クリプト・web3をめぐる今週のニューストピックを、①テクノロジー(Bitcoinなど)・②ビジネス(ペイメントやDeFi・NFTなど)・③規制まわり、で振り返る。
今週の注目トピックは、
BitMEX Researchの「OFAC制裁とPoS Merge後の検閲体制」についてのレポート記事
CoinCenterが、Tornado Cash事件について、「OFACが自律コードを「人」として扱うことはOFACの法的権限を超えている」とする分析記事を発表
最近のTornado Cashの状況に照らし、BitcoinのLightning Networkの規制リスク(特にAML)が十分に議論されていないとする指摘
Discreet Log Contracts (DLCs)にBitcoin互換のBLS署名を使用する件について
Lightning Networkの課題とされるチャネルへのインバウンド流動性の確保について
Section1: Technology
1.1. Bitcoin
1.1.1. L1
●Discreet Log Contracts (DLCs)にBitcoin互換のBLS署名を使用する件について。
DLCでは、アダプタ署名を利用するよう開発されている。
BitcoinはBLS署名をサポートしておらず、追加するにはソフトフォークが必要だが、BLS署名から情報を安全に抽出し、Bitcoinに変更を加えること無しにBitcoin互換のアダプタ署名で使用できる方法に言及。
BLS署名を用いてオラクルにその証明をさせることの利点として、ステートレスなオラクルが可能になることを挙げている。
https://bitcoinops.org/en/newsletters/2022/08/17/#rust-bitcoin-0-29
https://bitcoinops.org/ja/newsletters/2022/08/17/
●【動画で学ぶブロックチェーン】Zero-conf Channel(Turbo Channel) - 安土 茂亨氏
https://goblockchain.network/2022/08/zeroconf-channel/
●Austin Bitcoin Developers「Socratic Seminar 31」のトランスクリプト書き起こし
Tornado Cash
The Merge
STARK
DLCs with oracle-based conditional payments
https://diyhpl.us/wiki/transcripts/austin-bitcoin-developers/2022-08-18-socratic-seminar-31/
●Bitcoinのリソースリスト。
ウォレットからフルノード、統計ダッシュボード、トランザクション手数料、ビジュアライズ、マイニングなど
https://www.lopp.net/bitcoin-information.html
1.1.2. L2:Lightning Network
●最近のTornado Cashの状況に照らし、BitcoinのLightning Networkの規制リスク(特にAML)が十分に議論されていないとする指摘。
StrikeやCashAppなどのカストディアルLightningサービスはFATFトラベルルールに準拠する必要があるものの、多くのLightningサービスプロバイダー(ノード)にとっては実装が困難。
プロのLightningノードはregulated payment servicesとみなされる可能性。
Lightning Networkを経由したアセットはAMLフレームワークにおいてハイリスクとみなされる可能性。
●Lightning Networkの課題とされるチャネルへのインバウンド流動性の確保について。
Magmaは、他のネットワーク参加者のチャネルを一定期間リースすることによって、ノードが流動性を売買できるLightningの流動性マーケットプレイス。
他のネットワーク参加者のチャネルを一定期間リースすることによって、ノードが流動性を売買できるLightningの流動性マーケットプレイス。
複数のデータポイントをチャネル上の単一金利に圧縮することによって、買い手が自分のニーズに合ったものを吟味できる一方、売り手は補助的な収益率を得ることができるもの。
●Lightning Networkの基本的な仕組みや、個々の決済においてブロードキャスト型トランザクションシステムよりもチャネル型トランザクションシステムの方が合理的である理由について解説している
併せて、Lightning Networkの他の利用例として、Bitcoinの流動性を通じてドルなどの法定通貨をグローバルに移動させる高速決済システムとしての利用も紹介している
https://www.swanbitcoin.com/a-look-at-the-lightning-network/
●Lightningチャネルの流動性を販売し、ルーティングノードオペレーターとしてsatsを獲得できる流動性マーケットプレイスのリスト
●Lightning Networkノードのincoming capacityを確保する17の方法。こちらにも、方法の一つとしてMagmaのマーケットプレイスを通じたチャネル購入が紹介されている
https://lightningnetwork.plus/posts/234
●Launch CartがLN支払い対応/米ドル送金が可能になるLNウォレットStablesats
●【LN】TunnelSatsでお手軽Hybridモード運用
https://spotlight.soy/detail?article_id=i8rd6e0pk
●Lightning送金による受信者の匿名性を向上させるルートブラインディング(blinded paths)
https://spotlight.soy/detail?article_id=li37yrrlz
●送金技術としてライトニングの特徴 | Yuya | Spotlight
https://spotlight.soy/detail?article_id=4zy4pskq9
●Lightning Networkのリソースリスト
入門記事や歴史から、統計、開発リソース、開発ツール、ノード管理ツール、流動性・ルーティング、ウォレット、マーチャントツールなど
https://www.lopp.net/lightning-information.html
●Diamond Hands Magazine始めます|ビットコインとライトニングに特化したニュースレター開始のお知らせ
●国連が暗号通貨普及を阻止?/ブラックロックはビットコインに本格参入|Diamond Hands Magazine Vol.1
1.2. Ethereum
1.2.1. L1
●BitMEX Researchの「OFAC制裁とPoS Merge後の検閲体制」についてのレポート記事。
Proof of Stakeでは、Proof of Workに比べて検閲に関してより多くの複雑さがあると主張。
検閲のシナリオがProof of Workの場合よりも複雑だということが、Ethereumにとってプラスになる可能性もあれば、マイナスになる可能性もあるとしている。
規制当局がどのような行動を取るべきかわからなくなり、その結果、規制措置が少なくなる可能性があるという意味ではプラスであるとしている。
https://blog.bitmex.com/ofac-sanctions-ethereum-pos-some-technical-nuances/
1.2.2. L2
●Starkware、 スケーリングソリューション「starkEx」と「Starknet」向けに、新しい形式のスケーリング技術recursive proofsの提供開始
1.3. 他チェーン・要素技術
●IONのDIDを更新してみる
https://techmedia-think.hatenablog.com/entry/2022/08/19/195255
Section2: Business
2.1. アダプショントピック
2.1.1. マイニング
●SBIホールディングス、シベリアでのBitcoinマイニング事業を閉鎖する旨のBloomberg報道。
制裁懸念を受けたシベリアでのマイニング事業の見通しに対する不確実性を理由としている
2.2. NFT
●NFTの技術とその特性を知る、本当にデジタル権利の表明に使えるのか
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02132/080500004/
2.7. デジタル証券
2.7.1. 日本
●「グリーン・デジタル・トラック・ボンド」におけるグリーン性指標を可視化するウェブサイトの提供開始及びデジタル債の活用に向けた研究会の発足のお知らせ | 日本取引所グループ
https://www.jpx.co.jp/corporate/news/news-releases/6020/20220815-01.html
●ケネディクス、国内最大の不動産STO 66億円調達
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC181RL0Y2A810C2000000/
Section3: Regulation
3.1. 米国
●CoinCenter、Tornado Cash事件について、OFACが自律コードを「人」として扱うことはOFACの法的権限を超えている、とする分析記事を発表。異議申し立てを検討中とも。
CoinCenterとして、憲法上の議論に飛躍するのでなく、IEEPA(国際緊急経済権限法)のもとでの法的権限の主張から始めるアプローチへ変化した点が特徴だとしている。
●仮想通貨取引所のコンプラが解説するTornado Cashに対するOFAC制裁【前編】
https://note.com/pirikara_upapa/n/nbfcde65ea76f
●Tornado制裁と関連動向について|salmon / 寺本健人|note
https://note.com/salmon0256/n/nad46c05b0dbb
●米FDICが、「預金保険の適用範囲及び顧客がcrypto companiesに提供する資金に預金保険が適用されるかどうか」に関する誤解解消を目的としたファクトシートを、7月末に発行している
https://www.fdic.gov/news/fact-sheets/crypto-fact-sheet-7-28-22.pdf
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