クリプト・web3をめぐる今週のニューストピックを、①テクノロジー(Bitcoinなど)・②ビジネス(ペイメントやDeFi・NFTなど)・③規制まわり、で振り返る。
今週の注目トピックは、
Chainalysis、今年発生したハッキングの2/3がクロスチェーンブリッジ起因とするレポートを発表
BlackRock、Coinbaseと提携してBitcoinトレーディング・カストディサービス提供へ
Galoy、Stablecoinや法定通貨とのインテグレーションを伴うことなしに、Lightning上で米ドルを取引できる「Stablesats」を発表
Lightning Networkの時間的価値(Bitcoin・Lightning Networkの発展を通じた新たな資本市場への展望)
SSI / DID〜フィンテック養成勉強会 # 24 (動画)
中央集権IDから分散IDに至るまで、歴史は繰り返す
ジャック・ドーシーらが提唱する「Web5.0」とは
Section1: Technology
1.1. Bitcoin
1.1.1. L1
●BitcoinのBlocksize Warから5年
https://bitcoinmagazine.com/business/the-first-major-bitcoin-civil-war
●Taprootの利点と、アダプションが遅い理由について
https://shiftcrypto.ch/blog/taproot-planting-the-seeds-for-bitcoin-applications/
1.1.2. L2:Lightning Network
●Bitcoin Beachのウォレットを支えるGaloy Inc.、Lightning上でBitcoinに裏打ちされた米ドル残高「Stablesats」を発表
USDTなどのStablecoinと異なり、トークンが存在しない
Stablesats対応のLightningウォレットでは、デフォルトのBTCアカウントに加え、米ドルアカウントからも送金・受け取り可能
Inverse perpetual swapを通じて、Bitcoinに裏打ちされた安定したドル残高を提供
ユーザーのBitcoinを担保として取引所(OKX)に預け、デリバティブ契約を購入
https://bitcoinmagazine.com/technical/galoy-brings-us-dollars-to-bitcoin
●Galoy Inc.が発表したStablesats
Stablecoinや法定通貨とのインテグレーションを伴うことなしに、Lightning上で米ドルを取引できるもの。
Stablesatsは、Lightningウォレットに「ドル相当」の残高を保持するために使用できる米ドル口座。
これを用いて、Bitcoinの為替レートの変動から身を守ることができるとしている。
Bitcoin Beach Wallet上で、ユーザーは自分のウォレットにBTCアカウントとUSDアカウントを持つ。
両アカウントはBitcoinの送受信に使用でき、ユーザーはこれらのアカウント間で瞬時に価値を移動させることができる。
USDアカウントの価値は、ビットコインの価格によって変動することはない。
Stablesatsの実装では、Bitcoinデリバティブ市場(特にperpetual inverse swapと呼ばれる商品)を用いて、(合成)USDを生成する。
Stablesatsを使用するBitcoinバンクがLightning Networkユーザーに有意義なソリューションを提供するとし、「合成法定通貨の時代が到来した」と述べている。
Stablesatsは、ボラティリティ問題を解決したいBitcoinバンクに、新たな選択肢を提供するとしている。
法定通貨・StablecoinおよびDiscreet Log Contracts (DLCs) ベースといった他オプションとの比較表
https://stablesats.com/
●オフラインBitcoin自販機「bitcoinVend」
https://github.com/arcbtc/bitcoinVend
●Lightning Networkを使ったP2Pアプリケーション構築むけ暗号化プラットフォームHolepunch、暗号化ビデオ通話アプリ「Keet」のα版を発表。
Holepunchは、Tether社とBitfinex社、および分散システムの開発者であるHypercore社による資金提供支援のもと、グローバルコミュニケーションの道を拓き、言論の自由・情報アクセス・検閲に対処できるよう設立された。
今回の「Keet」は、ピアツーピア・アプリケーションシリーズの第一弾となるものであり、中央のサーバーやネットワークを運営する会社なしに、ビデオチャットを行うことができるもの。
ビルトインされた決済APIが、Lightning Networkによって駆動される。また、Holepunch上でプロダクトを構築したい企業のデフォルトのマイクロペイメントシステムとして、Tetherトークンがサポートされる予定。
教育や相談において、仲介者なしで分単位で支払いができるように。
●プライバシーに焦点を当てた新しいLightningウォレット(PLN)
https://bc1984.com/make-lightning-payments-private-again/
●Lightning Networkの時間的価値
Lightning Networkを取り巻く新たな資本市場に関する考察。
「BitcoinとLightning Networkをベースにしたアセット発行プロトコルであるTaroによって実現するマルチアセット機能が、Lightningを金融レールとして利用する可能性を飛躍的に高める」とした上で、「BitcoinとLNの急速な発展により、"LNから派生したBitcoin建ての資本市場"への道が開かれる」との主張。
Taroは、Bitcoin上でアセットを発行し、Lightningで送金するためのプロトコルであり、あらゆる通貨が既存のネットワーク流動性を経由して、ほぼ瞬時に決済できるようになる。
Taroを使えば、理論上、一つのウォレットにBitcoin上とともにドルを保有し、Lightning上で送ることができる。
TaroはBitcoinとLightningをあらゆるものと相互運用できるようにするのであり、これによって、Lightningのポジションは、ノードオペレータがBitcoinルーティングから時間価値を引き出せるだけでなく、他のあらゆるアセットのルーティングからも時間価値を引き出せるようになった。
Bitcoinが基軸通貨となるためには、流動性の高い資本市場が不可欠であり、Taroはその実現に向けた一歩となる。
●Nayuta、現在開発中の Lightning ウォレットのクローズドテストを開始
1.2. Ethereum
●(特になし)
1.3. 他チェーン・要素技術
1.3.1. 他チェーン
●Alchemy、Astar Networkと提携──ポルカドットでのWeb3開発をサポート
https://www.coindeskjapan.com/156568/
●ハッキングで5000以上のSolanaウォレットが影響
https://www.coindesk.com/markets/2022/08/03/phantom-wallet-exploit-drains-millions-in-sol-tokens/
1.3.2. 要素技術
●中央集権IDから分散IDに至るまで、歴史は繰り返す
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02132/072900003/
●SSI / DID〜フィンテック養成勉強会 # 24 - YouTube
●ジャック・ドーシーらが提唱する「Web5.0」とは|ビットコイン研究所寄稿
https://coinpost.jp/?p=371950
Section2: Business
2.1. アダプショントピック
2.1.1. ペイメント
●Lightning決済との比較
2.1.2. 投資
●BlackRock、Coinbaseと提携して機関投資家むけにBitcoinトレーディング・カストディサービス提供へ
Coinbaseは、機関投資家向けブローカー・プラットフォームである「Coinbase Prime」を活用し、BlackRockのエンドツーエンド投資管理プラットフォーム「Aladdin」にBitcoinの取引とカストディへの直接アクセスを提供予定。
取得されたBitcoinは、ニューヨークの規制受託機関であるCoinbase Custody Trust Companyで保管される。
https://bitcoinmagazine.com/markets/blackrock-to-offer-bitcoin-in-coinbase-partnership
●Michael Saylor氏がMicroStrategy CEOを退任しexecutive chairmanに
MicroStrategyは、Michael Saylor氏の退任後もBitcoinの長期保有方針に変更はないとしている
MicroStrategy、2022年2Qの決算説明会によると、$917M相当のBitcoin減損損失を計上
https://decrypt.co/106573/microstrategy-reports-917m-bitcoin-impairment-as-saylor-steps-aside
●ビットコインの様々な購入方法の比較(取引所、P2P、ATMなど)
https://unchained.com/blog/ways-to-buy-bitcoin/
2.1.3. RegTech
●Chainalysis、今年発生したハッキングの2/3がクロスチェーンブリッジ起因とするレポートを発表
2022年に発生した13件のハッキングで、20億ドルの暗号通貨がクロスチェーンブリッジから盗まれたと推定。クロスチェーンブリッジへの攻撃は、今年これまでに盗まれた総資金の69%を占めるとのこと。
受け手のブロックチェーン上で「ブリッジされた」資産を支える資金の中央保管場所を備えていることが多いため、ターゲットとなりやすい。
効果的なブリッジの設計はまだ未解決の技術的課題であるため、新たなモデルが開発・テストされている段階にある。よって、時間の経過とともにベストプラクティスが洗練されるにつれて、こうした多様な設計が、新たな攻撃ベクトルとして悪用されうる。
https://blog.chainalysis.com/reports/cross-chain-bridge-hacks-2022/
2.3. DeFi
●Paradigmによる、Terra・LUNA・USTの一件から3ACおよびレンダー各社の件に関する振り返り記事
「中央集権型金融(CeFi)レンダーやファンドとは対照的に、分散型金融(DeFi)プロトコルのパフォーマンスが相対的に高い」との見方を示した上で、今後12~24ヶ月はビルドと投資にとって実りある時期になると楽観視している旨。
https://www.paradigm.xyz/2022/07/lp-letter-excerpt-july-20th-2022
Section3: Regulation
3.1. 米国
●米SEC、詐欺的なピラミッド・ネズミ講スキームを起訴
3.2. 日本
●「2023年度 税制改正要望書」概要|日本暗号資産取引業協会・日本暗号資産ビジネス協会
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