暗号通貨・暗号資産をめぐる今週の注目トピックは、
ユーザーが鍵を完全にコントロールできるかどうかで見た「Lightningウォレット」の分類
暗号資産カストディアンのセキュリティ対策についての考え方【第3版】のパブリックコメントを開始
暗号資産によるウクライナ政府・NGO関連の寄付の56%がBitcoin、32%がEther、11%がStablecoin
米SEC、特定NFTの証券該当性について調査すべく、NFTクリエーターや取引所に召喚状を送っているとの報道
安定的かつ効率的な資金決済制度の構築を図るための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律案
Section1: Technology
1.1. Bitcoin
1.1.1. L1
●Advancing Bitcoin(3/3-3/4)がLondonでスタート
1.1.2. L2:Lightning Network
●ユーザーが鍵を完全にコントロールできるかどうかで見た「Lightningウォレット」の分類
Custodialウォレット(Beginner向け)
ウォレットプロバイダーに依存し、鍵をエクスポートして、別のアプリ上にウォレットをリストアするといった鍵の完全な制御を提供しないもの。
BlueWallet|Wallet of Satoshi|Zebedee|CoinOS|Muun|LNTXBOT|CashApp|Strike|Chivo|Bitcoin Beach
Non-Custodialウォレット(中級者むけ)
鍵のフルカストディ、バックアップ、エクスポート、他のアプリにインポートするための完全な互換性を提供するもの。
SBW | Phoenix | BlueWallet | Electrum
Node Mobile LN ウォレット(上級者むけ1)
自分のBTC/LNモバイルノードも管理するものの、自宅にはまだ完全なノードがないユーザーを想定。
鍵のフルカストディ、バックアップ、エクスポートを提供し、モバイル上でLNノードを実行。
Node Mobile LN ウォレットでは、資金管理をコントロールすることができ、完全なBTC/LNではないものの、一定の主権が提供される。
Blixt | SBW | Breez | Eclair | Nayuta Core
ノード管理LNウォレット(上級者むけ2)
モバイルアプリまたはデスクトップアプリから、専用機能を持つ高度なアプリを用いて自分のホームノードを管理したいと考えるユーザーを想定。
ノード管理LNウォレットでは、ウォレットの機能性を備えたリモート/ホームフルノード管理インターフェースを通じて、BTC/LNノードの完全なコントロールが提供される。
Zeus | Zap | Spark | Fully Noded | ThunderHub | RTL | LNbits
●Umbrelのアップデート
Jam(CoinJoin取引)
Snowflake(インターネット検閲の抑止)
Bleskomat(Lightning ATMをUmbrel上のLightningノードに直接接続)
●bitbank Tech Night #1 ~Lightning Network~
Lightning Networkの技術的概要と、関連する弊社の取り組みについて
https://www.slideshare.net/bitbankink/lightning-network-swap-nloop
●Lightningコマースの技術スタック
Lightning ソリューションの強みは、これらをウォレットや取引所が組み合わせることによって、法定通貨決済の技術スタックの再構築・改善に繋げることができる点にある、としている
https://www.kevinrooke.com/post/lightning-commerce-is-coming
1.1.3. Bitcoin Finance
●BitcoinのDeFiエコシステム
ビットコインのDeFi TVLは$1.15Bと、2021年初と比べて約3倍に。
ほとんどのBitcoin DeFiプロジェクトは、DEX・Stablecoin・レンディングプロトコル・オラクルといったDeFiエコシステムの必須出発点となる領域に集中している段階。
DEX(DeFiChain DEX、Stackswap、Sovryn)が最多のTVL。
デリバティブなど高度なDeFiの分野へと広がり始めている。
スマートコントラクト機能はサイドチェーン/L2ソリューション経由で提供され、そのうちDeFiChainが、DEXとレンディングプロトコルを背景に、TVLで全体の77%のシェアを占める。
Bitcoin DeFiプロトコルにロックされたBTC(12k BTC)に比べ、Ethereum DeFiプロトコルにロックされるBTC(207k BTC)は10倍以上の開き。
Ethereum DeFiにロックされたこれらのBTCの多くが、レンディングプロトコルの担保になっている。
Ethereum上の全BTCの80%は、wBTCとして。
https://www.coingecko.com/buzz/dive-into-the-bitcoin-defi-ecosystem
1.2. Ethereum
●StarkNetのエコシステムマップ
1.3. 他チェーン・要素技術
●オンチェーン・アイデンティティのエコシステムマップ。
所有権、ガバナンス参画、バウンティなど
https://mirror.xyz/shreyjain.eth/TyBzMOegl3rMNxpAFoJ36MjE0pGfdLcrVCBgy-x3qS8
●Cambridge大学、デジタルアセットエコシステムを対象としたデジタルアセットプログラム (CDAP)の立ち上げを発表。
エビデンスベースの対話促すべくデータやツールを整備。
BIS・IMF・Visa・Mastercardなども参加。
●日本銀行金融研究所 |ブロックチェーン特有のネットワーク・セキュリティ:攻撃手法などの最新動向
https://www.imes.boj.or.jp/research/papers/japanese/22-J-02.pdf
●暗号資産カストディアンのセキュリティ対策についての考え方【第3版】のパブリックコメントを開始しました。 / CGTF
第3版における主な修正点
発生した事案の再発防止策とその考え方について明記
適用しない範囲についてはその理由を添えて適用除外とすることを明記
DEXも適用可能な内容については適用可能に
鍵管理の基本事項を本文中に記載
https://cgtf.github.io/news/20220301/
Section2: Business
2.1. アダプショントピック
2.1.1. ペイメント
●暗号資産によるウクライナ政府・NGO関連の寄付の56%がBitcoin、32%がEther、11%がStablecoin
https://www.elliptic.co/blog/live-updates-millions-in-crypto-crowdfunded-for-the-ukrainian-military
●ウクライナへのクリプト寄付のダッシュボード(Ethereum L1分のみ対象)
●Uniswap、ウクライナ政府への寄付をサポート
●Shake Shack、Cash App通じてBitcoinリワードを提供へ
https://www.wsj.com/articles/shake-shack-tests-bitcoin-rewards-to-lure-younger-consumers-11646349158
●Microsoft、暗号通貨へのアクセス改善はかるプロダクト開発にむけてエンジニア求人
●eBay、暗号通貨決済のインテグレートをCEOが示唆
https://cryptopotato.com/ebay-could-soon-integrate-crypto-payments-on-its-platform-hints-ceo/
2.1.2. 投資
●2020年代をサバイブするためのスキルとして、
・秘密鍵管理
・DeFi
・コールドストレージ
・暗号化メッセージング(Signalなど)
・脱出プランニング
・デジタルフリーランス
・クリプト投資
・VPNトンネリング
を挙げている。
●FTX、フィランソロピー・ファンド「FTX Future Fund」を発表
https://ftxfuturefund.org/announcing-the-future-fund/
●Coinbase、ウクライナからのロシアユーザーに対するブロック要請を拒否。国際制裁には協力する意向
https://decrypt.co/94054/coinbase-declines-ukraine-request-to-block-russian-crypto-users
●英国領のジブラルタルに、世界で初めて「暗号資産を使える証券取引所」が誕生することの意味
https://wired.jp/article/gibraltar-crypto-exchange/
2.1.3. 社会生活
●スイスLugano市、Bitcoinによる公共料金・税金支払いを受け入れへ
https://bitcoinmagazine.com/business/lugano-switzerland-will-make-bitcoin-legal-tender
●公共料金・各種税金支払いにおけるBitcoin受け入れについて発表された、スイスLugano市における「Plan B conference」の動画。(00:52:00頃〜)
2.1.4. RegTech
●暗号通貨犯罪対策として、詐欺サイトと詐欺暗号通貨アドレスをライブで追跡するサイト「SCAMALERT」
https://scam-alert.io/
2.2. NFT
●ダッチオークションで$70Mを調達したPixelmonプロジェクトを通じて受け取ったNFTが、約束されたものと比べひどいものであったという顛末。
Pixelmonsのアートは、安価な3Dストックモデルに基づいており、フリーランサープラットフォームUpWorkからアーティストを雇い、作業がNFTプロジェクトであることも明かしていなかったとしている。
●Arbitrum上のNFTマーケットプレイスTreasureが受けた攻撃について。
コントラクトがこれまで真剣に監査されてきたかどうか疑問視されており、NFTエコシステムが真剣にセキュリティに取り組む必要性が指摘されている。
出品NFTが0MAGIC(MAGICはERC-20ネイティブ通貨)で販売されていることに気づいたことに端を発し、NFTを誤って無料で購入してしまうウォレットが続出したもの。
Treasureのコントラクトは、NFTの価値が0になりうるかどうかをチェックしておらず、攻撃者が多くのアセットを無料で購入できるようになっていたことが原因とされる。
マーケットプレイスが一時停止されたため、現金化できずNFTの多くは返却されている。
●Play-to-Earn Guildsに関する定量分析レポート
https://mirror.xyz/impossibleresearch.eth/236nGOWYI2HWUQ91_nNUykvicuNo82uJnB2Mz4qFJ44
2.3. DeFi
●フラッシュローンやリアルワールドアセットローン、NFT担保といったUndercollateralized Loanマーケット
https://www.coingecko.com/buzz/undercollateralized-loans-the-future-of-defi-lending
●前もって金利を固定することで事前に収益を確定し、支出を管理する、固定金利プロダクト
BarnBridge:stablecoinの預金に対して固定金利を提供するSMART Yield
Element Finance:原資産をprinciple token (PT)とyield token (YT)というトークンに分割
Maple Finance:最初に担保を設定することなしに、LPの融資プールから借入
2.4. 金融機関のデジタルアセットサービス
●三菱UFJ銀行、Animoca Brandsと協業でデジタルアセット事業参入
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGD014VP0R00C22A3000000/
●野村ホールディングス、 2022年4月1日付で「未来共創カンパニー」を改組し、「デジタル・カンパニー」を設立。デジタル・アセット推進室も設置
https://www.nomuraholdings.com/jp/news/nr/holdings/20220301/20220301_b.pdf
2.5. 中銀デジタル通貨
●ブラジル中銀、CBDCコンペティション「Real Digital Lift Challenge」の参加者として、AaveやVisaなどを選出。
求められるアプリケーション分野は、トークン化アセットのDvP・PvP・IoTおよびDeFiの4分野。
ブラジル中銀のCBDCコンペティションの参加者として選出された内容は、レンディングプロトコルとしてのAaveの他、VisaはConsenSys・Microsoftと協働でDeFiを利用した中小企業向けファイナンスに取り組むもの。
https://www.ledgerinsights.com/visa-aave-7-other-teams-in-brazil-cbdc-challenge/
Section3: Regulation
3.1. グローバル
●欧州委員会・英仏独伊・カナダ・米国の首脳 、経済的制限措置に関する共同声明を発表。
数日内にロシアの銀行をSWIFTメッセージングシステムから削除へ
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/statement_22_1423
●ロシア制裁「暗号資産で抜け穴」防止 米欧日が規制案: 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB0328C0T00C22A3000000/
3.2. 米国
●米SEC、特定NFTの証券該当性について調査すべく、NFTクリエーターや取引所に召喚状を送っているとの報道
https://www.coindesk.com/policy/2022/03/02/sec-probing-nft-market-report/
●米財務省OFAC、制裁回避のためにロシアの個人・法人が暗号通貨を利用することができないよう、暗号通貨取引所に要請
3.3. 欧州
●欧州MiCA指令、PoWを使用する暗号通貨の禁止を求める記述を削除
3.4. 日本
●第208回国会における金融庁関連法律案:金融庁
安定的かつ効率的な資金決済制度の構築を図るための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律案
概要
電子決済手段等の発行者(銀行・信託会社等)と利用者との間に立ち、「電子決済手段の売買・交換、管理、媒介等」「銀行等を代理して預金債権等の増減を行う行為」の行為を行う仲介者について、登録制を導入
預金取扱金融機関等の委託を受けて、為替取引に関し、取引フィルタリング・取引モニタリングの行為を共同化して実施する為替取引分析業者について、業務運営の質を確保する観点から、許可制を導入
高額電子移転可能型前払式支払手段の発行者について、不正利用の防止等を求める観点から、業務実施計画の届出、犯罪収益移転防止法の取引時確認義務等に関する規定を整備
https://www.fsa.go.jp/common/diet/208/03/gaiyou.pdf
説明資料
電子決済手段等への制度的対応として、いわゆる法定通貨建てのステーブルコインを、「デジタルマネー類似型」「暗号資産型」に分類。
法定通貨の価値と連動した価格(例:1コイン=1円)で発行され、
発行価格と同額で償還を約するものを「デジタルマネー類似型ステーブルコイン」として、デジタルマネー(送金・決済の手段)として規律。
これ以外(アルゴリズムで価値の安定を試みるもの等)を「暗号資産型ステーブルコイン」として暗号資産や金融商品として規律。
「デジタルマネー類似型ステーブルコイン」については、
「発行者」として、銀行・資金移動業者のほかに、信託受益権を用いる「信託会社」につき法的手当。
「仲介者」としては、電子決済手段等取引業者 等に対して、利用者保護やマネロン等対策の観点から必要な対応を行う。
https://www.fsa.go.jp/common/diet/208/03/setsumei.pdf
法律案要綱
電子決済等取扱業に係る制度整備
登録制の導入
業務に関する規定の整備
情報の適正な取扱い及び安全管理等
顧客から金銭その他の財産の預託を受けること等を原則として禁止
顧客に損害が生じた場合における当該損害についての当該委託銀行と当該電子決済等取扱業者との賠償責任の分担に関する事項等を定めた電子決済等取扱業に係る契約を締結
金融ADR制度を設け、紛争解決機関との間で契約を締結する措置
金融商品取引法の規制を準用
監督規定の整備
帳簿書類及び報告書の作成、報告又は資料の提出命令、立入検査、業務改善命令、登録の取消し、登録の抹消等の監督規定を設ける
認定電子決済等取扱事業者協会に関する規定の整備
●金融審議会「資金決済ワーキング・グループ」報告(ステーブルコインに関する規制の導入及び前払式支払手段に関する規制の強化)について|アンダーソン・毛利・友常法律事務所
https://www.amt-law.com/asset/pdf/bulletins2_pdf/220228.pdf
●文化庁|文化審議会著作権分科会基本政策小委員会(第10回)
コンテンツ分野で活用されるNFTの法的課題(増田 雅史 | 森・濱田松本法律事務所)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/kihonseisaku/r03_10/pdf/93673401_01.pdf
●DeFi協会(Japan DeFi Association、JDA)、「Web3.0の成長戦略に関する提言」を公表
https://www.jda-defi.org/post/first-web3proposal-published
●当協会が定める自主規制規則におけるトラベルルール対応についてのお知らせ | 一般社団法人 日本暗号資産取引業協会(JVCEA)
https://jvcea.or.jp/news/main-info/20220301-001/
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