ざっくり、①テクノロジー(Bitcoinとか)・②ビジネス(ペイメントやDeFiとかNFTとか)・③規制まわり、でおさらい。
テクノロジー・ビジネス・規制の3部構成で、2021年のトピックを振り返りました。
セクションごとにサマリーをつけている他、参考図版も添付つけていますので、興味ある箇所を拾い読みしながら、2022年の展望頂ければと思います
https://hashhub-research.com/articles/2021-12-31-overview-of-crypto-assets-in-2021
今週の注目トピックは、
Eth1 ・Eth2という呼称をやめ、それぞれ「execution layer」「consensus layer」という呼称に変更
Astar Network、Polychainをリード投資家にAlameda Researchなどから25億円を調達
MakerによるNFTレンディングサービスに関する提案。
米SEC、代替取引システム(ATS)に関連する規則変更案を発表
米政府、早ければ2月にも、デジタルアセット関連の大統領令を発表へ
Section1: Technology
1.1. Bitcoin
1.1.1. L1
●“Bitcoin Is Dead”のメディア見出しが掲載されたタイミングのプロットリスト
https://www.bitcoinisdead.org/
●BIP119で規定されたBitcoinのソフトフォーク提案「CheckTemplateVerify(CTV)」。
UTXOにルールを設けて、Bitcoinの使い方を制限することができるようにするもの。
CTVは、これを参加者による手動でのやりとりを必要とせず、プログラム的に実施することを可能にすることによって、コントラクトの信頼性を高める点が特徴。
https://bitcoinmagazine.com/technical/what-is-bitcoin-checktemplateverify
1.1.2. L2:Lightning Network
●Diamond Hands Lightning Routing Report(Jan,2022)
Diamond Handsノードはルーティング量が月30%の成長率で、現在では10BTC/月以上にまで成長
https://medium.com/@coin_and_peace/diamond-hands-lightning-routing-report-jan-2022-85733104fa8d
●Diamond Hands | Lightning Network重要ニュース(1月前半)
https://spotlight.soy/detail?article_id=uw2kgo0nh
●軽量なLightning決済受付ソフト「SatsSales」
https://satsale.org/
●Lightning Networkを使ったペイウォール「PlebPay」
https://www.plebpay.com/
●Lightning Networkの技術関連ニュースレター。BOLTなどについて解説している
https://simplelightning.com/posts.html
1.2. Ethereum
1.2.1. L1
●Eth1 ・Eth2という呼称をやめ、それぞれ「execution layer」「consensus layer」という呼称に変更
https://blog.ethereum.org/2022/01/24/the-great-eth2-renaming/
1.2.2. L2
●(特になし)
1.3. 他チェーン・要素技術
1.3.1. 他チェーン
●Astar Network、Polychainをリード投資家にAlameda Researchなどから25億円を調達
https://note.com/sota_watanabe/n/n48bafd757c34
●CosmosエコシステムとPolkadotが、Astar Networkをマルチチェーン・マルチVMのハブとして接続可能に
https://medium.com/astar-network/cosmos-and-astar-polkadot-bridge-is-coming-soon-6c79303de050
●Internet Computer上で初のDEXとなるSonicがゴーライブ
●DFINITY が発表した新たなホワイトペーパー「The Internet Computer for Geeks」
https://dfinity.org/whitepaper.pdf
●クロスチェーンスワップMultichainなどを抱えるFantom、TVLでBSCを抜いて第3位のDeFiエコシステムに。
●Solanaのメインネットベータにおいて、ネットワークの混雑が発生中
1.3.2. 要素技術
●The Graph Foundation、検証可能なインデックスとクエリを可能にするとともに、subgraph開発者のニーズに対応したプロトコルを発展させるべく、$50mの調達を発表
https://thegraph.com/blog/graph-raise
Section2: Business
2.1. アダプショントピック
2.1.1. ペイメント
●“ブロックチェーン技術”で新しい寄付の形 ビットコインで「送金」 トンガに200万円
●Bitcoinの法定通貨化を検討するトンガ王国へBitcoinで寄付しました
●Diem Association(旧Libra)、資産の売却を模索との報道
https://www.theverge.com/2022/1/25/22901830/facebook-meta-libra-diem-crypto-project-explores-sale
●Diem Association、資産売却先はSilvergate Capitalに
https://www.wsj.com/articles/facebooks-cryptocurrency-venture-to-wind-down-sell-assets-11643248799
2.1.2. 投資
●デジタルアセットカストディFireblocks、$550mのシリーズE資金調達を発表。BNY Mellonのほか、Galaxy Digital・BlockFiなどを顧客にかかえる
●Trezor、スイスで規制されている取引所と取引する際に、ユーザーがプライベートウォレットを所有しているという証明を共有するロトコルを採用。スイスのクリプト要件には、国内VASPと取引するプライベートウォレットの識別が含まれているため
●Blockハードウェアウォレットの電源アーキテクチャについて。
ワイヤレスNFCを採用することによって、PCとのテザリングによる電力供給は不要に。
https://block.xyz/wallet/battery.pdf
Blockがハードウェアとソフトウェアの連携にNFCを採用する背景
Blockの考えるシンプルなセルフカストディ
なぜセルフ・カストディなのか?なぜグローバルなのか?「シンプル」とは何か?
●Trezor OneでPINを忘れたユーザーが、RAMにあったPINと鍵を読み取ることで資産を取り戻した話
https://www.theverge.com/2022/1/24/22898712/crypto-hardware-wallet-hacking-lost-bitcoin-ethereum-nft
●FTX傘下のFTX.US、$400mの調達を発表。FTXは昨年末に$420mを調達済
●Robinhood、Robinhoodと外部のウォレットの間で送受信可能とするベータプログラムを稼動。1日あたり10トランザクション、総出金額2,999ドルまで。
https://blog.robinhood.com/news/2022/1/20/crypto-wallets-beta-program-is-here
2.1.3. マイニング
●(特になし)
2.1.4. 社会生活
●米サンディエゴ州立大学、Bitcoinの寄付を受付開始
https://newscenter.sdsu.edu/sdsu_newscenter/news_story.aspx?sid=78634
●エルサルバドルで計画されているBitcoin債「Volcano Bitcoin Bond」について、2月に発行との見方
2.1.5. 統計・レポート
●CoinGeckoのYearly Report(日本語版)。Bitcoin・Ethereum・他チェーン、DeFi・NFT・取引所をめぐるデータ
2.2. NFT
2.2.1. トラディショナルプレイヤー
●Warner Music、音楽イベントにむけてSandboxとの提携を発表
https://www.ledgerinsights.com/warner-music-partners-with-sandbox-blockchain-game-for-music-events/
●NFT政策検討PTの模様(20220126)
●Twitter、クリプト担当シニアマネージャーの求人
●Netflix、NFTへの意向を問いかけるツイート
●Ellipticのレポートによると、年末に発見されたOpenSeaのバグによって、100万ドル相当のNFTが被害にあったとのこと。
https://www.elliptic.co/blog/bug-allows-nfts-worth-over-1-million-to-be-stolen
●世界のNFT取引額、1月過去最高に 強まる投機色 : 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB176SX0X10C22A1000000/
2.2.2. NFTエコシステム
●Animoca Brands傘下のThe Sandbox、昨年Animoca Brandsが買収したアクセラレーターBrincとの協業で$50m規模のインキュベータプログラムを立ち上げへ
●Coinbase NFT上でセルフカストディウォレットを使ってNFTを購入する方法のデモ
●初めてNFTが検索でCryptoを上回る。特に台湾・日本・韓国でNFT関心
●NFTのはじめかた
https://blog.blockchain.bitflyer.com/n/n9ab2dc089b05
2.3. DeFi
2.3.1. DEX
●金利スワップ向けノンカストディアルAMM「Voltz」。
変動金利を固定金利に交換することで不確実性を取り除くFixed Takers (FTs)と、固定金利と変動金利のリターンを交換するVariable Takers (VTs)から成る。
https://medium.com/voltz/voltz-use-cases-tl-dr-96140759be29
●Defiを理解しようシリーズ 第1回: Curve Stable Swap | dk
https://hide.ac/articles/GojuFU9qD
2.3.2. レンディング
●MakerによるNFTレンディングサービスに関する提案。
参入にむけた課題として流動性の低さを挙げた上で、フレームとしては、フラクショナルトークンローンやフロアアセットローンなどが挙げられている。
https://forum.makerdao.com/t/product-discussion-nfts-as-makerdao-collateral/12619
2.3.3. アグリゲーター
●Yearn Finance Newsletter #54(日本語訳)
https://smolgirl.xyz/archives/318
●DeFiとCeFiの両市場の金融サービスにアクセスできるCeDeFiアグリゲーターを目指す「OpenOcean」。
最も良い価格と低いslippageを持つ取引ルートを探し出しスワップレートを最適化するルーティングアルゴリズムを中核として、取引所だけでなくデリバティブやアセットマネジメントサービスも含めて集約することを通じて、クリプトの流動性の全範囲にアクセスするワンストップショップになるとしている
2.3.4. 証券・デリバティブ
●NFTを時間経過とともに目標レートで販売することを目的とした価格設定メカニズム「Constant Rate Issuance Sales Protocol(CRISP)」
https://www.paradigm.xyz/2022/01/constant-rate-issuance-sales-protocol/
2.3.4. 保険
●InsureDAO、Reserve Poolの初期流動性を確保するためDeGenesisイベントを1/31より開催。
ネイティブトークンINSUREのロックを通じて議決権単位veINSUREを受け取るもの
DeGenesis後、2/14にEthereum MainnetおよびArbitrum上でローンチ予定。
https://medium.com/insuredao/the-insuredao-degenesis-f6c25d7971c8
2.4. DAO
●DAO2DAOのコラボレーションとして、ジョイントベンチャーおよび共同出資研究を挙げた上で、コラボレーションメカニズムとして「Proposal Inverter」「Conditional Tokens Framework」を提案している。
https://medium.com/primedao/exploring-dao2dao-collaboration-mechanisms-c37218a17a21
2.5. 金融機関のデジタルアセットサービス
2.5.1. 米国
●Fidelity、Bitcoin ETF申請却下うけ「Metaverse ETF」および「Crypto Industry and Digital Payments ETF」をSECに申請
https://decrypt.co/91445/fidelity-files-two-more-etfs-metaverse-crypto-industry
●Five Star BankとNYDIG、当座預金口座保有者にBitcoin投資サービス提供へ提携
●BlackRock、NYSE FactSet Global Blockchain Technologies Indexに連動する「blockchain and tech ETF」を申請。構成銘柄には、マイニング関連や交換業者などが含まれるとのこと
●Citi、デジタルアセットリスクマネジメントのヘッドについて求人
https://www.linkedin.com/jobs/view/2846790920/
2.5.2. 欧州
●IHS Markit、デジタルアセットの機関投資家向けのインフラ構築にむけ、METACOと提携。ポストトレード証券処理プラットフォームとMETACO Harmonizeをインテグレーション
https://www.metaco.com/press_releases/ihs-markit-metaco-partnership/
2.5.3. アジア太平洋ほか
●(特になし)
2.5.4. 日本
●(特になし)
2.6. 中銀デジタル通貨
2.6.1. グローバル
●(特になし)
2.6.2. 米国
●(特になし)
2.6.3. 欧州
●(特になし)
2.6.4. 中国
●(特になし)
2.6.5. アジア太平洋ほか
●韓国中銀、CBDCプロジェクトの第1フェーズを完了。次フェーズではオフライン決済や個人ID保護がテーマに
2.6.6. 日本
●日本のCBDC発行の判断、2026年くらいにはできている=日銀総裁 | ロイター
https://jp.reuters.com/article/bojkuroda-idJPKBN2K209M
2.7. デジタル証券
2.7.1. グローバル
●(特になし)
2.7.2. 米国
●米SEC、tZEROとBOX Digital MarketsのJVであるBSTX(Boston Security Token Exchange)を承認
2.7.3. 欧州
●(特になし)
2.7.4. アジア太平洋ほか
●(特になし)
2.7.5. 日本
●ファンの情熱と企業の挑戦をトークンで結ぶ!野村證券が創る新時代の資金調達 | coindesk JAPAN | コインデスク・ジャパン
野村ホールディングス沼田執行役員とBOOSTRY佐々木CEOの対談
https://www.coindeskjapan.com/135206/
Section3: Regulation
3.1. グローバル
●IMF理事会、エルサルバドルに対する2021年4条協議終了レポートにて、
Bitcoinの使用には、金融の安定性、金融の健全性、消費者保護、および関連する財政偶発債務に大きなリスクがあることを強調。
あわせて、Bitcoinの法定通貨としての地位を取り除くことで、Bitcoin法の範囲を狭めるよう当局に促した点を記載している。
3.2. 米国
●米SEC、代替取引システム(ATS)に関連する規則変更案を発表。
取引所の定義に関わるルールを近代化し、買い手と売り手を結びつけるあらゆる種類のアセットクラスのプラットフォームを対象とすることが提案されている。
https://www.sec.gov/news/statement/gensler-ats-20220126
●米SECのATS規制改正案に関して、Hester M. Peirceコミッショナーが反対意見書を発表している。
現在規制されていない通信プロトコルシステムを含むあらゆる種類の取引所に影響を与えるものであり、このリリースは政府証券や債券にとどまらず、あらゆる種類の証券を取引可能にする取引所に影響するものである。
市場には、コメントを30日間に制限せざるを得ないような緊急事態は存在せず、一般市民が30日間のコメント期間に制限されるのは、米国資本市場の主要な監督者としての役割の放棄であり、90日間とするのが妥当である。
取引所の定義を拡大し、政府証券や債券だけでなく、いわゆる通信プロトコルシステムを含む、あらゆる種類の証券の取引所に適用することは、イノベーションを抑止し、取引所や執行サービスの市場への新規参入を妨げる可能性がある。
その上で、「あらゆる種類の証券の潜在的な買い手と売り手の間のあらゆるコミュニケーションを促進することを目的としたサービスを運営している人々」へのメッセージとして、このリリースを読むように促している。
https://www.sec.gov/news/statement/peirce-ats-20220126
●米SECのATS改正案のDeFiへの影響に関する緊急考察記事。
DeFi・AMMプロトコルなどには明確に言及していないものの、拡大した証券「取引所」の定義を用いる可能性が非常に高く、これまでのノーアクションガイダンスを覆すものとなる。
ETHERSCANのようなブロックエクスプローラーすらも、「買い手と売り手がスマートコントラクトで対話し、取引をもたらす取引関心を伝える通信プロトコルである」ゆえ、証券取引所であると主張できてしまいかねない。
AMMに関与する者は取引所/ATS規則に基づく登録・報告義務を負わないとする従来の論拠を著しく弱める。特定のAMMプールにLPとして参加することは、そのプール内のトークン(おそらくは証券)に関する取引上の利害の伝達であると主張できる可能性がある。
「AMMスマートコントラクト、または当該AMMスマートコントラクト内に実装されたプロトコルに関する情報を提供するウェブサイトは、このような取引上の関心の伝達を通じて買い手と売り手を結びつける通信プロトコルである」と主張できる可能性がある。
単なるP2P取引用のコードや、単なるブロックエクスプローラを含むウェブサイト作成やデプロイの禁止を意図していない旨を明確にする必要がある。
プログラマーやウェブサイト運営者が、FINRAに登録したり、ATS/取引所の報告・登録体制を遵守することは不可能であり、広大の技術やそれら技術に関する言論の自由を禁止することになりかねず、市民権と人権に対する違憲侵害となる、と結んでいる。
●アリゾナ州上院議員、Bitcoinを既存の法定通貨定義のリストに追加する法案を提出
●Coin Center、新法案は暗号通貨取引所を含む金融機関が顧客に暗号通貨ネットワークへのアクセスを提供することを禁じる裁量を財務長官に与えることになると批判
https://www.coincenter.org/new-bill-would-hand-treasury-blank-check-to-ban-crypto-at-exchanges/
●米下院金融委員会の共和党議員、金融委員長に対して「デジタルアセットに関する今後の公聴会を利用して、現在の規制環境を見直し、取り組むべき関連問題の優先順位を決めるよう要請」する書簡を提出。
これらの重要な問題の判断をSEC・CFTCなどの規制当局、あるいは司法府に委ねるべきではないとした上で、委員会がデジタルアセットを適切に分類し、その利用を規制するルールを決定するための作業を行うべき、としている。
https://republicans-financialservices.house.gov/news/documentsingle.aspx?DocumentID=408235
●米政府、早ければ2月にも、政府機関に対してデジタルアセットのリスクと機会を判断するよう求める大統領令を発表の見通し。
ホワイトハウスがデジタルアセット関連の政策立案・規制監督の中心的役割を担う方向へ
●JPMorgan Chase、Uniswapファウンダーの銀行口座を閉鎖
https://www.theblockcrypto.com/post/131314/jpmorgan-chase-closes-uniswap-founders-bank-accounts
●米国下院エネルギー・商務委員会の公聴会メモランダム。
冒頭、「ETHの取引1件を検証するのに必要なエネルギーは、米国の家庭で1週間以上、BTCの取引に必要なエネルギーは70日以上電力供給できる。PoSのようなエネルギー消費の少ない検証メカニズムも存在し、暗号通貨が機能するために指数関数的なエネルギー消費は必要ないことを実証している」と記載
米国下院エネルギー・商務委員会で行われたマイニングに関する公聴会の動画
3.3. 欧州
●(特になし)
3.4. アジア太平洋ほか
●タイ、決済手段としてのデジタルアセットの利用について共同でガイドライン設定にむけ、中銀・証券当局・財務省の三者合同声明を発表。
金融の安定性と経済システムへの潜在的影響を回避すべく、決済手段としてのデジタルアセット利用を規制する必要があると判断したとのこと
https://www.bot.or.th/English/AboutBOT/Activities/Pages/JointPress_25012022.aspx
3.5. 日本
●資金洗浄専門課を設置 全国初、組対部を改編
https://www.jiji.com/jc/article?k=2022012800739&g=soc
●第 471 回 企業会計基準委員会における、暗号資産に該当するICOの発行・保有等に係る会計基準上の取扱いに関する議論
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