
https://decrypt.co/101390/ethereum-beacon-chain-blockchain-reorg
●The Hitchhiker's Guide to Ethereum - Delphi Digital
https://members.delphidigital.io/reports/the-hitchhikers-guide-to-ethereum/
●BitMEX Researchによる、MEV問題に対する潜在的な緩和策「Flashbots」についての検証レポート
https://blog.bitmex.com/flashbots/
1.3. 他チェーン・要素技術
1.3.1. 他チェーン
●Blockchain Onboarding
●Project Liberty、Polkadotプロジェクトと連携すると発表
1.3.2. 要素技術
●Vitalikが共著者であるとして話題の論文「Decentralized Society: Finding Web3's Soul」にて説明されている、「Soul」, 「SBT」「DeSoc」の概念について
Section2: Business
2.1. アダプショントピック
2.1.1. ペイメント
●Cash App、支払者が希望する支払額を設定できるzero-amountのLightning Invoiceのサポートを発表。
顧客が最終的な請求額を入力できるようにすることで、マーチャントの時間を節約可能に
●決済サービスStripeで売上をビットコインに変換することが可能に
Stripe、OpenNodeとの提携で顧客が着金した支払いや残高を再びBitcoinに変換可能に
OpenNodeがStripe DashboardでオンデマンドのBitcoin変換が可能なアプリ「OpenNode Stripe App」を提供開始
https://gigazine.net/news/20220525-stripe-opennode-bitcoin/
https://decrypt.co/101309/stripe-taps-opennode-lightning-network-resume-bitcoin-payments
●ブラジルのGafisa、アパート購入の決済手段としてBitcoin受け入れ
https://livecoins.com.br/gafisa-aceitara-bitcoin-para-compras-de-apartamentos-no-brasil/
●BISのサーベイ結果より。
暗号通貨の決済利用は、ニッチグループやクロスボーダーに限られるという認識
代替決済手段になる可能性が最も高いのは、単一通貨にペグしたStablecoinm、次いでバスケットペグ。
以下、コモディティ商品ペグ、暗号通貨ペグ、自動調整によるペグなしと続き、それ以外の暗号通貨が横並び。
https://www.bis.org/publ/bppdf/bispap125.pdf
2.1.2. 投資
●Blockが9500人を対象に調査した結果によると、Bitcoinへの投資を控える主因はBitcoinへの知識不足とのこと
●Binance、イタリアで暗号通貨サービスプロバイダーとしての登録を通じた規制上の承認を受けたと発表。
イタリア国内の顧客に対して商品提供可能に。
直近でBinanceは、フランス当局もデジタル資産サービスプロバイダライセンスを付与しているほか、バーレーンとドバイでの営業ライセンスも取得している。
2.1.3. マイニング
●三井物産、フレアガスを活用した環境負荷低減型クラウドコンピューティング事業者 Crusoe Energy Holdingsへの出資参画を発表。
暗号資産マイニング、AI、再現・予測シミュレーション、タンパク質・DNA解析、グラフィック生成などの分野の計算処理を安価に提供可能
https://www.mitsui.com/jp/ja/topics/2022/1243543_13393.html
●ビットコイン、脱炭素に変身中 再エネ価格低下が追い風
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD112LA0R10C22A5000000/
2.1.4. 社会生活
●ダボス会議、暗号資産はもはやアウトサイダーではない:現地レポート
https://www.coindeskjapan.com/149763/
2.1.5. RegTech
●EllipticのシリーズCラウンドにJ.P. Morganが参加
●コミュニティベースのマルチチェーン詐欺報告プラットフォーム「Chainabuse」がローンチ。
ブロックチェーンインテリジェンス企業TRM Labsが運営し、Circle・Solana Foundation・Aave Companies・Hedera・Binance および Civicが参加。
Bitcoin、Ethereum、Solana、Polygon、Hedera、Binance Smart Chain、および Tron のレポートが可能。
https://www.chainabuse.com/
https://news.bitcoin.com/crypto-firms-launch-community-powered-scam-reporting-platform-chainabuse/
2.2. NFT
2.2.1. トラディショナルプレイヤー
●デジタル「岸田トークン」を自民党が初配布へ NFTに本腰か
https://news.yahoo.co.jp/articles/aec587c6661fc3e30d9dd9d0372815a2e554c40a
●自由民主党NFT発行にHAZAMA BASEを採用!5月28、29日開催の青年局会議・研修会で政策コンテスト表彰者や研修会出席者に譲渡不能のNFT・POAPを配布
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000020554.html
2.2.2. NFTエコシステム
●日本のビンテージNFTに注目すべき理由 【Rare Japanese NFTsリニューアル】
> 2017年以前にビットコインのブロックチェーン上で発行された日本のビンテージNFT関連の情報を主に集めたサイトをリニューアルしました。
●OpenSea、複数の出品方法を提供するNFTマーケットプレイスプロトコル「Seaport」をオープンソースとして発表。ETH / ERC20 / ERC721 / ERC1155 などのオファーに対応
https://opensea.io/blog/announcements/introducing-seaport-protocol/?amp=1
2.3. DeFi
2.3.1. Stablecoin
●Terraform Labs、先日のUSTアルゴリズムStablecoin崩壊をうけ、新しいブロックチェーンTerra 2.0(アルゴリズムStablecoin無し)をメインネットローンチ。
LUNA 2.0トークンを、オリジナルのLUNAクラシック・トークンとは別途発行し、オリジナルのネットワーク(Terra Classic)関係者に対して、LUNA 2.0トークン総供給量の70%をエアドロップ。
2.4. DAO
●DAO(Decentralized Autonomous Organization)の法規制について (日本版DAO法を考える) - 福岡ブロックチェーンエコノミー勉強会 | Doorkeeper
https://65a6cf4bfd5d7de5e8e1979939.doorkeeper.jp/events/137620
2.5. 金融機関のデジタルアセットサービス
2.5.1. 日本
●三井住友トラスト・ホールディングス、ビットバンクと提携しデジタル資産を管理する信託会社「日本デジタルアセットトラスト(JADAT)」を共同設立へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB212910R20C22A5000000/
2.6. 中銀デジタル通貨
2.6.1. グローバル
●BISによるCBDCサーベイによると、2/3以上の中銀行、短中期的にリテールCBDCを発行する可能性があると考えている。
また、ホールセールCBDCの取り組みも、クロスボーダー決済の効率性の観点から推進が加速している。
https://www.bis.org/publ/bppdf/bispap125.pdf
●IMF専務理事、「今後5年間でCBCDはが世界中にかなり存在するようになる」との見方を発表。
2.6.2. 米国
●米Fedは、デジタルドルのローンチには5年を要し、議会・ホワイトハウスの承認を必要との見方
●米国銀行協会が、米ドルは既にデジタルな形態で流通しており、デジタルドルが解決する特定の問題や経済的必要性も無いとして、デジタルドル不要を主張している
https://bankingjournal.aba.com/2022/05/aba-case-not-yet-made-for-a-u-s-cbdc/
2.6.3. 欧州
●仏中銀総裁、「今後3年の間に、世界では強力なCBDCが出現する可能性」とダボス会議でコメント。
2.6.4. 中国
●中国、デジタル人民元(eCNY)のスマート学生証を海南魯迅中学校のキャンパスで試験導入
https://finance.sina.com.cn/money/bank/bank_hydt/2022-05-24/doc-imizirau4516266.shtml
2.6.5. 日本
●財務省|「デジタル通貨」に関する調査研究 : 財務総合政策研究所
「デジタル通貨の設計と枠組み-欧州と中国の取り組みの持つ意味合い」など
https://www.mof.go.jp/pri/research/digital_currency.html
●「通貨と銀行の将来を考える研究会」(第2フェーズ統合報告) | スペシャルレポート | 野村総合研究所(NRI) 2022年4月発行
https://www.nri.com/jp/knowledge/publication/fis/special/lst/2022/04/04
Section3: Regulation
3.1. 米国
●米国Cynthia Lummis上院議員、6月7日にクリプト規制法案を発表へ。
ドラフト(ただし3月1日版)では、多くをCFTC管轄におくことのほか、証券取引法に「付随的資産(ancillary asset)」という用語を追加定義することを提唱している模様。
「別段の定めがある場合を除き、CFTCは、提供・勧誘・取引・執行・その他の取引を行うデジタルアセットの販売契約に関わるあらゆる合意・契約・取引に対して排他的な管轄権を有するものとする」とあるように、多くをCFTCのもとに置くことを意図している。
あわせて、証取法に「付随的資産」を定義追加することを提唱。
「投資契約を構成する取り決めやスキームを通じて、証券の売買に関連して人に提供・販売、またはその他の方法で提供される無形資産」
「これには、DLTネットワークやDAOのガバナンスを促進するために使用されるデジタルアセットを含む」
●米FRB、暗号通貨が購入取引としてよりも、投資ツールとして支持されていることを示すレポートを発表。
トランザクション手段として使用した人の13%が銀行口座を持たず、27%がクレジットカードを持たないなど、低所得層はトランザクション目的で暗号を使用する傾向が強いとしている。
一方、投資目的で保有する人々は、46%が10万ドル以上の所得があるほか、99%が銀行口座を保有しているとのこと。
3.2. 欧州
●ポルトガル議会、暗号資産投資から得られた利益への課税図る2法案を否決
https://news.bitcoin.com/portuguese-parliament-rejects-crypto-tax-proposals-during-budget-debate/
3.3. アジア太平洋ほか
●タイ、2023年末まで暗号資産・デジタルアセットの移転をVAT対象外に
タイで暗号通貨を決済手段として用いることは禁止されているものの、暗号資産・デジタルアセットへの投資取引は禁止されていない
●中央アフリカ共和国、クリプトハブ「Project Sango」の立ち上げへ。
デジタル国立銀行の設立や、Bitcoinでの土地購入の促進、ウォレット開発などが含まれる模様
https://www.theblockcrypto.com/post/148416/central-african-republic-teases-project-sango-crypto-hub
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