クリプト・web3をめぐる今週のニューストピックを、①テクノロジー(Bitcoinなど)・②ビジネス(ペイメントやDeFi・NFTなど)・③規制まわり、で振り返る。
ピザ2枚(タマネギ・ペッパー・ソーセージ等トッピング)に10,000BTC払うよ、とした、2010年5月18日の投稿から、今年で12年を迎えるBitcoin Pizza Dayを記念して、Summer of Bitcoinの「Bitcoin・Lightningの学習リソースリスト」を冒頭で紹介。
出典:https://en.bitcoinwiki.org/wiki/Laszlo_Hanyecz
出典:https://en.bitcoin.it/wiki/Category:History#2010
今週の注目トピックは、
Vitalikが自分の考えや価値観の中で考えている矛盾について吐露
野村證券、機関投資家むけに暗号資産等への分散投資を支援するデジタルアセット子会社を欧州に設立準備
ハッシュレートに占める中国の比率が再び20%水準に
a16zによるState of Cryptoレポート
Coinbaseシンクタンクがクリプトと気候に関するレポートを発表
金融包摂について協議すべく44カ国90名の中銀職員がエルサルバドルに
EY、Polygonと共同開発したL2ロールアップチェーン「Nightfall」上でサプライチェーンのトラッキングサービスをローンチ
Section1: Technology
1.1. Bitcoin
1.1.1. Bitcoin Pizza Day特集 〜 Bitcoin・Lightningの情報リソースリスト
●Summer of Bitcoinによるスタディガイド
開発者トラックとデザイナートラックの2本立てで、BitcoinやLightningについての学習リソースを紹介している
https://guide.summerofbitcoin.org/the-proposal-round/getting-started-with-bitcoin
●Summer of Bitcoinによるスタディガイドで、開発者トラックとデザイナートラックの双方で紹介されている、The Bullish Case for Bitcoin(Bitcoinの強気な見方)と題した記事
https://vijayboyapati.medium.com/the-bullish-case-for-bitcoin-6ecc8bdecc1
●Bitcoinを知る「Grokking Bitcoin」と題したコンテンツ
https://rosenbaum.se/book/grokking-bitcoin.html#_dedication
●Bitcoinの情報リソースリスト
https://www.lopp.net/bitcoin-information.html
●Lightningの情報リソースリスト
https://www.lopp.net/lightning-information.html
●Mastering Lightning Network
https://github.com/lnbook/lnbook
●ChaincodeによるBitcoin・Lightningのセミナー資料
https://chaincode.gitbook.io/seminars/
1.1.2. L1
●29のオープンソースBitcoinプロジェクトによる「Summer of Bitcoin 2022」プログラム、51カ国から20317名の学生が応募し、15カ国83名の学生が選出。Chaincode Labsが監修するBitcoin・Lightningプロトコル開発セミナーに参加するとのこと。
https://blog.summerofbitcoin.org/summer-of-bitcoin-2022/
●Summer of Bitcoinの参加プロジェクトリスト
https://www.summerofbitcoin.org/2022-project-ideas
●OP_CAT😺とCovenants📜の備忘録 | Yuya | Spotlight
https://spotlight.soy/detail?article_id=f613vxl9f
●Bitcoin Optech ニュースレターが、通算200号目を迎えている
https://bitcoinops.org/en/newsletters/2022/05/18/#celebrating-optech-newsletter-200
1.1.3. L2:Lightning Network
●Adopting Bitcoin – A Lightning Summit 2022|11/15-11/17 エルサルバドルにて。
https://adoptingbitcoin.org/2022/
1.2. Ethereum
1.2.1. L1
●Vitalikが自分の考えや価値観の中で考えている矛盾について吐露している。
①「Ethereumが文化的なものも含め長期的安定性を強調する、よりBitcoinに近いシステムになることを望む願望」vs「そこに至るにはかなり多くの積極的な協調的短期的変化が必要という認識」
②「Ethereumが極端な状況でも生き残れるL1になってほしい願望」vs「Ethereum上の多くの主要アプリがEthereumのプロトコル設計で許容できるものよりはるかに脆弱なセキュリティ前提に依存しているという認識」
③「非中央集権や民主主義のようなものを愛する気持ち」vs「多くの課題において民衆よりも知的エリートに同意しているという実感」
④「より多くの国が、クリプト国家のような過激な政策実験を採用するのを見たいという願望」vs「それらに全力で取り組む政府は、中央集権的で多様性に優しくないという認識」
⑤「多くの最新の金融ブロックチェーンアプリケーションが嫌い気持ち」vs「それらがクリプト経済を維持し、DAO/ガバナンスの実験への支払いの大部分を占めるという認識」
⑥「クリプトが金融を超えて成長することへの願望」vs「決済やSoVを含む金融がクリプトアプリのカテゴリとして、特に第三世界の間では依然として圧倒的に成功しているという認識」
⑦「L1を最大限に単純化したいという願望」vs「エコシステム全体を最大限に単純化したい願望」
1.2.2. L2
●StarkNet上のプロジェクトリスト
https://starkware.notion.site/Projects-Building-on-StarkNet-a33dee55778a4515a9be9bdae02ee682
1.3. 他チェーン・要素技術
1.3.1. 他チェーン
●英Cambridge大学で、7/11から8/7にかけて4週間にわたって開催される「Polkadot Blockchain Academy」
●EY、Polygonと共同開発したL2ロールアップチェーン「Nightfall」上でサプライチェーンのトラッキングサービスをローンチ。Nightfall上で追跡可能な企業内の資産や在庫を表すトークンを作成。
1.3.2. 要素技術
●Web3、VC、DAOなど多方面にわたるクリプト関連記事のリスト(約20記事)
●日本よ、目を覚ませ、Web3はクソだ!|吉田拓史
https://www.axion.zone/web3-5/
Section2: Business
2.1. アダプショントピック
2.1.1. ペイメント
●スイスの時計メーカーTAG Heuer、BitPayと提携し、Bitcoinによる支払いをEC顧客むけに受け入れ開始
https://bitcoinmagazine.com/business/tag-heuer-now-accepts-online-bitcoin-as-payment
2.1.2. 投資
●Robinhoodが発表した、Web3向けノンカストディアルウォレットの特徴。
自身の鍵を保持して、Dappsにアクセス
ネットワーク手数料無料で取引・スワップ
NFTを購入・保管
オープンファイナンスの利回りを生み出すことが可能
https://blog.robinhood.com/news/2022/5/17/robinhood-announces-non-custodial-wallet
●Coinbaseも、Ethereum Dapp Walletをロールアウト。
dappウォレットの秘密鍵はユーザーとCoinbaseの間で分割され、Coinbaseがリカバリーを手助けするものの、ユーザーの資金は最終的にCoinbaseが管理する点が、Robinhoodのノンカストディアルウォレットとの違い。
サポート対象の例
DEX:UniswapとSushiswap
レンディング:CurveとCompound
NFTマーケットプレイス:OpenSeaとCoinbase NFT
https://blog.coinbase.com/access-web3-with-the-coinbase-app-2b804c0aee8a
https://thedefiant.io/coinbase-ethereum-dapp/
●Coinbaseが立ち上げた学術機関や他のシンクタンクと連携して研究を行うシンクタンク「Coinbase Institute」が併せて発行した、月次インサイトレポート
●MicroStrategyのCFO、Bitcoinを長期的に購入し保有する戦略は変わらない旨を言明
●アルゴリズム取引プログラムの全体像
2.1.3. マイニング
●ハッシュレートに占める中国の比率が再び20%水準に
●Blockstream・BlockおよびTeslaによる、100%再生可能なゼロエミッションのオープンソースBitcoinマイニング施設のMegapacks電池装置
●Coinbaseが立ち上げた学術機関や他のシンクタンクと連携して研究を行うシンクタンク「Coinbase Institute」が発行した、クリプトと気候に関するレポート
2.1.4. 社会生活
●エルサルバドル大統領、金融包摂やBitcoinの展開とその利点について協議すべく、44カ国から32の中央銀行と12の金融当局が参加した会合を本日開催と発表。パラグアイ、ホンジュラス、ガーナ、ギニア、マダガスカル、モルディブなどが参加
●エルサルバドルでの中銀会議を受け、44か国90名の中銀職員がBitcoinBeachを訪問
●金融包摂についてエルサルバドルに集まった44カ国
●エルサルバドルがホストしたAFI(Alliance for Financial Inclusion)の様子
2.2. NFT
●a16zによるState of Cryptoレポート。
web3の意義、イノベーションサイクルに始まり、L1チェーン・L2スケーリング・DeFi・Stablecoin・NFT・Web3ゲーム・DAOについてスライドで概観している。
https://a16zcrypto.com/wp-content/uploads/2022/05/state-of-crypto-2022_a16z-crypto.pdf
2.3. DeFi
2.3.1. Stablecoin
●Terraのビットコイン準備金を保有する非営利団体Luna Foundation Guard(LFG)、TerraUSD(UST)取得にむけ過去1週間で8万BTC以上売却したとのこと。USTの価格が1ドルを大幅に下回り始めた5/8から、積立金をUSTに変換
https://bitcoinmagazine.com/markets/luna-foundation-sold-80000-bitcoin-amid-ust-crash
●BinanceとUST/Terra/Lunaの間にどんな関係があったのか何も知らないとしているのに、CZの3つのツイートが悩ましいという、元FBIエージェントの指摘
●TetherのCTO、過去6カ月間にコマーシャルペーパーの保有量を減らし、保有資産の大半は米国債である旨を発表
●CircleのCFO、TerraのStablecoin崩壊の余波をうけ、「How to Be Stable」というブログ記事を発表。「USDCは完全に裏付けされている」「USDCは常に1対1で米ドルに交換可能」であることなどを説明。
https://www.circle.com/blog/how-to-be-stable-usdc-transparency-and-trust
●暴落から学んだこと等をいろいろ自由に語り合う会 - YouTube
暗号資産を当てにした生活を送ってはいけない。
担保付きでなくalgorithmicだけを謳うstablecoinに手を出すべきではない。
運用側で変更されることがあるため資金を入れる先は確認監視が必要。
2.3.2. 概論
●ブロックチェーンデータ分析プラットフォームNansen、DeFiポートフォリオトラッカー「Ape Board」買収を発表。
約400のプロトコルを対象としたDeFiダッシュボードを通じて、各ネットワークにおける利回り向上資産をトラッキングし、純資産を自動計算できるもの。
Web3ランドスケープにおいて、投資家が投資戦略に有用なデータを得る上で、様々なツールの利用を使わなければならない点を課題視。
https://blockworks.co/nansen-acquires-defi-portfolio-tracker-to-boost-web3-capabilities/
2.4. 金融機関のデジタルアセットサービス
2.4.1. 欧州
●スイスのプライベートバンクJulius Baer Group、富裕層向けにBitcoin他の暗号通貨商品の提供を開始。
2019年にクリプトバンクSEBAに資本参加済。
独自のデジタルアセット管理システムを構築するとのこと。
https://bitcoinmagazine.com/business/julius-baer-to-offer-bitcoin-crypto-services
2.4.2. 日本
●野村證券、機関投資家むけに暗号通貨・DeFi・NFTへの分散投資を支援するデジタルアセット子会社を設立準備とFTが報道。当初は15人を新しい異動の上で、2023年末までに約100人の体制へ
https://www.ft.com/content/04f5fb11-f635-45b0-a067-96756e01af19
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-05-16/RBZ38QT0AFB401
●野村のデジタルアセット会社、拠点は欧州に。その上で、まずは暗号資産にフォーカスするとのこと
https://www.coindeskjapan.com/149318/
2.6. 中銀デジタル通貨
2.6.1. グローバル
●SWIFT、CBDCを相互接続しシームレスなクロスボーダー決済を行うための検証を、Capgeminiと協働で実施中と発表
https://www.swift.com/news-events/news/new-experiments-pave-way-international-payments-using-cbdcs
2.6.2. 欧州
●欧州ECBのボードメンバーFabio Panetta氏、デジタルユーロが4年以内に発行される可能性がある旨を言及。P2P決済が最初の利用例となる可能性があるとしている。
●欧州ECB、CBDCワーキングペーパーを発行
https://www.ecb.europa.eu/pub/pdf/scpwps/ecb.wp2662~fa8429a967.en.pdf
●ノルウェー中銀、CBDCのサンドボックスパイロットにおいて、Layer2など各種技術を検証すべく、Nahmii社を選定。同社がサンドボックス環境の構築・メンテナンス・トレーニングを提供。
https://blog.nahmii.io/norges-bank-cbdc-sandbox-project-6cc834c56f10
Section3: Regulation
3.1. 米国
●米Blockchain Associationの政府関係担当ディレクターの見方。
イエレン議長は、議会が超党派でStablecoinの規制枠組みを作るべきと主張。
今年は選挙イヤーであり、選挙メッセージとなるテーマ(インフレなど)に集中しているため、党派的緊張が高まっており、超党派の動きが難しい。
議会はStablecoinについて学ぶことを重視しており、Libra・USDC・CBDC・USTに違いがあることを理解している。
直近で規制当局が暗号通貨エコシステムに対する執行を強化することが予想される。
3.2. 欧州
●英国大蔵省、決済用Stablecoinを規制する計画を進めている旨の報道。一方、アルゴリズムによるStablecoinは安定性を保証しないとして、法案に盛り込む予定はない模様
https://news.bitcoin.com/uk-affirms-commitment-to-regulate-stablecoins-following-terra-meltdown/
●オランダ金融当局も、英国と同様に、クリプトデリバティブ取引はホールセール市場に制限されるべきであり、個人投資家によるクリプトデリバティブの取引禁止を検討中とのこと。
●ポルトガル財務大臣、「課税なしにキャピタルゲインを得ることができる抜け道は存在し得ない」とし、Bitcoinなどの暗号通貨を売却した際のキャピタルゲインへの課税などを含む枠組みを策定へ
3.3. アジア太平洋ほか
●韓国当局、TerraUSD(UST)の一件をうけ、国内暗号資産取引所の緊急査定を開始
●オーストラリア税務当局、NFTを含む暗号資産などの資産を処分する場合、キャピタルゲインまたはキャピタルロスを計算し、確定申告書に記録する必要がある旨を警告
https://www.ato.gov.au/Media-centre/Media-releases/Four-priorities-for-the-ATO-this-tax-time/
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