クリプト・web3をめぐる今週のニューストピックを、①テクノロジー(Bitcoinなど)・②ビジネス(ペイメントやDeFi・NFTなど)・③規制まわり、で振り返る。
今週の注目トピックは、
Lightning NetworkのChannel Jamming問題解決の最新状況サマリー
EthereumのPoS移行「The Merge」のスケジュール
Coin Center、OFAC指定に対する法的異議申し立てに向けて、Tornado Cashの仕組みに関する解説記事を発表
米FRB、暗号資産関連業務に従事/または従事しようとしている銀行へ追加情報を提供
USDTやUSDCおよびBinance USD、MiCA法の下で2024年からEUで禁止される危険性
各国の中銀デジタル通貨(CBDC)のリサーチペーパーリスト
Solanaにおける暗号資産の不正移転事件からみえた「鍵管理」の難題
General Bytes社のビットコインATM、ハッカーが暗号設定を変更し、入金を行う顧客から窃取
「暗号資産」課税見直しへ…新興企業の成長に配慮、海外流出防ぐ
Samsung、韓国での暗号取引所開設を2023年に予定と伝えられている
IONのDIDのリカバリーと無効化操作をアンカリングしてみる
Section1: Technology
1.1. Bitcoin
1.1.1. L1
●Discreet Log Contracts (DLCs)は、2つ以上の当事者が、オラクルによって決定される特定のイベントの結果に応じて金銭を交換することに合意する契約プロトコル
イベント発生後、オラクルはイベントの結果に対するコミットメントを公開し、勝利したパーティはそれを使って資金を要求できる。
オラクルは契約条件を知る必要はない(あるいは契約が結ばれたことさえ知る必要はない)。
契約を作成し決済するトランザクションは、他の多くのBitcoin取引と区別がつかないようにすることも、LNチャネル内で実行することも可能。
このため、DLCは他の既知のオラクルベースの契約方法よりもプライベートかつ効率的。
加えて、DLCは、偽の結果にコミットするオラクルが不正の明確な証拠を生成するため、以前のオラクルベースの方法よりも安全とされる。
https://bitcoinops.org/en/topics/discreet-log-contracts/
●コア開発者を萎縮させる法廷闘争/The Mergeで騒つくEthereumから学ぶべきこと
●8/26-8/27、フランスバスク地方のBiarritzで開催される「Surfin'Bitcoin」
https://surfinbitcoin.com/conference-day/
●9/3-9/4、ラトビアのRigaで開催される「Baltic HoneyBadger 2022」
https://baltichoneybadger.com/
https://baltichoneybadger.com/agenda
●11/10-11/11、LAで開催される「Pacific Bitcoin」
https://www.pacificbitcoin.la/
1.1.2. L2:Lightning Network
●Lightning NetworkのChannel Jamming問題解決の最新状況サマリー
Jammingのコストと影響について説明した上で、Stake Certificates および Forwarding Passといった具体的なアイデアを紹介
Channel Jamming 攻撃は、最大20ホップ先の一連のチャネルにおいて、資金の一部または全部を長期間使用できないようにするDoS攻撃。
Liquidity jamming 攻撃 および HTLC jamming 攻撃という2つの可能性がある
Channel Jamming問題解決の最新状況サマリーにおいては、スワッププロトコルやshort-duration DLCなど、LN上に構築されたプロトコルにいくつかの解決策がどのように役立つかも検証している
https://bitcoinops.org/en/topics/channel-jamming-attacks/
https://jamming-dev.github.io/book/
https://lists.linuxfoundation.org/pipermail/lightning-dev/2022-August/003673.html
https://bitcoinops.org/en/newsletters/2022/08/24/
●11/15-11/17にエルサルバドルで開催される「Adopting Bitcoin」
https://adoptingbitcoin.org/2022/
●PeerSwapを使ってチャネルバランスを調整
PeerSwapは、チャネル開設しているノードとのサブマリンスワップを通じてチャネルバランスを調整するツール。
PeerSwapを使うことでサブマリンスワップのメイカー・テイカーの両方になれる
https://spotlight.soy/detail?article_id=de0asit6y
1.2. Ethereum
●EthereumのPoS移行「The Merge」のスケジュール
まずBeacon ChainでBellatrixのアップグレードを有効化。9月6日の午前11時34分47秒UTCに予定
この後、PoWのチェーンは、特定のTotal Difficultyの値に達した時点で、PoSに移行(9月10日から20日の間に発生)
https://blog.ethereum.org/2022/08/24/mainnet-merge-announcement
1.3. 他チェーン・要素技術
●IONのDIDのリカバリーと無効化操作をアンカリングしてみる
https://techmedia-think.hatenablog.com/entry/2022/08/23/204300
●Solanaにおける暗号資産の不正移転事件からみえた「鍵管理」の難題 | 日経クロステック
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02132/081900005/
●General Bytes社のビットコインATM、ハッカーが暗号設定を変更し、入金を行う顧客から窃取
https://www.theblock.co/post/164741/hacker-stole-from-clients-making-deposits-on-bitcoin-atms
Section2: Business
2.1. アダプショントピック
●Samsung、韓国での暗号取引所開設を2023年に予定と伝えられている
https://decrypt.co/108211/samsung-slates-crypto-exchange-launch-south-korea-2023-report
2.3. DeFi
●NFTレンディングプロトコル「BendDAO」で発生した信用収縮
2.5. 金融機関のデジタルアセットサービス
2.5.1. 欧州
●スイスSIX Digital Exchange(SDX)、機関投資家向けにノンカストディアルのEthereumステーキングサービスを開始
https://www.ledgerinsights.com/six-digital-exchange-sdx-ethereum-staking-institutions/
2.5.2. アジア太平洋ほか
●タイのサイアム商業銀行(SCB)の持ち株会社であるSCBX、暗号通貨取引所Bitkubの51%の株式取得取引を打ち切った旨を発表
2.6. 中銀デジタル通貨
●各国の中銀デジタル通貨(CBDC)のリサーチペーパーリスト
https://docs.google.com/document/d/1c8iGtoG7BkPr-iufnIPELEWvtZiNtouOyJp2IYjhAEY/edit
2.7. デジタル証券
●米DTCC、Project Ionプラットフォームが並行稼働を開始したと発表
https://www.dtcc.com/news/2022/august/22/project-ion
Section3: Regulation
3.1. 米国
●Coin Center、OFAC指定に対する法的異議申し立てに向けて、Tornado Cashの仕組みに関する解説記事を発表
Tornado Cashのスマートコントラクトは、ユーザーがトークンを別のアドレスに預けたり、後で引き出したりすることを可能にするもの
ユーザーがトークンを預けたり引き出したりするのを誰でも観察できるが、どの引き出しがどのデポジットに対応するのかは判断できない
これらの操作はスマートコントラクトのコードとして定義され、仲介者や第三者を介さずに自動的に実行される
ユーザーは自分の資金をずっとコントロールし続け、最初に入金したトークンだけを引き出すことができる
このTornado Cashのスマートコントラクトの運用は誰も管理しておらず、将来的に運用を変更することもできない
OFACで特定されたいくつかのアドレスは、人によるコントロールのレベルを保持している
しかし、これらのアドレスは、不変のアドレスに見られるプライバシーツールの操作にとってコアではなく、いかなるユーザートークンに対してもコントロールを行使することはできない
https://www.coincenter.org/education/advanced-topics/how-does-tornado-cash-work/
●米Tom Emmer議員が、Tornado Cashへの前例のない制裁について、イエレン財務長官に送った書簡。
分散型技術の採用が進むことで、OFACに新たな課題が生じるのは確かだが、それでもテクノロジーは中立であり、プライバシーを期待することは普通であるとしている
●米FRB、暗号資産関連業務に従事/または従事しようとしている銀行へ追加情報を提供
暗号資産関連業務に従事する前に、法的に許容されるかどうか、当局届出が必要かどうかを判断するなどの措置を概説
監督下の銀行が暗号資産関連業務に従事する前に、FRBへ通知する必要があると明記
暗号資産関連業務を開始する前に、安全かつ健全な方法で業務を行うための適切なシステムおよび統制を整備する必要があると強調
https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/bcreg20220816a.htm
3.2. 欧州
●USDTやUSDCおよびBinance USD、MiCA法の下で外貨建てのEMT(e-money tokens)の発行と使用に関する量的制限のため、2024年からEUで禁止される危険性
https://blockworks.co/eu-crypto-lobby-fights-mica-limits-on-us-dollar-stablecoins/
3.3. 日本
●「暗号資産」課税見直しへ…新興企業の成長に配慮、海外流出防ぐ
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20220824-OYT1T50011/
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